18 / 27
16-①
しおりを挟む
伝説に謳われる魔神の復活より七日。
その僅かな時の間に、王国全土は混乱の渦の中へと突き落とされた。
山野に魔物が溢れ、街道は寸断され、人々の心に大きな影を落とす。
歴史あるヴェルストの国家としての秩序は、砂糖菓子が雨に打たれるかのように崩壊しつつあった。
だが、何事にも例外があるのが人の世の常というものだ。
「さあ、今日も魔物を血祭りにあげるか!」
冗談めかした台詞を口にしながら、農夫たちは飛び切りの笑顔を交わす。
如何に多くの魔物の首を上げるか。
ヴァイス村においてそれは、最も手軽な娯楽である。
村を悩ませていた『騎士崩れ』の姿も今は無い。
こんな辺境でちまちまと名声を稼がなくとも、この状況なら士官先と戦場には事欠かないのだから。
そんな具合でヴァイス村の住人たちはこの所、娯楽と農作業に明け暮れる充実した毎日を過ごす事が出来ている。
皮肉な事に魔神の復活は世情とは真逆に、ヴァイス村へひと時の安寧を齎したのだった。
とは言え、それが一時的なガス抜きでしか無い事もまた事実。
「やっぱりアイツらに食料売らなきゃダメでしょうか……?」
村娘は内心の不満を捨てきれないのか、本日何度目かになる抗議を主へと送る。
エレノアは申し訳なく思いつつも、やんわりと首を横に振って応えた。
「今は街の方も兵の糧秣が必要ですからね。軍の動きが鈍ればこの辺りの治安も乱れますよ」
「ごもっともな事とは思いますが、それで助かるのが他の村というのが納得いかないんです……」
「もし村が滅んで難民が出れば一部がここに流れて来るか、最悪の場合山賊化して襲ってきますので」
そしてそれらを無視したり返り討ちにした場合、後であの王子が突っついてくるのは目に見えている事だった。
「それに住む場所が無くなる辛さはアナタ達もよく分かっているでしょう?」
少し卑怯な物言いか、とエレノアは罪悪感を覚えながらそう口にした。
村娘は唸りを上げつつ、何とか内心の不満を封じ込めようとしている。
「で、でも! 格安で売るのは仕方ないにしても、せめてカブ! アイツらに売るのはカブだけって事にしましょう! 街の奴らも散々フザケタ真似してくれたんですからッ!」
「え、ええ……? それでアナタの気が済むなら次回からはそうしますが」
「ありがとうございます、お嬢様! うへへ、見てろよぉ……。全部カブの酢漬けでぎゅうぎゅうにしてやる……!」
それが嫌がらせになるのかどうかエレノアには判別が付かなかったが、村娘はそれで納得したようである。
とりあえず軍が漬け物臭くなることだけは確実だろう。
「それじゃあ、後はお願いね。本当は私が街まで行ければ良いのだけど」
「今は魔物が多いですからどうかお嬢様はご自愛ください。こんな些事は私の仕事で十分です」
「アナタも女の子なんだから、道中怪我しないようにね?」
「お任せください! 魔物の鎮圧は弟たちの世話で慣れてますから!」
「……弟さんたちは随分とたくましい教育法を受けてらっしゃるようで」
エレノアは遠い目をしながら村を出る荷馬車を見送った。
あの調子なら村娘もちゃんと『お役目』を果たす事が出来るだろう。
今はヴァイス村を取り巻く状況が好転しているとはいえ、それも結局は一時的な事。
いつまたビョルンの嫌がらせが始まるのか分かったものでは無い。
そして村人の限界点も案外低い事を、先日の騒ぎでエレノアは思い知った。
だからこそ今の内に、街に恩義を売りつつ釘を刺しておくべきなのだ。
そして村の中で一番圧が強いであろう人物は、あの村娘をおいて他は無い。
「交渉事は強気で攻めるのが基本ですわよね」
次は自分の仕事をする番である。
エレノアは独り言を呟きながら気合を入れ、自宅の扉をゆっくりと開く。
そして部屋に入り切る前に、顔に不穏な笑みを張り付けるのだった。
「――さて、では弁解をお聞きしましょうか?」
