狼領主は俺を抱いて眠りたい

明樹

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「後でな」と囁きながら、ギデオンがリオの耳にキスをした。
 リオは耳を押さえて風呂場へと消えていくギデオンを見つめた。
 リオに想いを告げてから、ギデオンは隙あらばキスをしてくる。朝起きて、食事の後に、着替えの途中で、仕事で部屋を離れる時、戻ってきた時、会話の途中、風呂の前、寝る前…。数え上げたらきりがない。
 場所はいろいろだ。髪、額、頬、鼻、耳、首、指。でも一番多いのは、やはり唇。ギデオンの唇は乾燥しているのに、触れると柔らかい。そしてリオよりも大きいので、毎回食べられちゃうんじゃないかとドキドキする。リオは、ギデオンとのキスが大好きだ。
 たまにはリオからもする時がある。そんな時、ギデオンは少し驚いたように目を大きくし、その後、蕩けるような目をするのだ。言葉を語らずとも、目だけで愛してると言われていることがわかる。
 ギデオンは、こんなにも愛情表現が豊かなんだ。このことを知ってるのは俺だけかもしれないと、リオはギデオンの特別であることを、とても嬉しく思っていた。
 リオがギデオンのことを考えてニヤけていると、
本当にちゃんと洗ったの?という早さでギデオンが風呂から出てきた。しかもズボンは履いているが、シャツの前がはだけたままだ。髪からはポタポタと雫を垂らしている。
 リオは、ギデオンを椅子に座らせると、濡れた黒髪に触れて魔法をかけた。水分が蒸発して髪が乾いていく。時間をかけて乾かし終えると、手ぐしでギデオンの髪を整えた。

「はい、できたよ。ギデオンの髪、サラサラだねぇ」

「ありがとう」と言い終わるより早く、リオの腕が引かれ、ギデオンの膝の上に、横向きに座らされた。その上抱きしめられたために、筋肉で硬い素肌に触れて鼻血が出そうになる。
 咄嗟に両手で鼻を押さえたリオを見て、ギデオンが怪訝な顔をした。

「何をしている」
「ギデオンがえっち過ぎて…鼻血が出そう」
「ははっ!面白いことを言う。俺にはおまえの方が色っぽく見えるが」
「えっ!どこが?」

 リオは、手を下ろしてギデオンの顔を見た。
 ギデオンの顔が近づき、唇を塞がれる。舌が入ってきて、口内を蹂躙じゅうりんされる。クチュ…という音が聞こえて恥ずかしいのに、耳を触られ髪の毛の中に手を差し入れられ、反対の手が下からシャツの中に入ってきて腰を撫でられ、全身が震えてしまう。

「ふ…んっ」
「リオ…甘いな」

 キスの合間に囁くギデオンの声に、リオは、俺、甘いもの食べたっけ?と考えるけど、すぐに気持ちいいしか考えられなくなった。

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