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 魔法美少女仮面ヴィクトワールの心は拒否をしているのに、アイマスクの取り方を口がしゃべってしまう、そう感じた時だ。
「だれだ、体育館の中で大音響の音を流しているのは、魔法美少女仮面ヴィクトワールの声が聞こえないじゃないか」
 魔法美少女仮面ヴィクトワールの口は動き、大事な正体を隠している赤いアイマスクの取り方を話している。しかし、誰かが体育館の放送室で曲を流し、それが大音響なので聞こえない。
「放送室に黒い猫がいるぞ!」
 アマニが機転を効かせて全校生徒に聞こえないようにしたのだ。
「妖魔として、アマニを探し、連れ帰る役目が果たせそうだ、自分からやってくるとは、バカなやつだ、トリャァアアッ!」
 妖魔はアマニの腹を蹴り、体育館へと落とした。
「あっ、黒い猫が体育館の放送室から飛んで来て、動かないぞ!」
 全校生徒が気絶したアマニに夢中になっている間に、一人の少年が魔法美少女仮面ヴィクトワールの近くに来て質問した。
「体に巻きついている、このリボン、どうすればはずせますか」
 日本語の勉強を魔法美少女仮面ヴィクトワールから教わったアトン君だ。
「わたくしの手が拳になっていますが、それを開けるようにしてくれれば、魔法のバトンを移動させて脱出できます」
 アトン君は、跳び箱を持ってきて乗り、吊るされている魔法美少女仮面ヴィクトワールの手の平の拳に巻いてあるリボンをずらし、手が開けるようにした。
「ありがとうございます、アトン君、ステッキバック、ヴィクトワール、タイフ~ン~」
 魔法美少女仮面ヴィクトワールの体が回転して体を柔軟にし、巻かれていたリボンが体から取れ、リボンの先の魔法のステッキを手に持った。
「エイッ!」
 魔法美少女仮面ヴィクトワールは、跳び箱の台から、マントをなびかせて飛び、幹夫君の近くに着地した。
「さあ、妖魔、幹夫君の中から出てくるのです、ヴィクトワール、エゲスト!」
「わぁあああ~~」
 幹夫君の体から妖魔が出てきた。魔法美少女仮面ヴィクトワールは、魔法のバトンで妖魔を巻きつけて、体育館の窓から外へ飛び立ち、人のいない大地に落とした。
「いてぇえええ~~~」 
「愛と正義の使者、魔法美少女仮面ヴィクトワールが許しません!」
「所詮、小学生の女、何が出来る!」
「わたくしが、消し去ります、それとも、大人しく魔界に、お帰りになりますか!」
「くぅうううう・・・、分かった、魔界に帰る、だから、許せ」
 妖魔は、てくてくと森の方へ歩き出した。
「魔法美少女仮面ヴィクトワール、大丈夫なのか?」
 アマニが目を覚まし、この場にやってきた。
「ええっ、妖魔はおとなしく魔界に帰りますわ、ご心配なくてよ」
「あっ、あぶない! 魔法美少女仮面ヴィクトワール!」
 妖魔は、大きな槍を魔法美少女仮面ヴィクトワールの背中目掛けて投げたのだ。

 グサリ~~~~ ズキズキ~~~

 魔法美少女仮面ヴィクトワールは、空中から真下に落下した。
 魔法のマントに槍が刺さって穴が空き、槍は魔法美少女仮面腰に当たったのだ。
「魔法美少女仮面ヴィクトワール~~~・・・」
「わっはははは~~~、小学生のくせに魔法美少女仮面になんかになるからだ、愛と正義は、これで滅んだ!」
 倒れていた魔法美少女仮面ヴィクトワールが起き上がった。
「いえ、愛と正義の魔法美少女仮面ヴィクトワールは、死にません!」
「なんだと!」
「ヴィクトワールダブルフラッシュ!」

 バ~~ン バババ~~~~ン

 妖魔は消滅した。アマニが急いで魔法美少女仮面ヴィクトワールに近寄った。
「魔法のマントは、ほら、穴が空いてしまいましたが、聖なるベルトに偶然当たって、槍は刺さりませんでした、だから、当たったショックだけですみましたの」
「良かった~」
 アマニは、ほっとした。
「アマニ、心配してくれてありがとう~」
「そりゃあ、そうだよ、将来、お嫁さんになる相手なんだからさ」
 魔法美少女仮面ヴィクトワールは、返事に困り、ただ、照れ笑いをするだけだ。
「そ、それは・・・あ、ははは~~~」
「おい、なに、ごまかしているんだ」
 魔法美少女仮面ヴィクトワールは立ち上がり、その雄姿は輝いていた。

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