エレノアが微笑みかけた先には、翼を畳んで縮こまっている悪魔の姿があった。
◆
世の中にはどんな国、文化においても変わることの無い普遍的常識というものがある。
すなわち、報告・連絡・相談。
異なる世界で二度の人生を経験したエレノアから見ても、それは社会人の常識だと断言出来た。
土台取引というものは互いに相手を敬う事で成立するものである。
自分の都合で相手の都合をかき乱し、それで信頼関係など築けるわけなどないのだから。
エレノアの目の前の悪魔もそれが分かっているのか、居心地が悪そうに冷や汗をかいていた。
「えー……、本日は多大なるご迷惑をお掛けいたしました事を深くお詫び申し上げる次第でございまして。しかしながら今回の件につきましては、日々目まぐるしく変わる社会情勢に対応するべくイニシアチヴを取り、それによるベネフィットを関係する皆様とシェアするべく、エレノア様とのコミットメントを――」
「要するにアナタ方の勝手な都合でコチラは振り回された、と」
机を指先で叩きながら言葉を遮ると、悪魔はびくりと震えた。
気の毒な様ではあるが、だからと言ってエレノアはこれで矛を収める気も無かった。
「先に取引を持ち掛けて来たのはそちらですわよね」
「そ、そうでございますです、はい」
悪魔は先日の横柄な態度もなりを顰め、言葉遣いまで怪しくなる始末。
頬も痩せこけている辺り、ここに来る前から問題の対応に走り回っていたであろう事が伺い知れる。
そも魔神の宣戦布告はエレノアの知識よりも一か月以上早い。
本来それが兵力確保に充てるべき時間であったのならば、今の状況は魔神の配下からしても不測の事態に違いない。
「先に動かれては共闘も何も無いでしょう。こちらにも相応の準備というものがあります」
「おっしゃる通りです。調整に纏わる損失に付きましては、全面的にこちらの方で負担をさせて頂きますので」
「損失がどうこうでは無く、これは信頼の問題です。こんな事では今後の契約も見送らなければなりませんわね……」
「そ、そんな! お待ちください! 今アナタとの大口契約まで失ってしまうわけにはいかないんです! ただでさえ愛想を尽かして離反者が出ているのに、失態が続けばそれに拍車がかかるじゃないですか!」
悪魔は自分が失言をした事に気づかず、必死にエレノアを引き留めようとしている。
どうやら彼のおかれている状況は相当に悪いらしい。
「せめて誠意を見せて頂きたいものですわね……」
エレノアはわざとらしくため息を吐いた後、内心で悪魔に詫びを入れた。
これはただの『ポーズ』である。
魔神との協力をする気など端から無い。
国を滅ぼしたところで得られるものは一時の解放感ぐらいのものだ。
それでもこうして交渉する振りをするのは、ただ情報が欲しいからに他ならない。
こんな混乱を引き起こされて、この先世情がどう動くのか。
それはもう神にだって分からないことだろう。
そしてエレノアを取り巻く問題には、何をしでかすか予想の付かない爆弾が付いて回るのだ。
「……分かりました。恥を忍んで全てお話しましょう」
悪魔はしょんぼりと肩を落とし、ついに根を上げた。
魔神側でどのような問題が起きたのか。
それが判明すればある程度は先の見通しも立つと言うものだ。
その僅かな時の間に、王国全土は混乱の渦の中へと突き落とされた。
山野に魔物が溢れ、街道は寸断され、人々の心に大きな影を落とす。
歴史あるヴェルストの国家としての秩序は、砂糖菓子が雨に打たれるかのように崩壊しつつあった。
だが、何事にも例外があるのが人の世の常というものだ。
「さあ、今日も魔物を血祭りにあげるか!」
冗談めかした台詞を口にしながら、農夫たちは飛び切りの笑顔を交わす。
如何に多くの魔物の首を上げるか。
ヴァイス村においてそれは、最も手軽な娯楽である。
村を悩ませていた『騎士崩れ』の姿も今は無い。
