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第2話 黒帯ちゃんのおでこにハチマキ
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2 黒帯ちゃんのおでこにハチマキ
「おはようございます!」
黒帯ちゃんは、元気よく職員室に入った。
その声に肩をビクンとした職員がいるほどだ。
「土浦先生、凜先生と呼ぶわね、背は低いけど、声は大きいのね」
「はい!」
園長先生や、そこにいた先生も褒めてくれたのでうれしい黒帯ちゃん。
「凜先生、こんなに早くどうしたの」
「武道も教えるニコニコ保育園の武道場を見たくて早く来ました」
「そこのボックスに鍵があるわよ」
黒帯ちゃんが鍵ボックスを開けて武道場の入口の鍵を探したら見あたらない。
「あっ、そうだ、凜先生、スポーツ全般担当の翼先生が鍵を持っていったわよ」
「ありがとうございます」
(そっか~、自己紹介の時に翼先生は、サッカーが得意で、しかも体育大学を出てるから他のスポーツも得意って言ってたから、練習してるんだ。空手だけは負けないと思うけど・・・)
武道場の窓から覗いたら、サッカーのドリブルやシュート練習をしていた。園児と一緒にやるのに用具も準備してある。
(うわぁあ~、サッカーうまい! じゃあ、私も、組み手や型の練習でもして、かっこいい所をみせちゃおうかな・・)
元気良くドアを開け、武道場に上がって挨拶をしようした。
「おはっ・・い、痛い!」
翼先生がオーバーヘッドシュートのように打ち、そのボールが黒帯ちゃんのおでこに当たったのだ。翼先生は、宙に浮いたボールを背を向けて後ろに倒れる勢いで上げた足で蹴ったのだ。
もちろん、瞬時に黒帯ちゃんを見ただろうが、すごい上手だ。
「な、な、な、何、するんですか!」
翼先生が近くに来た。
「あっははは~おでこが赤くなっている。凜先生、まずは道場前で建物に挨拶、一歩入ったら練習する床に挨拶するのが常識だろう、それに黒帯の有段者だったらボールを避けると思ったのに、それは単なる黒い紐なの?」
「あのう、まずは、謝るのが常識でしょ、もう~」
「ごめん~ごめん~、それにしても黒帯が鳴いているよ、おでこにボールが、そして、はっはあああ~、あっ、ごめんごめん」
確かにボールは避けられなかった。それは、道場に入って礼をしていてボールが見えなかったからだ。翼先生に何を言っても言い訳だと言われそうなので、礼をしたことを言わなかった。
翼先生の姿が見えないと思ったら濡れた手拭いを持ってきてくれた。
「これで冷やして、赤いのがとれるから」
「もうおっ、何ですか、突然!」
「そんな怖い顔をしてたら、子ども達に嫌われるぞ、じゃあ、先に行くから、打ち合わせに遅れるなよ」
「あのう~翼先生!」
黒帯ちゃんのおでこの赤いのが楽しいのだろうか、笑いながら職員室へ行ってしまった。黒帯ちゃんが武道場の鏡を見たら、ボールがおでこを擦ったみたいで、赤いハチマキをしているようだ。自分でも痛いはずなのに笑みになってしまう。
職員室に行くと先生方から聞かれた。
「あっ、これは、その・・ボールで擦ってハチマキを作って子ども達に見せてあげようと思って・・・」
「女の子の顔は大事だから、そんなことしたらダメ、凜先生、もうしないでください。子どもが真似をしますよ」
翼先生の方を見て睨んだ。すると、優しい笑みで返されて、思わず笑顔をつくってしまった。
「おはようございます!」
黒帯ちゃんは、元気よく職員室に入った。
その声に肩をビクンとした職員がいるほどだ。
「土浦先生、凜先生と呼ぶわね、背は低いけど、声は大きいのね」
「はい!」
園長先生や、そこにいた先生も褒めてくれたのでうれしい黒帯ちゃん。
「凜先生、こんなに早くどうしたの」
「武道も教えるニコニコ保育園の武道場を見たくて早く来ました」
「そこのボックスに鍵があるわよ」
黒帯ちゃんが鍵ボックスを開けて武道場の入口の鍵を探したら見あたらない。
「あっ、そうだ、凜先生、スポーツ全般担当の翼先生が鍵を持っていったわよ」
「ありがとうございます」
(そっか~、自己紹介の時に翼先生は、サッカーが得意で、しかも体育大学を出てるから他のスポーツも得意って言ってたから、練習してるんだ。空手だけは負けないと思うけど・・・)
武道場の窓から覗いたら、サッカーのドリブルやシュート練習をしていた。園児と一緒にやるのに用具も準備してある。
(うわぁあ~、サッカーうまい! じゃあ、私も、組み手や型の練習でもして、かっこいい所をみせちゃおうかな・・)
元気良くドアを開け、武道場に上がって挨拶をしようした。
「おはっ・・い、痛い!」
翼先生がオーバーヘッドシュートのように打ち、そのボールが黒帯ちゃんのおでこに当たったのだ。翼先生は、宙に浮いたボールを背を向けて後ろに倒れる勢いで上げた足で蹴ったのだ。
もちろん、瞬時に黒帯ちゃんを見ただろうが、すごい上手だ。
「な、な、な、何、するんですか!」
翼先生が近くに来た。
「あっははは~おでこが赤くなっている。凜先生、まずは道場前で建物に挨拶、一歩入ったら練習する床に挨拶するのが常識だろう、それに黒帯の有段者だったらボールを避けると思ったのに、それは単なる黒い紐なの?」
「あのう、まずは、謝るのが常識でしょ、もう~」
「ごめん~ごめん~、それにしても黒帯が鳴いているよ、おでこにボールが、そして、はっはあああ~、あっ、ごめんごめん」
確かにボールは避けられなかった。それは、道場に入って礼をしていてボールが見えなかったからだ。翼先生に何を言っても言い訳だと言われそうなので、礼をしたことを言わなかった。
翼先生の姿が見えないと思ったら濡れた手拭いを持ってきてくれた。
「これで冷やして、赤いのがとれるから」
「もうおっ、何ですか、突然!」
「そんな怖い顔をしてたら、子ども達に嫌われるぞ、じゃあ、先に行くから、打ち合わせに遅れるなよ」
「あのう~翼先生!」
黒帯ちゃんのおでこの赤いのが楽しいのだろうか、笑いながら職員室へ行ってしまった。黒帯ちゃんが武道場の鏡を見たら、ボールがおでこを擦ったみたいで、赤いハチマキをしているようだ。自分でも痛いはずなのに笑みになってしまう。
職員室に行くと先生方から聞かれた。
「あっ、これは、その・・ボールで擦ってハチマキを作って子ども達に見せてあげようと思って・・・」
「女の子の顔は大事だから、そんなことしたらダメ、凜先生、もうしないでください。子どもが真似をしますよ」
翼先生の方を見て睨んだ。すると、優しい笑みで返されて、思わず笑顔をつくってしまった。
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