前世馴染と来世でも絶対に一緒になるハナシ

赤茄子橄

文字の大きさ
上 下
19 / 19
第2章 ココロはアツい内に撃て

第19話 キミの高校の制服姿

しおりを挟む
ふぅ......。朝からひどい目にあった。
いや、ある意味めちゃくちゃ素敵なご褒美みたいな展開だったんだけどさ。

夕愛を起こしに来たのに結局、僕が一旦帰宅を余儀なくされるなんて......。

しかもおろしたての制服が無残なことに......。予備を買っておいて、本当によかった。

夕愛にバレてないよね?
僕の男としての尊厳はまだかろうじて守られてるよね?

まさか、触られてもないのに、キスされただけで出してしまうなんて......。
それもこれも、夕愛が朝から可愛すぎるからだめなんだ。

あれから夕愛とは目線を交わらせないようにして急いで家に帰ってきて着替えて、また夕愛を迎えに来た。

だから多分、ユウにはいろいろばれてると思うけど、夕愛にはバレてない。と信じたい。

これも夕愛と目があうときには考えないようにしないとな......。

夕愛との朝のいちゃいちゃタイムが終わって、僕が着替えている間に、夕愛は朝ごはんを食べだしていた。
もう一度夕愛の家におじゃましてしばらくは、朝ご飯のパンと牛乳をのんびりモキュモキュと頬張る夕愛を眺めて幸せな気持ちに浸っていた。

そして今、食べ終わって、制服に着替える前にシャワーを浴びてくるということで、絶賛待ちぼうけを食らっているところだ。

うーん、起こしに来たときは、夕愛が準備にかかる時間も考慮してかなり早めに来たはずなんだけど。
気づいたらもう結構遅刻ギリギリの時間だ。

本当ならいつもの2人・・・・・・とも一緒に初登校を決めるつもりだったのに、まったく夕愛め。
可愛すぎるというのは本当に罪だ。

ついつい時間を忘れていちゃついてしまったじゃないか。

まぁ、2人にはさっきメッセージアプリのCHAINチェインで先に学校に向かってもらうように伝えておいたからいいけどさ......。





ややあって。

ガチャッ。

シャワーをでて自室に向かった夕愛がリビングのドアを開けた。


..................?


柊さんお義父さん奏恋さんお義母さんもすでに仕事にでかけていて、今、家の中には僕と夕愛しかいないはず。
だからこそ、さっきドアを開けたのは夕愛だと確信できたんだけど......。

さっきから半ドアの状態で一向に姿を見せてはくれない。

ドアの中央部分には縦にすりガラスがあしらわれているので、その先にいる人のシルエットがぼんやり見える。
間違いなく夕愛。

すりガラスのシルエットだけで可愛いなんてまじで天使だわ。

「おーい、夕愛~?どうしたのー?」

・・・。

しばらく待っても入ってくることはなく、声を出せない夕愛から返事が返ってくることはもちろんない。
その代わり、いつもの何かを書く音が聞こえてきた。

理由はよくわからないけど、たぶん、いつも家の中で使っているお絵かきボードに何か書いてるんだろうな。

あの先端が磁石でできたペンで文字とか絵とかを書くとボード側の砂鉄が反応して書けるやつ。
ボードの下のレバーをを左右に動かしたら消せるやつね。

紙とかペンだと書くたびに消費しちゃうけど、あれなら何回でも使えるから、夕愛は家の中ではあれを使ってコミュニケーションを取っている。
外に出る時はわりと邪魔なので普通のメモ帳を持ち歩いてる。

まぁ、僕とは目が合えば意思疎通できるんだけどね。


夕愛が書き終わるまで待っていると、すっと半ドアの隙間から文字が書かれたホワイトボードが差し出された。
手首から先とホワイトボードだけが見えている状態。

その白い板には、黒い磁石で

そこには。

『セーフクすがた、初めて見せるから恥ずかしい><』

と書かれていた。

なるほど、着替えてきて初めての制服姿を僕に見られるのが恥ずかしいと。

なんじゃそりゃ!
カワイイの権化!カワイイの暴力!作られていない天然のカワイイ!カワイイは作られていない!?
書いてる内容はもちろん可愛い。丸っこい文字も可愛い。差し出された手首から先も可愛い。
うーん、世が世ならこのシチュエーションだけで人が萌え逝くだろうな~。
さすが僕の夕愛だ!