こんな辺境でちまちまと名声を稼がなくとも、この状況なら士官先と戦場には事欠かないのだから。
そんな具合でヴァイス村の住人たちはこの所、娯楽と農作業に明け暮れる充実した毎日を過ごす事が出来ている。
皮肉な事に魔神の復活は世情とは真逆に、ヴァイス村へひと時の安寧を齎したのだった。
とは言え、それが一時的なガス抜きでしか無い事もまた事実。
「やっぱりアイツらに食料売らなきゃダメでしょうか……?」
村娘は内心の不満を捨てきれないのか、本日何度目かになる抗議を主へと送る。
エレノアは申し訳なく思いつつも、やんわりと首を横に振って応えた。
「今は街の方も兵の糧秣が必要ですからね。軍の動きが鈍ればこの辺りの治安も乱れますよ」
「ごもっともな事とは思いますが、それで助かるのが他の村というのが納得いかないんです……」
「もし村が滅んで難民が出れば一部がここに流れて来るか、最悪の場合山賊化して襲ってきますので」
そしてそれらを無視したり返り討ちにした場合、後であの王子が突っついてくるのは目に見えている事だった。
「それに住む場所が無くなる辛さはアナタ達もよく分かっているでしょう?」
少し卑怯な物言いか、とエレノアは罪悪感を覚えながらそう口にした。
村娘は唸りを上げつつ、何とか内心の不満を封じ込めようとしている。
「で、でも! 格安で売るのは仕方ないにしても、せめてカブ! アイツらに売るのはカブだけって事にしましょう! 街の奴らも散々フザケタ真似してくれたんですからッ!」
「え、ええ……? それでアナタの気が済むなら次回からはそうしますが」
「ありがとうございます、お嬢様! うへへ、見てろよぉ……。全部カブの酢漬けでぎゅうぎゅうにしてやる……!」
それが嫌がらせになるのかどうかエレノアには判別が付かなかったが、村娘はそれで納得したようである。
とりあえず軍が漬け物臭くなることだけは確実だろう。
「それじゃあ、後はお願いね。本当は私が街まで行ければ良いのだけど」
「今は魔物が多いですからどうかお嬢様はご自愛ください。こんな些事は私の仕事で十分です」
「アナタも女の子なんだから、道中怪我しないようにね?」
「お任せください! 魔物の鎮圧は弟たちの世話で慣れてますから!」
「……弟さんたちは随分とたくましい教育法を受けてらっしゃるようで」
エレノアは遠い目をしながら村を出る荷馬車を見送った。
あの調子なら村娘もちゃんと『お役目』を果たす事が出来るだろう。
今はヴァイス村を取り巻く状況が好転しているとはいえ、それも結局は一時的な事。
いつまたビョルンの嫌がらせが始まるのか分かったものでは無い。
そして村人の限界点も案外低い事を、先日の騒ぎでエレノアは思い知った。
だからこそ今の内に、街に恩義を売りつつ釘を刺しておくべきなのだ。
そして村の中で一番圧が強いであろう人物は、あの村娘をおいて他は無い。
「交渉事は強気で攻めるのが基本ですわよね」
次は自分の仕事をする番である。
エレノアは独り言を呟きながら気合を入れ、自宅の扉をゆっくりと開く。
そして部屋に入り切る前に、顔に不穏な笑みを張り付けるのだった。
「――さて、では弁解をお聞きしましょうか?」
エレノアが微笑みかけた先には、翼を畳んで縮こまっている悪魔の姿があった。
◆
世の中にはどんな国、文化においても変わることの無い普遍的常識というものがある。
すなわち、報告・連絡・相談。
異なる世界で二度の人生を経験したエレノアから見ても、それは社会人の常識だと断言出来た。
土台取引というものは互いに相手を敬う事で成立するものである。
自分の都合で相手の都合をかき乱し、それで信頼関係など築けるわけなどないのだから。
エレノアの目の前の悪魔もそれが分かっているのか、居心地が悪そうに冷や汗をかいていた。
