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「デック!気がついた?」
「…リオ?」
「そうだよ、助けに来た。もう大丈夫だからな」
リオはそう言うと、魔法でデックの手首の鉄輪を外した。
吊られていた腕が自由になり、デックが前のめりに倒れそうになる。その身体を抱きとめたリオは、デックの背中を撫でて苦い顔をした。
「うわあ…ロンの唾液でベトベトじゃん」
「ロン…」
「そうだよ。ロンが傷を治してくれた。どう?まだどこか痛む?」
「だい、じょぶ…」
長い間鎖に繋がれ、ろくに食事もしていないから、頭が動かないのだろうか。まるで幼児のように覚束なく話すデックを心配しながら、リオは身体を離してコートを脱ぎ、デックの肩にかけてやった。
しかし…とリオは先ほどから感じていた不安の元を考える。
見張りが手薄ではないか?デックの所へ忍び込むのは、もっと大変だと思っていた。安易すぎないか?もしや、嵌められてはいないだろうか?
その不安が的中する。
ようやく意識が覚醒したらしいデックが、掠れた声で「逃げろっ」叫んだのだ。
「え?なんで?」
リオは一瞬、デックが錯乱しているのかと思った。国境を挟んで睨み合いをしていた時と今を、混同しているのかと思った。でも違った。デックは、時おり咳き込みながら続けた。
「ゴボッ!…これは罠だ…!リオを呼び出すための、ケホッ…俺のことなど捨て置けばいいのに…どうして来たんだ!」
「罠ってどういうことだよ!ロンが俺に助けを求めて来たんだ!おまえが死ぬかもしれないのに、放っておけるわけないだろっ」
「リオ…ごめんな。ロンっ、ゴホッコホッ…おまえが…アシュレイ王子に逆らえないことはわかってる…。だけどっ、リオを巻き込むなんてっ…許さないからな!」
「ちょっ…ちょっと!ロンを怒らないでやれよ。おまえを助けたい一心で俺の所に来たんだから」
「違う!そうじゃない!ゴホッ、罠だと…言っただろ。ロンは、アシュレイ王子に命じられてリオの所へ行ったんだ」
「え?なんて?」
「その通りだ」
いきなり聞こえてきた声に驚いた。リオは一瞬、ロンの声かと思った。でも違った。ロンは、リオの目の前で、デックを守るように背後から翼で抱きしめている。声はリオの後ろから聞こえてきた。
そうだ、この声に聞き覚えがある。優しいけど、冷たさを含んだ声の主は、アシュレイ王子だ。
「…リオ?」
「そうだよ、助けに来た。もう大丈夫だからな」
リオはそう言うと、魔法でデックの手首の鉄輪を外した。
吊られていた腕が自由になり、デックが前のめりに倒れそうになる。その身体を抱きとめたリオは、デックの背中を撫でて苦い顔をした。
「うわあ…ロンの唾液でベトベトじゃん」
「ロン…」
「そうだよ。ロンが傷を治してくれた。どう?まだどこか痛む?」
「だい、じょぶ…」
長い間鎖に繋がれ、ろくに食事もしていないから、頭が動かないのだろうか。まるで幼児のように覚束なく話すデックを心配しながら、リオは身体を離してコートを脱ぎ、デックの肩にかけてやった。
しかし…とリオは先ほどから感じていた不安の元を考える。
見張りが手薄ではないか?デックの所へ忍び込むのは、もっと大変だと思っていた。安易すぎないか?もしや、嵌められてはいないだろうか?
その不安が的中する。
ようやく意識が覚醒したらしいデックが、掠れた声で「逃げろっ」叫んだのだ。
「え?なんで?」
リオは一瞬、デックが錯乱しているのかと思った。国境を挟んで睨み合いをしていた時と今を、混同しているのかと思った。でも違った。デックは、時おり咳き込みながら続けた。
「ゴボッ!…これは罠だ…!リオを呼び出すための、ケホッ…俺のことなど捨て置けばいいのに…どうして来たんだ!」
「罠ってどういうことだよ!ロンが俺に助けを求めて来たんだ!おまえが死ぬかもしれないのに、放っておけるわけないだろっ」
「リオ…ごめんな。ロンっ、ゴホッコホッ…おまえが…アシュレイ王子に逆らえないことはわかってる…。だけどっ、リオを巻き込むなんてっ…許さないからな!」
「ちょっ…ちょっと!ロンを怒らないでやれよ。おまえを助けたい一心で俺の所に来たんだから」
「違う!そうじゃない!ゴホッ、罠だと…言っただろ。ロンは、アシュレイ王子に命じられてリオの所へ行ったんだ」
「え?なんて?」
「その通りだ」
いきなり聞こえてきた声に驚いた。リオは一瞬、ロンの声かと思った。でも違った。ロンは、リオの目の前で、デックを守るように背後から翼で抱きしめている。声はリオの後ろから聞こえてきた。
そうだ、この声に聞き覚えがある。優しいけど、冷たさを含んだ声の主は、アシュレイ王子だ。
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