........................ふぅ。落ち着け僕。
このテンションで夕愛の制服見たら、僕は鼻血を出して気絶してしまうかもしれない。

夕愛を遅刻させないために、ここは冷静に。ステイクールだ。

よし。

「大丈夫だよ。心配しないで!夕愛はどんなかっこしてても、世界一かわいいよ!何を着てても、まだちゃんと見たことはないけど多分何も着てなくても世界一だよ!」

夕愛は、僕のその言葉にビクッと反応したかと思うとボードを引っ込めて、ゆっくりとドアを開けた。
そして、恥ずかしそうにうつむきながらリビングに入ってきた。

そこに天使がいた。いや、おわした。

あ、誤解しないでね、天使あまつかじゃないよ、天使てんしね。
遥のことじゃないからね。

僕らの学校の制服は特段変わったものってわけじゃない。
男子は深緑のブレザーに同色のスラックス。
女子は同じく深緑のブレザーに、赤と深緑のチェックのスカート。

どこにでもありそうな制服。

でもそれを着ている素材夕愛があまりにも眩しく輝いているからだろうか。

初めて見た夕愛の高校の制服姿は、まるで地味な制服太陽夕愛に照らされるかのように、眩しく見えた。

成長期だからと大きめのを買ったからか、新品でまだ自然に萌え袖になって指先だけが見えている感じとかは少女そのものなのに、これまでの中学の制服に比べてなぜか少し大人っぽく見えるのはこれいかに。
やばい、ニヤケが止まらないし、可愛すぎて顔がアツい。
というか、物理的に顔に血が上ってきてる。鼻血出そう......。

いやらしさで言えばさっきまでのベッドでの格好の方が上のはずなのに......。



あまりの可愛さに僕が言葉を発することもできずにワナワナしていたからだろう。
不安そうに上目遣いでこちらを見て、<どう......かな?似合う......?>と思考を送ってこられてしまった。

たぶん目が合った瞬間、その刹那で全部の感想が伝わったんだろうね。
はい、首かしげ上目遣い+真っ赤な顔+萌え袖のコンボいただきました。







僕の意識は、最後に自分が吹き出した鼻血を視界の端に捉えたところで途絶えた。

どうやらカワイイは人を気絶させられるらしい。
しおりを挟む
感想 1

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(1件)

スパークノークス

おもしろい!
お気に入りに登録しました~

2021.09.03 赤茄子橄

ありがとうございます!

解除

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

地獄の業火に焚べるのは……

緑谷めい
恋愛
 伯爵家令嬢アネットは、17歳の時に2つ年上のボルテール侯爵家の長男ジェルマンに嫁いだ。親の決めた政略結婚ではあったが、小さい頃から婚約者だった二人は仲の良い幼馴染だった。表面上は何の問題もなく穏やかな結婚生活が始まる――けれど、ジェルマンには秘密の愛人がいた。学生時代からの平民の恋人サラとの関係が続いていたのである。  やがてアネットは男女の双子を出産した。「ディオン」と名付けられた男児はジェルマンそっくりで、「マドレーヌ」と名付けられた女児はアネットによく似ていた。  ※ 全5話完結予定  

蔑ろにされた王妃と見限られた国王

奏千歌
恋愛
※最初に公開したプロット版はカクヨムで公開しています 国王陛下には愛する女性がいた。 彼女は陛下の初恋の相手で、陛下はずっと彼女を想い続けて、そして大切にしていた。 私は、そんな陛下と結婚した。 国と王家のために、私達は結婚しなければならなかったから、結婚すれば陛下も少しは変わるのではと期待していた。 でも結果は……私の理想を打ち砕くものだった。 そしてもう一つ。 私も陛下も知らないことがあった。 彼女のことを。彼女の正体を。

生まれ変わっても一緒にはならない

小鳥遊郁
恋愛
カイルとは幼なじみで夫婦になるのだと言われて育った。 十六歳の誕生日にカイルのアパートに訪ねると、カイルは別の女性といた。 カイルにとって私は婚約者ではなく、学費や生活費を援助してもらっている家の娘に過ぎなかった。カイルに無一文でアパートから追い出された私は、家に帰ることもできず寒いアパートの廊下に座り続けた結果、高熱で死んでしまった。 輪廻転生。 私は生まれ変わった。そして十歳の誕生日に、前の人生を思い出す。

【完結】辺境伯令嬢は新聞で婚約破棄を知った

五色ひわ
恋愛
 辺境伯令嬢としてのんびり領地で暮らしてきたアメリアは、カフェで見せられた新聞で自身の婚約破棄を知った。アメリアは真実を確かめるため、3年ぶりに王都へと旅立った。 ※本編34話、番外編『皇太子殿下の苦悩』31+1話、おまけ4話

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります

真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」 婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。  そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。  脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。  王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。

アルバートの屈辱

プラネットプラント
恋愛
妻の姉に恋をして妻を蔑ろにするアルバートとそんな夫を愛するのを諦めてしまった妻の話。 『詰んでる不憫系悪役令嬢はチャラ男騎士として生活しています』の10年ほど前の話ですが、ほぼ無関係なので単体で読めます。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。