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 魔法美少女仮面ヴィクトワールの右手には進君、左手にはアトン君を軽々とかかえて、白いマントで飛んでいる。もっとも、二人には内側のマントの赤しか見えていない。
 アトン君は遊園地で魔法美少女仮面ヴィクトワールといっしょに楽しんでいる感じで、空中でも楽しそうだ。
「魔法美少女仮面ヴィクトワールって、すごい! 敵もやっつちゃうし、空も飛べて、かっこいい~~」
 一方の進君は、調査を始める、こんな身近、真横に魔法美少女仮面ヴィクトワールがいるのだ。銀行強盗の事件の時に、マスクを取って正体を見せてくれなかった、自分の言うことを聞かなかったことで、逆恨みをしている。
「怖いよ、高くて目が回りそう~~ぅぁああ~~」
「進君って、案外、怖がりなのね、ふふっ」
 わざと怖がって暴れて動いているのに、純粋な鬼頭凜こと、魔法美少女仮面ヴィクトワールは気付かない。進君の姑息な行為には。
 進君は、まず、自然にふるまって、顔を魔法美少女仮面ヴィクトワールの胸に顔を付けて、頬で胸のふくらみを調べた。小学生でも、胸のふくらみがあるから、正体を探る大事な要素なのだ。
 魔法美少女仮面ヴィクトワールは、スタイルが良く、細身ではあるが、胸のふくらみは感じた。進君は、光沢グリーンのミニワンピースの脇から覗いた。
(ふ~ん、なるほど、小学生だから、少し固いけど大きいぞ、そして、白いスポーツブラを付けてるのか、へへへへっ)
  次に頭を、魔法美少女仮面ヴィクトワールの高さにそろえて足先を、魔法美少女仮面ヴィクトワールの足に絡み付いた。
(身長は、僕よりも高いのか、生意気に、でも、クラスの女の子、背が高い子多いしな・・・)
「魔法美少女仮面ヴィクトワール、怖いよ、体に手を巻きつかせてよ!」
(胴体は細いな、スラっとして身長が高い、髪の毛が長く、サラサラだ、いい匂い・・・)
 調子にのってる進君は、この状態なら不可抗力でマスクに手をかけてしまい、マスクがとれちゃったとごまかせるかもと考えた。
「わぁあぁああ~、体の重心がずれたぁああ~、わっ、わっ、わっ、わっ、わっ」
 マスクに手をかけたところ、電流のようなものが流れて、進君はマスクを触っている手が震えている。
「進君! マスクを取る気なら、手を放して落下させちゃうよ、いいの?」
「いやですぅううう~ゆるしてぇええええ~~~~」
「気をつけない!」
(クソなまいきな女の子だ、いつか男の僕の前で跪かせてやる!)
「さあ、着いたわ、ここまでくれば大丈夫ね」
 アトン君は喜び、進君は作り笑顔でお礼を言った。
 マントの先を持った魔法美少女仮面ヴィクトワールは、くるっと回って、
「二人とも、ごきげんよう~」
 魔法美少女仮面ヴィクトワールは、魔界の扉を気にしながら去って行った。
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