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第4話 保護者のクレームに黒帯ちゃんは・・・
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4 保護者のクレームに黒帯ちゃんは・・・
「お~い、蓮人を叩いたメスゴリラ先生はいるか!」
蓮人君が叩かれたと嘘を言ったので、夜勤のトラック運転を終え、アルコールでいい気持になっていたお父さんは幼稚園に怒鳴りこんで来たのだ。玄関で対応した職員は園長と主任に報告し、二人が対応することになった。
「蓮人君のお父様、凜先生は叩いたりしていませんよ、私と話した時に大きな声で怒られたとは言っていましたが、それも間違いです」
「よぉ~、先生、うちのかわいい蓮人が嘘を言っていると言うんですか、べらぼうめ、俺んちの蓮人はクソはするけど、ウソはいわねえんだよ、すべこべ言わずに、担任の空手をやっていたというゴリラ先生を出せ!」
酔っているお父さんの怒りは二人の話しをまったく受け入れない。
「とにかく、誤解ですから、酔いが冷めてから、話し合いましょう、お帰りください」
園長が席を立つと、蓮人君のお父さんは床に座り込んだ。
「ここで、待たせてもらう!」
園長と主任は廊下に出て、あの状態では正論を言ってもむだだから、しばらく様子を見ることにした。黒帯ちゃんも話しを聞きつけてやってきた。
「あのう・・・私が話してもいいですか」
「だめだめ、あ~言えばこういうで、自分の子どもを信じて話しを聞く耳を持ってないの、今、話してもこじらせるだけだから、主任と私にまかせなさい」
「あっ、はい、ありがとうございます」
黒帯ちゃんは自分から説明したかったけど、園長に止められたので、教室で事務仕事を始めた。すると、ドタバタと足音が近づいてきた。
「おい、おまえが蓮人の担任の空手をやっていたゴリラ先生か! ぉおっ」
黒帯ちゃんは振り向いた。
「はい、蓮人君の担任の土浦凜です」
蓮人君のお父さんは自分の思っていた容姿と違って、ゴリラというより、とっても小さくてかわいい女の子だった。
「な、なん、なんでうちの蓮人を叩いた!」
「叩いていません、話しを聞いてください」
「やましいことがなかったら、俺が来た時にすぐ来れるだろう、話しができたはずだ! すごに来ないで、教室にいるということは、何かやましいことがあるからだろう、ええっ、本当のことを言ってほしいですね、蓮人に謝ってください」
黒帯ちゃんは、お父さんを幼児の椅子に座らせて幼稚園での出来事を説明した。突然、お父さんは立ち上がって腕を大きく開いた。
「こぉらぁああっ」
黒帯ちゃんは、ビクッとした。
「蓮人が悪いです。でも、オッスで大きな声で脅かしたら蓮人はびっくりして怖がるじゃないですか、ねぇ~先生! 話して教えてやるのが先生の仕事でしょ、お願いします。うちの蓮人の間違ったところを、気付かせてやってください」
お父さんが泣きだした。
「うちの蓮人は、母親と小さい頃に別れてかわいそうなんですよ、悪い蓮人ですが、どうか、この通り、蓮人の面倒を見てください、お願いします」
お父さんは、黒帯ちゃんに頭を下げた。
クレームというよりも、自分のかわいい子どもを大切に見てほしいというお父さんの願いが伝わってきた。
「すみませんでした、これから気をつけて保育します」
「ありがとうございます。蓮人を、蓮人のやつを、どうかお願いします。今日は、忙しいところ、すみませんでした」
蓮人君のお父さんに、蓮人君が嘘をついていたことは理解してもらえたが、家庭教育に期待はできなそうだ。黒帯ちゃんは保育者としての責任を感じるのだった。
翼先生がサッカーボールを持ってやってきた。
「武道場で、サッカー付き合ってくれないかな」
黒帯ちゃんは、自分に嫌なことがあったから気を使ってくれているのかなと思いながら、その優しさにうれしさを感じ、武道場に行った。
「失礼します!」
今度は、施設にも挨拶をして、武道場にも元気良く挨拶をした。
「翼先生、お願いしま・・・・いてっ!」
「ごめんごめん、今度こそヘディング出来るとおもったんだけど・・・、おでこにハチマキ、好きだね作るのが」
また、翼先生は、オーバーヘッドシュートの要領で黒帯ちゃんのおでこをねらったのだ。そして、赤くなっている。
「翼先生、酷い、挨拶をしていて見えない時に打つなんて、もう、最低! ありえない!」
