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7 中学の陸上部ユニフォームを着て走る黒帯ちゃん ①
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7 中学の陸上部ユニフォームを着て走る黒帯ちゃん
①
黒帯ちゃんは幼児に元気よく笑顔で挨拶をするのが日常だ。
「おはよう、今日も楽しく生活しよう」
しかし、二人の先生に注意することも忘れない。やはり、玄関入口で手を引かれて、
「やぁあっ!」
空手着を掴まれて投げようとしてきたので、体の重心の位置を判断し、足払いで転ばした。
園長の息子、柔道経験者の颯真先生だ。
「今日も、ダメか、嫁に来い!」
「もう、やめてください。負けたじゃないですか、嫁に行きません」
「なにっ! やったぁ~、今日はルンルンだ~」
「負けたのに・・どうして・・・」
「今日は負けたから嫁に来ないというなら、勝ったら結婚して嫁に来るということだろう、その約束をしただけで、今日は満足だ、よし、朝の打ち合わせに行こう」
颯真先生は黒帯ちゃんに何か言われる前に行ってしまった。黒帯ちゃんは考えた。
(そうか、負けたじゃないですか、嫁に行きませんと伝えたことは、颯真先生が勝ったら行くってことになってしまう・・・ぃやっ!)
「颯真先生に、絶対に負けない、オッス!」
「朝から、オスだのメスだの言ってないで、打ち合わせよ、これだから新採は・・・・」 この声は、いや、こんなことを言うのは、真由美先生だ。
打ち合わせでは、幼児の健康観察、家庭からの連絡帳の確認など、毎日するべき大切なことの確認と、この時期の幼児の友達関係、仲間関係について把握することが大事だと共通理解した。
黒帯ちゃんは気になる子がいた。もちろん、全員を発達させるから気にはなるのだが、母子家庭の明日香ちゃんは、何事も行動が消極的で自信がなく、どうせ出来ないからってあきらめる傾向がある。
黒帯ちゃんは休み時間に明日香ちゃんへ話しかけた。
「明日香ちゃん、みんなと鬼ごっこをしようよ、先生も一緒に行ってあげるから」
「黒帯ちゃん、ありがとう、でも、足が遅いからすぐつかまっておにになって、そして、だれかをつかまえるまで走ってなければいけないから・・・やだ!」
「遊んでいると、いろいろなことがおきると思うんだ。例えば逃げてる友達が転ぶとか・・」
「転んだ友達をタッチしておににするのって、卑怯!」
明日香ちゃんは走って園舎に入ってしまった。
「そうかな・・・、転んだり、ふらついたりした友達をタッチして逃げるのもありだと・・・、いたいっ!」
黒帯ちゃんにボールが当たった。サッカーボールだ。もしや、これは、
「翼先生!」
「なに、ボーとしてるんだ」
「ボーとして当てやすいからって当てるのは卑怯です! あっ・・」
(そっか~、明日香ちゃんと言う通り、転んだ友達をタッチして喜んで逃げるのは、卑怯かも)
「翼先生、ありがとうございました」
「ボールを当てたのに、御礼を言われた、ちょっと、調子がくるっちゃうな、何か言われると期待してたのに・・」
黒帯ちゃんは、翼先生の言葉が耳に入らず、明日香ちゃんのいる園舎に向かった。
①
黒帯ちゃんは幼児に元気よく笑顔で挨拶をするのが日常だ。
「おはよう、今日も楽しく生活しよう」
しかし、二人の先生に注意することも忘れない。やはり、玄関入口で手を引かれて、
「やぁあっ!」
空手着を掴まれて投げようとしてきたので、体の重心の位置を判断し、足払いで転ばした。
園長の息子、柔道経験者の颯真先生だ。
「今日も、ダメか、嫁に来い!」
「もう、やめてください。負けたじゃないですか、嫁に行きません」
「なにっ! やったぁ~、今日はルンルンだ~」
「負けたのに・・どうして・・・」
「今日は負けたから嫁に来ないというなら、勝ったら結婚して嫁に来るということだろう、その約束をしただけで、今日は満足だ、よし、朝の打ち合わせに行こう」
颯真先生は黒帯ちゃんに何か言われる前に行ってしまった。黒帯ちゃんは考えた。
(そうか、負けたじゃないですか、嫁に行きませんと伝えたことは、颯真先生が勝ったら行くってことになってしまう・・・ぃやっ!)
「颯真先生に、絶対に負けない、オッス!」
「朝から、オスだのメスだの言ってないで、打ち合わせよ、これだから新採は・・・・」 この声は、いや、こんなことを言うのは、真由美先生だ。
打ち合わせでは、幼児の健康観察、家庭からの連絡帳の確認など、毎日するべき大切なことの確認と、この時期の幼児の友達関係、仲間関係について把握することが大事だと共通理解した。
黒帯ちゃんは気になる子がいた。もちろん、全員を発達させるから気にはなるのだが、母子家庭の明日香ちゃんは、何事も行動が消極的で自信がなく、どうせ出来ないからってあきらめる傾向がある。
黒帯ちゃんは休み時間に明日香ちゃんへ話しかけた。
「明日香ちゃん、みんなと鬼ごっこをしようよ、先生も一緒に行ってあげるから」
「黒帯ちゃん、ありがとう、でも、足が遅いからすぐつかまっておにになって、そして、だれかをつかまえるまで走ってなければいけないから・・・やだ!」
「遊んでいると、いろいろなことがおきると思うんだ。例えば逃げてる友達が転ぶとか・・」
「転んだ友達をタッチしておににするのって、卑怯!」
明日香ちゃんは走って園舎に入ってしまった。
「そうかな・・・、転んだり、ふらついたりした友達をタッチして逃げるのもありだと・・・、いたいっ!」
黒帯ちゃんにボールが当たった。サッカーボールだ。もしや、これは、
「翼先生!」
「なに、ボーとしてるんだ」
「ボーとして当てやすいからって当てるのは卑怯です! あっ・・」
(そっか~、明日香ちゃんと言う通り、転んだ友達をタッチして喜んで逃げるのは、卑怯かも)
「翼先生、ありがとうございました」
「ボールを当てたのに、御礼を言われた、ちょっと、調子がくるっちゃうな、何か言われると期待してたのに・・」
黒帯ちゃんは、翼先生の言葉が耳に入らず、明日香ちゃんのいる園舎に向かった。
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