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「ぐっ…」
「デック!」
デックが胸を押さえてうずくまる。
まだ傷が治っていなかったのかとリオがロンを見ると、ロンが悲しそうな顔でデックの身体を翼で包んだ。
リオは不安になり、上半身を屈めてデックに聞く。
「大丈夫か?他にも傷があるの?」
「ちが…っ」
「ふははは!」
アシュレイの笑い声に、リオは嫌な気持ちになる。「なんだよ」と振り返り睨みつけた。
「世界にはいろんな人がいてね。自分の先祖が魔法を使う者にひどい目に合ったからと、魔法を使えなくする薬を作った人がいるんだよ。その薬をね、デックに飲ませた」
「はあ?そんな怪しいもん飲ませんじゃねーよ!」
「まあ怪しいよな。どんな副作用があるかわからないからね。しばらくはデックは使い物にならない。だからリオ、君にデックの代わりになってもらうよ」
「ならない。俺が魔法を使うのは、好きな人を守る時だけだ。アンタのことは嫌いだから無理ですね」
「ふーん。君が言うことを聞かないと、デックとロンを殺すけど?いいの?」
「王子が脅迫とかすんなよな。だせぇ」
「君はかわいくないな」
「そもそも考えなくてもわかるだろ。村の仲間を殺した張本人の言うことを、誰が聞くんだよ。俺だってアンタを殺したいほど憎い」
「魔法を使う者って、そんなふうに主に逆らうから減っていったんだね。仕方ないな。おい」
「はい」
どこから入って来たのか、騎士の制服を着た背の高い男が奥の壁から現れた。隠し扉でもあったのだろうか。そして流れるような動きで剣を抜きロンの首を突き刺した。ロンは「ピィー!」と鳴いたが、デックを翼で包んだまま動かない。
「ロン!おいおまえっ、何してる!」
「ロン?ロン!」
リオが男の剣を落とそうと手のひらを向けたが、男の方が早かった。リオの腕と太ももを、剣で素早く切った。
「リオ!」
ロンの首から流れる血を、デックが手で押さえながら、リオにも手を伸ばす。
男は剣を鞘にしまうと、アシュレイの背後に立った。
リオは腕を押さえて男を睨む。
「くそ…おまえの顔、見たことがある。村を襲ってきた時と…隣国の王都にもいたよな?」
リオの問いにアシュレイが答えた。
「あれ?気づかれてたのか。そうだよ、君を見張らせていたんだよ」
「やることが卑怯だ…」
「第五王子ともなると、卑怯にもなるんだよ。それよりも早く傷を治しなさい。君が使いものにならなくなったら困る」
「アンタの指図は受けない…」
「本当に素直じゃないな」
アシュレイが、呆れたように大きなため息をついた。
「デック!」
デックが胸を押さえてうずくまる。
まだ傷が治っていなかったのかとリオがロンを見ると、ロンが悲しそうな顔でデックの身体を翼で包んだ。
リオは不安になり、上半身を屈めてデックに聞く。
「大丈夫か?他にも傷があるの?」
「ちが…っ」
「ふははは!」
アシュレイの笑い声に、リオは嫌な気持ちになる。「なんだよ」と振り返り睨みつけた。
「世界にはいろんな人がいてね。自分の先祖が魔法を使う者にひどい目に合ったからと、魔法を使えなくする薬を作った人がいるんだよ。その薬をね、デックに飲ませた」
「はあ?そんな怪しいもん飲ませんじゃねーよ!」
「まあ怪しいよな。どんな副作用があるかわからないからね。しばらくはデックは使い物にならない。だからリオ、君にデックの代わりになってもらうよ」
「ならない。俺が魔法を使うのは、好きな人を守る時だけだ。アンタのことは嫌いだから無理ですね」
「ふーん。君が言うことを聞かないと、デックとロンを殺すけど?いいの?」
「王子が脅迫とかすんなよな。だせぇ」
「君はかわいくないな」
「そもそも考えなくてもわかるだろ。村の仲間を殺した張本人の言うことを、誰が聞くんだよ。俺だってアンタを殺したいほど憎い」
「魔法を使う者って、そんなふうに主に逆らうから減っていったんだね。仕方ないな。おい」
「はい」
どこから入って来たのか、騎士の制服を着た背の高い男が奥の壁から現れた。隠し扉でもあったのだろうか。そして流れるような動きで剣を抜きロンの首を突き刺した。ロンは「ピィー!」と鳴いたが、デックを翼で包んだまま動かない。
「ロン!おいおまえっ、何してる!」
「ロン?ロン!」
リオが男の剣を落とそうと手のひらを向けたが、男の方が早かった。リオの腕と太ももを、剣で素早く切った。
「リオ!」
ロンの首から流れる血を、デックが手で押さえながら、リオにも手を伸ばす。
男は剣を鞘にしまうと、アシュレイの背後に立った。
リオは腕を押さえて男を睨む。
「くそ…おまえの顔、見たことがある。村を襲ってきた時と…隣国の王都にもいたよな?」
リオの問いにアシュレイが答えた。
「あれ?気づかれてたのか。そうだよ、君を見張らせていたんだよ」
「やることが卑怯だ…」
「第五王子ともなると、卑怯にもなるんだよ。それよりも早く傷を治しなさい。君が使いものにならなくなったら困る」
「アンタの指図は受けない…」
「本当に素直じゃないな」
アシュレイが、呆れたように大きなため息をついた。
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