「えー……、本日は多大なるご迷惑をお掛けいたしました事を深くお詫び申し上げる次第でございまして。しかしながら今回の件につきましては、日々目まぐるしく変わる社会情勢に対応するべくイニシアチヴを取り、それによるベネフィットを関係する皆様とシェアするべく、エレノア様とのコミットメントを――」
「要するにアナタ方の勝手な都合でコチラは振り回された、と」
机を指先で叩きながら言葉を遮ると、悪魔はびくりと震えた。
気の毒な様ではあるが、だからと言ってエレノアはこれで矛を収める気も無かった。
「先に取引を持ち掛けて来たのはそちらですわよね」
「そ、そうでございますです、はい」
悪魔は先日の横柄な態度もなりを顰め、言葉遣いまで怪しくなる始末。
頬も痩せこけている辺り、ここに来る前から問題の対応に走り回っていたであろう事が伺い知れる。
そも魔神の宣戦布告はエレノアの知識よりも一か月以上早い。
本来それが兵力確保に充てるべき時間であったのならば、今の状況は魔神の配下からしても不測の事態に違いない。
「先に動かれては共闘も何も無いでしょう。こちらにも相応の準備というものがあります」
「おっしゃる通りです。調整に纏わる損失に付きましては、全面的にこちらの方で負担をさせて頂きますので」
「損失がどうこうでは無く、これは信頼の問題です。こんな事では今後の契約も見送らなければなりませんわね……」
「そ、そんな! お待ちください! 今アナタとの大口契約まで失ってしまうわけにはいかないんです! ただでさえ愛想を尽かして離反者が出ているのに、失態が続けばそれに拍車がかかるじゃないですか!」
悪魔は自分が失言をした事に気づかず、必死にエレノアを引き留めようとしている。
どうやら彼のおかれている状況は相当に悪いらしい。
「せめて誠意を見せて頂きたいものですわね……」
エレノアはわざとらしくため息を吐いた後、内心で悪魔に詫びを入れた。
これはただの『ポーズ』である。
魔神との協力をする気など端から無い。
国を滅ぼしたところで得られるものは一時の解放感ぐらいのものだ。
それでもこうして交渉する振りをするのは、ただ情報が欲しいからに他ならない。
こんな混乱を引き起こされて、この先世情がどう動くのか。
それはもう神にだって分からないことだろう。
そしてエレノアを取り巻く問題には、何をしでかすか予想の付かない爆弾が付いて回るのだ。
「……分かりました。恥を忍んで全てお話しましょう」
悪魔はしょんぼりと肩を落とし、ついに根を上げた。
魔神側でどのような問題が起きたのか。
それが判明すればある程度は先の見通しも立つと言うものだ。
83
お気に入りに追加
7,999
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢は永眠しました
詩海猫
ファンタジー
「お前のような女との婚約は破棄だっ、ロザリンダ・ラクシエル!だがお前のような女でも使い道はある、ジルデ公との縁談を調えてやった!感謝して公との間に沢山の子を産むがいい!」
長年の婚約者であった王太子のこの言葉に気を失った公爵令嬢・ロザリンダ。
だが、次に目覚めた時のロザリンダの魂は別人だった。
ロザリンダとして目覚めた木の葉サツキは、ロザリンダの意識がショックのあまり永遠の眠りについてしまったことを知り、「なぜロザリンダはこんなに努力してるのに周りはクズばっかりなの?まかせてロザリンダ!きっちりお返ししてあげるからね!」
*思いつきでプロットなしで書き始めましたが結末は決めています。暗い展開の話を書いているとメンタルにもろに影響して生活に支障が出ることに気付きました。定期的に強気主人公を暴れさせないと(?)書き続けるのは不可能なようなのでメンタル状態に合わせて書けるものから書いていくことにします、ご了承下さいm(_ _)m
乙女ゲームの世界だと、いつから思い込んでいた?
