黒帯ちゃんは、幼稚園の先生

未来教育花恋堂

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6 黒帯ちゃん、僕、翼先生よりも本当に強いの ①

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6 黒帯ちゃん、僕、翼先生よりも本当に強いの


 勤務時間が終わったので園長に許可をもらって黒帯ちゃんは武道場に空手の練習をしにきた。
「やっぱり、来てる・・・」
 翼先生がサッカーの練習をしていた。武道場に来た理由の中に、今日こそは打ち返してやろうという気持ちもあったのだ。武道場への挨拶はきちんとするが、気を緩めずにボールが飛んでくることを予想して打ち返す作戦だ。
(今日こそは翼先生、打ち返してやる。そして、おでこにハチマキの後を作ったことを謝らせてやる!)
「お願いしま~~~す・・・、飛んできた~、えぃ!」
 翼先生のボールを初めて打ち返した。
「やった~!」
「やあ、黒帯ちゃん、やっと打ち返せるように成長して、卵からヒナになったかな」
「翼先生、オーバーヘッドシュートを打ち返したんですよ、ヒナってなんですか、まあ、結婚前ですから親鳥とは言いませんが、ヒナじゃありません! もう~、いいです!」 黒帯ちゃんが更衣室の方に向かって歩いて行くと、後ろに殺気を感じた。
「えっ、まさか、い、いた~い!」
 油断をしている黒帯ちゃんに、翼先生がオーバーヘッドシュートで当てたのだ。
「はっははは~、黒帯ちゃんはおでこにハチマキを作るのが好きなんだね」
「もう、最低、翼先生、だれのせいですか!」
 おでこにサッカーボールが当たり、擦れて赤くハチマキのようになっている。
「油断をしていると、怪我をするぞ、はっははは~・・・」
 翼先生は練習を終わりにして帰ってしまった。
「私の空手の練習を見てくれてもいいのに、まったく!」
(あれ、私、翼先生に見てもらいたいなんて思っている・・・、あんな最低な人に・・・)
 黒帯ちゃんは、型の練習をしていい汗を流していると、優愛先生がやってきた。保護者の方からの電話が入っているとのことだ。奈々ちゃんのお母さんだ。
「うちの奈々が、大和君にいじめられたそうです、明日、ご指導をお願いします」
「はい、二人から何があったのか聞いてみます」
 奈々ちゃんは、ADHDの発達障害、大和君はまじめな子、奈々ちゃんに原因があるのかも知れないが、保護者の方がいじめられていると認識しているので、解決しなければならない。明日のことを考えると足が重くなる黒帯ちゃんだった。
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