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 目覚めた操君に、そっと、お願いごとを聞いてみた。
「黒帯ちゃんの、着てるもの着させて、それから、黒帯もやってね」
「操君、どうして、黒帯ちゃんのまねをしたいの」
「だって、強そうに言えるからさ、これを着てみんなに見せるんだ、きっと、僕を強い人だと思うよ、貸して、約束だからね!」
 黒帯ちゃんは、貸すのはいいけど、園児が着たらだぶだぶで転んでしまいそうで心配だった。
「ちょっと、いいかな、操君、これ、大きいから着られないと思うんだけど・・・」
「いいの! 早く脱いで貸して!」
 黒帯ちゃんは、約束というよりも、ただ着てるだけでは強そうに見えないことに気付かせたかったので、貸してあげることにした。
「じゃあ、着替えてくるから、待っててね」
 更衣室で、前の白いジャージに着替えた。上はスポーツシャツにした。
「はい、どうぞ」
「わ~い、ありがとう~」
 操君はみんなの方へ行って着替えた。
「ほらっ、見て、黒帯ちゃんの道着だよ、僕、かっこいいでしょ~」
「あっははは~~、操君、おかしい~~」
 操君の姿を見た園児は大笑いであった。楽しい雰囲気になったのはいいけど、操君は本気でみんなからかっこいいと思われることを期待していたので、泣いてしまった。
「操君、おいで~~」
 黒帯ちゃんが手を差し伸べると、黒帯ちゃんに向かって走ってきた。このまま抱き上げようと考えていた黒帯ちゃんに、泣きながらキック、パンチをしてきた。
「そんな、操君を、黒帯ちゃんは、ギュッ~と抱きしめてあげたのだった。 
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