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復活の時
清須会議
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尾張国 清洲城内
本能寺の変が起きてから戦いを続けていた織田家家臣「明智光秀」、「羽柴秀吉」、「柴田勝家」の三人がついに顔を合わせた。
この数日前に全国の大名に京から御内書が送られ、織田家との交戦をやめさせられていたため三勢力のトップが集まることができたのである。
「それでは、会議を始めさせていただきます。本来であれば足利義昭様にお越しいただきたいのですが、多忙のため代わりに明智光秀が取り仕切らせていただきます。」
「では、はじめに今後の織田家について決めたいと思うのですが、幕府の意見といたしましては信長信忠父子が亡くなられたことから、信忠嫡男の三法師様を当主として織田家を存続し、その後見役として私と幕府が支えるということにしたいと思うのですがいかがでしょうか。」
そう明智光秀が言うと柴田勝家は少しうなりながら
「織田宗家の血を絶やさぬことは良いと思うが、その後見役を幕府が行うのは少しおかしいのではないのではないか?貴様は信長様を殺したがその子である信雄様、信孝様は生きておるのだからそのお二方に後見役をしていただくのが良いだろう。」
と、柴田勝家は少し毒を含んだ口調で言った。
その二人を何も話さず羽柴秀吉は見つめ、頭の中で考えていた。
「…やはりこの会議は光秀が主導権を握るか。勝家殿もおそらく信孝様が後ろにおるな。誰も助けてくれないのはわしのみか、少し播磨でゆっくりしすぎたようじゃな…」
そのようなことを考えている中でも明智光秀と柴田勝家は言い合っていたが、
「会議は踊る、されど進まず」と言うように中身のない話ばかりをして、何も進まなかった。
しかしこの清洲会議はある伝令で終了することになる。
「だから何度言えば分かるのだ!このハゲ頭が!」
「なんということを申すのですか!勝家殿!」
「ちょっとちょっと!明智殿も柴田殿も落ち着いてください!」
その時、勢いよく 会議をしていた部屋のふすまが開いた。
「勝家様!大変でございます!」
「何だ!会議中は入るなと言ったではないか!」
「まだ会議中だったのですか…ってそんなことはどうでもいいのです!」
「上杉が…上杉が我が領内に侵入してきました!!」
「な、何だと!!」
これまで明智光秀に怒鳴っていた柴田勝家は今度は伝令に怒鳴った。
「上杉勢は越中を制圧し、なお進軍を続けており現在前田利家様、佐々成政様が応戦していますが七尾城の陥落は避けられないかと…」
「…どうやら会議はここまでのようですね。」
明智光秀は足利義昭の御内書が全く効果を発揮していないことに驚くこともせず、その伝令を聞き終わったあと咳払いをして言った。
「このあとの会議はまたどこかで行いましょう。それまでの間我ら3勢力は休戦でいかがでしょうか?」
「ああ、それでいい。ではわしは越前に戻らせていただく!」
柴田勝家はそう言うと足早に清洲城を後にした。
そして柴田勝家がいなくなったのを確認して、ここまで目立つ動きをしていなかった羽柴秀吉が口を開いた。
「明智殿、少しよろしいでしょうか?」
「何でしょうか?羽柴殿?」
「実は………」
「…なるほど、実にいい話ですね。そのように進めさせていただきます。」
「ありがたいです…」
この明智光秀と羽柴秀吉の会話がこのあとの織田家を大いに狂わせていくのである。
本能寺の変が起きてから戦いを続けていた織田家家臣「明智光秀」、「羽柴秀吉」、「柴田勝家」の三人がついに顔を合わせた。
この数日前に全国の大名に京から御内書が送られ、織田家との交戦をやめさせられていたため三勢力のトップが集まることができたのである。
「それでは、会議を始めさせていただきます。本来であれば足利義昭様にお越しいただきたいのですが、多忙のため代わりに明智光秀が取り仕切らせていただきます。」
「では、はじめに今後の織田家について決めたいと思うのですが、幕府の意見といたしましては信長信忠父子が亡くなられたことから、信忠嫡男の三法師様を当主として織田家を存続し、その後見役として私と幕府が支えるということにしたいと思うのですがいかがでしょうか。」
そう明智光秀が言うと柴田勝家は少しうなりながら
「織田宗家の血を絶やさぬことは良いと思うが、その後見役を幕府が行うのは少しおかしいのではないのではないか?貴様は信長様を殺したがその子である信雄様、信孝様は生きておるのだからそのお二方に後見役をしていただくのが良いだろう。」
と、柴田勝家は少し毒を含んだ口調で言った。
その二人を何も話さず羽柴秀吉は見つめ、頭の中で考えていた。
「…やはりこの会議は光秀が主導権を握るか。勝家殿もおそらく信孝様が後ろにおるな。誰も助けてくれないのはわしのみか、少し播磨でゆっくりしすぎたようじゃな…」
そのようなことを考えている中でも明智光秀と柴田勝家は言い合っていたが、
「会議は踊る、されど進まず」と言うように中身のない話ばかりをして、何も進まなかった。
しかしこの清洲会議はある伝令で終了することになる。
「だから何度言えば分かるのだ!このハゲ頭が!」
「なんということを申すのですか!勝家殿!」
「ちょっとちょっと!明智殿も柴田殿も落ち着いてください!」
その時、勢いよく 会議をしていた部屋のふすまが開いた。
「勝家様!大変でございます!」
「何だ!会議中は入るなと言ったではないか!」
「まだ会議中だったのですか…ってそんなことはどうでもいいのです!」
「上杉が…上杉が我が領内に侵入してきました!!」
「な、何だと!!」
これまで明智光秀に怒鳴っていた柴田勝家は今度は伝令に怒鳴った。
「上杉勢は越中を制圧し、なお進軍を続けており現在前田利家様、佐々成政様が応戦していますが七尾城の陥落は避けられないかと…」
「…どうやら会議はここまでのようですね。」
明智光秀は足利義昭の御内書が全く効果を発揮していないことに驚くこともせず、その伝令を聞き終わったあと咳払いをして言った。
「このあとの会議はまたどこかで行いましょう。それまでの間我ら3勢力は休戦でいかがでしょうか?」
「ああ、それでいい。ではわしは越前に戻らせていただく!」
柴田勝家はそう言うと足早に清洲城を後にした。
そして柴田勝家がいなくなったのを確認して、ここまで目立つ動きをしていなかった羽柴秀吉が口を開いた。
「明智殿、少しよろしいでしょうか?」
「何でしょうか?羽柴殿?」
「実は………」
「…なるほど、実にいい話ですね。そのように進めさせていただきます。」
「ありがたいです…」
この明智光秀と羽柴秀吉の会話がこのあとの織田家を大いに狂わせていくのである。
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