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ギデオンを待っている間に、リオは腹の上の蜜を指に取り、そっと舐めてみた。決して美味しいといえるものではないものの、ギデオンから出たモノなら飲んでみたいと思った。
ふいに視線を感じて頭を上げる。ギデオンと抱き合っている間、目を閉じていたアンが、こちらを見ている。なにか言いたげだ。
「なに?」
『リオは俺のモノだ。腹の立つ。だが狼領主には逆らえぬ』
「え?どういうこと?」
久しぶりに話してくれたと思ったけど、すぐに顔を伏せ目を閉じてしまった。何度か声をかけたが、もう話してはくれなかった。
そのうちギデオンが戻り、風呂につれていかれ、丁寧に洗われ拭かれ服を着せられ、至れり尽くせりの世話をされて、共に眠りについた。幸せな気持ちで眠り、幸せな夢を見ていたが、興奮していたのか夜中に目覚めたリオは、隣で気持ち良さげに眠るギデオンを見て、更に幸せな気持ちになった。
しばらくギデオンの顔を見ていたけど、背中側で寝ていたアンが、いきなりムクリと起きた。
「ごめん…起こしちゃった?」
小声で囁き、アンの首を撫でる。
アンは、微動だにせずに窓を見ている。
「なに?どうしたの?」
アンは無言でベッドを降り窓へ行く。
リオもベッドを出ようとすると『来るな』と止められた。
「なんで?」
『部屋を出てはならぬ』
「アン?」
アンが窓から離れ、器用に扉を開けて部屋を出た。
リオは、ギデオンの顔と扉を交互に見ていたけど、アンの行動が気になり、静かにベッドを降りた。そして寝衣の上にコートを羽織りブーツを手に取ると部屋を出た。廊下の左右を見ても、もうアンの姿は見えない。でも窓を見ていたから、きっと外に行ったに違いない。
リオはブーツを履くと、廊下を進み階段を降りて外に続く扉に向かって進んだ。
この屋敷は、ギデオンの領城の五分の一ほどの大きさだ。例えるなら金持ちの商人が住む屋敷と同等の規模だ。庭も広いが全て見て回るのに、領城の庭のように一刻もかからない。
だからリオはすぐにアンを見つけた。
アンは、屋敷の表の庭に生えている大きな木を見上げていた。
リオも同じように見上げる。木の種類はわからないけど、ここに来てから鳥が木の実を啄んでいる姿を見たことがある。そして今も、鳥が頂に止まっている。木の実を啄む所か、木の枝をへし折りそうな勢いの大きな鳥だ。
「…まさか、ロン?」
リオの声に、アンが勢いよく振り返り唸った。
ふいに視線を感じて頭を上げる。ギデオンと抱き合っている間、目を閉じていたアンが、こちらを見ている。なにか言いたげだ。
「なに?」
『リオは俺のモノだ。腹の立つ。だが狼領主には逆らえぬ』
「え?どういうこと?」
久しぶりに話してくれたと思ったけど、すぐに顔を伏せ目を閉じてしまった。何度か声をかけたが、もう話してはくれなかった。
そのうちギデオンが戻り、風呂につれていかれ、丁寧に洗われ拭かれ服を着せられ、至れり尽くせりの世話をされて、共に眠りについた。幸せな気持ちで眠り、幸せな夢を見ていたが、興奮していたのか夜中に目覚めたリオは、隣で気持ち良さげに眠るギデオンを見て、更に幸せな気持ちになった。
しばらくギデオンの顔を見ていたけど、背中側で寝ていたアンが、いきなりムクリと起きた。
「ごめん…起こしちゃった?」
小声で囁き、アンの首を撫でる。
アンは、微動だにせずに窓を見ている。
「なに?どうしたの?」
アンは無言でベッドを降り窓へ行く。
リオもベッドを出ようとすると『来るな』と止められた。
「なんで?」
『部屋を出てはならぬ』
「アン?」
アンが窓から離れ、器用に扉を開けて部屋を出た。
リオは、ギデオンの顔と扉を交互に見ていたけど、アンの行動が気になり、静かにベッドを降りた。そして寝衣の上にコートを羽織りブーツを手に取ると部屋を出た。廊下の左右を見ても、もうアンの姿は見えない。でも窓を見ていたから、きっと外に行ったに違いない。
リオはブーツを履くと、廊下を進み階段を降りて外に続く扉に向かって進んだ。
この屋敷は、ギデオンの領城の五分の一ほどの大きさだ。例えるなら金持ちの商人が住む屋敷と同等の規模だ。庭も広いが全て見て回るのに、領城の庭のように一刻もかからない。
だからリオはすぐにアンを見つけた。
アンは、屋敷の表の庭に生えている大きな木を見上げていた。
リオも同じように見上げる。木の種類はわからないけど、ここに来てから鳥が木の実を啄んでいる姿を見たことがある。そして今も、鳥が頂に止まっている。木の実を啄む所か、木の枝をへし折りそうな勢いの大きな鳥だ。
「…まさか、ロン?」
リオの声に、アンが勢いよく振り返り唸った。
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