シナココ
ファンタジー
母親違いの妹をいじめたというふわふわした冤罪で婚約破棄された上に、最北の辺境地に流された公爵令嬢ハイデマリー。勝ち誇る妹・ゲルダは転生者。この世界のヒロインだと豪語し、王太子妃に成り上がる。乙女ゲームのハッピーエンドの確定だ。
……乙女ゲームが終わったら、戦争ストラテジーゲームが始まるのだ。
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
毒を盛られて生死を彷徨い前世の記憶を取り戻しました。小説の悪役令嬢などやってられません。
克全
ファンタジー
公爵令嬢エマは、アバコーン王国の王太子チャーリーの婚約者だった。だがステュワート教団の孤児院で性技を仕込まれたイザベラに籠絡されていた。王太子達に無実の罪をなすりつけられエマは、修道院に送られた。王太子達は執拗で、本来なら侯爵一族とは認められない妾腹の叔父を操り、父親と母嫌を殺させ公爵家を乗っ取ってしまった。母の父親であるブラウン侯爵が最後まで護ろうとしてくれるも、王国とステュワート教団が協力し、イザベラが直接新種の空気感染する毒薬まで使った事で、毒殺されそうになった。だがこれをきっかけに、異世界で暴漢に腹を刺された女性、美咲の魂が憑依同居する事になった。その女性の話しでは、自分の住んでいる世界の話が、異世界では小説になって多くの人が知っているという。エマと美咲は協力して王国と教団に復讐する事にした。
悪役令嬢ですが、ヒロインの恋を応援していたら婚約者に執着されています
窓辺ミナミ
ファンタジー
悪役令嬢の リディア・メイトランド に転生した私。
シナリオ通りなら、死ぬ運命。
だけど、ヒロインと騎士のストーリーが神エピソード! そのスチルを生で見たい!
騎士エンドを見学するべく、ヒロインの恋を応援します!
というわけで、私、悪役やりません!
来たるその日の為に、シナリオを改変し努力を重ねる日々。
あれれ、婚約者が何故か甘く見つめてきます……!
気付けば婚約者の王太子から溺愛されて……。
悪役令嬢だったはずのリディアと、彼女を愛してやまない執着系王子クリストファーの甘い恋物語。はじまりはじまり!
悪役令嬢を陥れようとして失敗したヒロインのその後
柚木崎 史乃
ファンタジー
女伯グリゼルダはもう不惑の歳だが、過去に起こしたスキャンダルが原因で異性から敬遠され未だに独身だった。
二十二年前、グリゼルダは恋仲になった王太子と結託して彼の婚約者である公爵令嬢を陥れようとした。
けれど、返り討ちに遭ってしまい、結局恋人である王太子とも破局してしまったのだ。
ある時、グリゼルダは王都で開かれた仮面舞踏会に参加する。そこで、トラヴィスという年下の青年と知り合ったグリゼルダは彼と恋仲になった。そして、どんどん彼に夢中になっていく。
だが、ある日。トラヴィスは、突然グリゼルダの前から姿を消してしまう。グリゼルダはショックのあまり倒れてしまい、気づいた時には病院のベッドの上にいた。
グリゼルダは、心配そうに自分の顔を覗き込む執事にトラヴィスと連絡が取れなくなってしまったことを伝える。すると、執事は首を傾げた。
そして、困惑した様子でグリゼルダに尋ねたのだ。「トラヴィスって、一体誰ですか? そんな方、この世に存在しませんよね?」と──。

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

悪役令嬢に転生したら手遅れだったけど悪くない
おこめ
恋愛
アイリーン・バルケスは断罪の場で記憶を取り戻した。
どうせならもっと早く思い出せたら良かったのに!
あれ、でも意外と悪くないかも!
断罪され婚約破棄された令嬢のその後の日常。
※うりぼう名義の「悪役令嬢婚約破棄諸々」に掲載していたものと同じものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる