上 下
15 / 37

8 お散歩①

しおりを挟む
8 お散歩①

 5月の予定は、お散歩が計画されていた。
 園長先生から、健二先生と下見に行ってくるように言われた咲良先生は,何をどうみたら良いのか,お散歩の視点が良くわからない。星組には主任の真理先生と栄子先生が一緒に行ってくれる。初めてのお散歩で咲良先生は,慎重だ。下見をして危険な所はないか,危険になりそうな所はないか等,良く見ようと健二先生と出かけた。
「咲良先生、家では何をしていることが多いですか、好きな食べ物は・・・」
「健二先生、下見に関係ある話をお願いします」
 咲良先生に興味のある健二先生は、咲良先生のプライベートの話をしてくる。咲良先生は、さっさと歩いて健二先生との距離を離した。
「待ってくださ~い、咲良先生!」
 咲良先生は下見よりも、健二先生から離れることを優先してしまい、道路事情については見過ごしてしまった。
「健二先生、下見です!」
「大丈夫ですよ、いつも通ってる道なんですから・・、そんなに道路わきの植物を見なくても・・・」
「どうせ、私は雑草が好きなんです! でも、どの植物にも名前はありますけど」
「咲良先生、まだ、初出勤のことを気にしているんですか」
 咲良先生は理事長の息子の健二先生を草刈りをしている用務員さんと間違え、園児の環境を通した教育をしたいので、雑草を刈らないように話し、健二先生と口論したのだ。
 二人で園児の活動場所を下見すると、健二先生の質問から逃げるように園に帰ってきた。

 園長先生が,咲良先生に尋ねた。
「咲良先生,お散歩は,どこへ行って何を経験させたいの,その経験をどう生かしていくの,考えて案を作ってね。」
 咲良先生は健二先生と一緒に行って体力を使い、園長先生の言葉に、とにかく何かを見て,どこかで遊んでくればいいんだと軽く考えていた。だから、お散歩の目的や,その後の活かし方が大切なことを園長先生から聞いて視点が変わった。
 公園へ行って遊び,ドングリや木の葉を採ってきて,園に帰ったら造形活動をすることにした。

 お散歩の日はとても天気が良かった。みんな靴に履き替えて,咲良先生が先頭,主任の真理先生が一番最後,栄子先生が真ん中の園児を見ることになった。最初は楽しく歩って行ったが,歩道のない道路になった時に,真ん中辺りにいた栄子先生が,
「咲良先生,歩道がないから園児が飛び出しそうよ,ここでみんなに指導して!」
 飛び出している園児に栄子先生は,
「引かれちゃうでしょ!道路にでたら! 危ない!」
 それを聞いていた園児も,
「こわ~いぃ・・・・」
 ここは、健二先生から離れたくて速く通り過ぎてしまった場所、咲良先生は下見の時に考えていなかった。栄子先生に言われて困ってしまった。主任の真理先生に視線を送ると,自分で考えてって言ってるように感じ取った咲良先生は,まず現場を良く見た。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

あいうえお絵本

水あさぎ
絵本
オノマトペで楽しくあいうえお♪ リズムにのってレッツあいうえお♪

先生,理科って楽しいね。

未来教育花恋堂
児童書・童話
夢だった小学校教員になったら,「理科専科」だった。でも,初任者指導教員の先生と子ども達と学習していくうちに,理科指導が¥に興味が高まった。

【奨励賞】おとぎの店の白雪姫

ゆちば
児童書・童話
【第15回絵本・児童書大賞 奨励賞】 母親を亡くした小学生、白雪ましろは、おとぎ商店街でレストランを経営する叔父、白雪凛悟(りんごおじさん)に引き取られる。 ぎこちない二人の生活が始まるが、ひょんなことからりんごおじさんのお店――ファミリーレストラン《りんごの木》のお手伝いをすることになったましろ。パティシエ高校生、最速のパート主婦、そしてイケメンだけど料理脳のりんごおじさんと共に、一癖も二癖もあるお客さんをおもてなし! そしてめくるめく日常の中で、ましろはりんごおじさんとの『家族』の形を見出していく――。 小さな白雪姫が『家族』のために奔走する、おいしいほっこり物語。はじまりはじまり! 他のサイトにも掲載しています。 表紙イラストは今市阿寒様です。 絵本児童書大賞で奨励賞をいただきました。

花言葉

未来教育花恋堂
児童書・童話
花言葉は,ギリシャ神話や伝説から生まれたもの,咲いている雰囲気からついたものなどです。その花言葉を基にした短い創作小説です。

運よく生まれ変われたので、今度は思いっきり身体を動かします!

克全
児童書・童話
「第1回きずな児童書大賞」重度の心臓病のため、生まれてからずっと病院のベッドから動けなかった少年が12歳で亡くなりました。両親と両祖父母は毎日のように妾(氏神)に奇跡を願いましたが、叶えてあげられませんでした。神々の定めで、現世では奇跡を起こせなかったのです。ですが、記憶を残したまま転生させる事はできました。ほんの少しだけですが、運動が苦にならない健康な身体と神与スキルをおまけに付けてあげました。(氏神談)

このなきごえ だーれ?

未来教育花恋堂
児童書・童話
絵本のストーリーです。動物の鳴き声を聞いて、言葉で表現してみました。さあ、動物の鳴き声探しに出発だ。

おっとりドンの童歌

花田 一劫
児童書・童話
いつもおっとりしているドン(道明寺僚) が、通学途中で暴走車に引かれてしまった。 意識を失い気が付くと、この世では見たことのない奇妙な部屋の中。 「どこ。どこ。ここはどこ?」と自問していたら、こっちに雀が近づいて来た。 なんと、その雀は歌をうたい狂ったように踊って(跳ねて)いた。 「チュン。チュン。はあ~。らっせーら。らっせいら。らせらせ、らせーら。」と。 その雀が言うことには、ドンが死んだことを(津軽弁や古いギャグを交えて)伝えに来た者だという。 道明寺が下の世界を覗くと、テレビのドラマで観た昔話の風景のようだった。 その中には、自分と瓜二つのドン助や同級生の瓜二つのハナちゃん、ヤーミ、イート、ヨウカイ、カトッぺがいた。 みんながいる村では、ヌエという妖怪がいた。 ヌエとは、顔は鬼、身体は熊、虎の手や足をもち、何とシッポの先に大蛇の頭がついてあり、人を食べる恐ろしい妖怪のことだった。 ある時、ハナちゃんがヌエに攫われて、ドン助とヤーミでヌエを退治に行くことになるが、天界からドラマを観るように楽しんで鑑賞していた道明寺だったが、道明寺の体は消え、意識はドン助の体と同化していった。 ドン助とヤーミは、ハナちゃんを救出できたのか?恐ろしいヌエは退治できたのか?

イケメン男子とドキドキ同居!? ~ぽっちゃりさんの学園リデビュー計画~

友野紅子
児童書・童話
ぽっちゃりヒロインがイケメン男子と同居しながらダイエットして綺麗になって、学園リデビューと恋、さらには将来の夢までゲットする成長の物語。 全編通し、基本的にドタバタのラブコメディ。時々、シリアス。

処理中です...