黒帯ちゃんは怒って帰り、その後も翼先生は練習を続けたのだった。
「お~い、蓮人を叩いたメスゴリラ先生はいるか!」
蓮人君が叩かれたと嘘を言ったので、夜勤のトラック運転を終え、アルコールでいい気持になっていたお父さんは幼稚園に怒鳴りこんで来たのだ。玄関で対応した職員は園長と主任に報告し、二人が対応することになった。
「蓮人君のお父様、凜先生は叩いたりしていませんよ、私と話した時に大きな声で怒られたとは言っていましたが、それも間違いです」
「よぉ~、先生、うちのかわいい蓮人が嘘を言っていると言うんですか、べらぼうめ、俺んちの蓮人はクソはするけど、ウソはいわねえんだよ、すべこべ言わずに、担任の空手をやっていたというゴリラ先生を出せ!」
酔っているお父さんの怒りは二人の話しをまったく受け入れない。
「とにかく、誤解ですから、酔いが冷めてから、話し合いましょう、お帰りください」
園長が席を立つと、蓮人君のお父さんは床に座り込んだ。
「ここで、待たせてもらう!」
園長と主任は廊下に出て、あの状態では正論を言ってもむだだから、しばらく様子を見ることにした。黒帯ちゃんも話しを聞きつけてやってきた。
「あのう・・・私が話してもいいですか」
「だめだめ、あ~言えばこういうで、自分の子どもを信じて話しを聞く耳を持ってないの、今、話してもこじらせるだけだから、主任と私にまかせなさい」
「あっ、はい、ありがとうございます」
黒帯ちゃんは自分から説明したかったけど、園長に止められたので、教室で事務仕事を始めた。すると、ドタバタと足音が近づいてきた。
「おい、おまえが蓮人の担任の空手をやっていたゴリラ先生か! ぉおっ」
黒帯ちゃんは振り向いた。
「はい、蓮人君の担任の土浦凜です」
蓮人君のお父さんは自分の思っていた容姿と違って、ゴリラというより、とっても小さくてかわいい女の子だった。
「な、なん、なんでうちの蓮人を叩いた!」
「叩いていません、話しを聞いてください」
「やましいことがなかったら、俺が来た時にすぐ来れるだろう、話しができたはずだ! すごに来ないで、教室にいるということは、何かやましいことがあるからだろう、ええっ、本当のことを言ってほしいですね、蓮人に謝ってください」
黒帯ちゃんは、お父さんを幼児の椅子に座らせて幼稚園での出来事を説明した。突然、お父さんは立ち上がって腕を大きく開いた。
「こぉらぁああっ」
黒帯ちゃんは、ビクッとした。
「蓮人が悪いです。でも、オッスで大きな声で脅かしたら蓮人はびっくりして怖がるじゃないですか、ねぇ~先生! 話して教えてやるのが先生の仕事でしょ、お願いします。うちの蓮人の間違ったところを、気付かせてやってください」
お父さんが泣きだした。
「うちの蓮人は、母親と小さい頃に別れてかわいそうなんですよ、悪い蓮人ですが、どうか、この通り、蓮人の面倒を見てください、お願いします」
お父さんは、黒帯ちゃんに頭を下げた。
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「すみませんでした、これから気をつけて保育します」
「ありがとうございます。蓮人を、蓮人のやつを、どうかお願いします。今日は、忙しいところ、すみませんでした」
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翼先生がサッカーボールを持ってやってきた。
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黒帯ちゃんは、自分に嫌なことがあったから気を使ってくれているのかなと思いながら、その優しさにうれしさを感じ、武道場に行った。
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「翼先生、お願いしま・・・・いてっ!」
「ごめんごめん、今度こそヘディング出来るとおもったんだけど・・・、おでこにハチマキ、好きだね作るのが」
また、翼先生は、オーバーヘッドシュートの要領で黒帯ちゃんのおでこをねらったのだ。そして、赤くなっている。
「翼先生、酷い、挨拶をしていて見えない時に打つなんて、もう、最低! ありえない!」
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