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「うわあっ」
「しっかり掴まっておけよ。落ちるぞ。アトラス、リオの馬を連れてきてくれ」
「はい」
「その犬は気にかけなくともついてくるな?」
「大丈夫です。アン、迷わずについてきてよ」
アンが大きく頷き、ビクターの馬から数歩離れて待機する。
ビクターが周りを見て、アトラスに聞く。
「ところで荷馬車の男はどこに行った?」
「リンゴを渡すと、すぐに横道に逸れて行ってしまいました。…あ!もしかしてっ」
「ああ、ケリーとグルだったのかもな」
「くそっ、あいつ…人の親切心を利用しやがって!」
怒るアトラスを後目に、ビクターが馬を走らせる。狭い道なので、周囲に気を配りながら軽快に進む。そして予定の半分以下の時間で王城に着き、騎士の専用門から中に入った。ビクターの顔がよく知られているからか、特に門番に怪しまれることなく、中に入れた。
ビクターに支えてもらいながら、城の隣の建物に向かう。荷物はアトラスが持ってくれている。アンは、時おり心配そうに見上げながら、リオのすぐ傍を歩いている。シズは、ニコラを捜しにどこかへ消えた。
リオは、てっきり医務室みたいな部屋に行くのだと思っていた。だから着いた部屋にいた人物を見て、驚き叫んだ。
「ギデオン!どうしてここに?報告は終わった?」
「リオ!おまえこそなぜここに?体調は良くなったのか?あっ、怪我をしてるではないか!」
「まあ落ち着け」
今にも突進してきそうなギデオンに手のひらを向けて、ビクターがなだめる。そしてリオを布張りの柔らかそうな椅子に座らせた。
即座に、アンがリオの足に身体を寄せて伏せる。
「ビクター、どういうことだ」
「だから落ち着けって。見ての通り、リオが襲われて怪我をした。危険だから王城に避難させた。以上だ」
「は?誰が襲った?」
「ケリーだよ」
「ケリーだと?王都に来てるのか?」
「来てる。あいつ、しつこいねぇ。そんなにもリオが好きなのかねぇ」
「くそっ、ケリーを見張っている者達は、何をしていたのだ?そんなことよりもリオ!怪我を見せてみろっ」
ギデオンが椅子に飛びつき、リオの足の手巾を強引に取ろうとする。その時、扉の外から声がして、医師が入ってきた。医師の後ろにニコラとジンもいる。
医師はリオの前に来ると、リオに群がる皆を「治療の邪魔です」と部屋の外に追いやる。しかし大人しく座るアンだけは、外に出されなかった。どうやらこの医師は、動物好きらしい。
「君は犬?狼?なんだろうね。美しい造形をしている」
「俺にもよくわからないんですけど、賢くてかわいいです」
「そのようだね。見たらわかるよ」
「しっかり掴まっておけよ。落ちるぞ。アトラス、リオの馬を連れてきてくれ」
「はい」
「その犬は気にかけなくともついてくるな?」
「大丈夫です。アン、迷わずについてきてよ」
アンが大きく頷き、ビクターの馬から数歩離れて待機する。
ビクターが周りを見て、アトラスに聞く。
「ところで荷馬車の男はどこに行った?」
「リンゴを渡すと、すぐに横道に逸れて行ってしまいました。…あ!もしかしてっ」
「ああ、ケリーとグルだったのかもな」
「くそっ、あいつ…人の親切心を利用しやがって!」
怒るアトラスを後目に、ビクターが馬を走らせる。狭い道なので、周囲に気を配りながら軽快に進む。そして予定の半分以下の時間で王城に着き、騎士の専用門から中に入った。ビクターの顔がよく知られているからか、特に門番に怪しまれることなく、中に入れた。
ビクターに支えてもらいながら、城の隣の建物に向かう。荷物はアトラスが持ってくれている。アンは、時おり心配そうに見上げながら、リオのすぐ傍を歩いている。シズは、ニコラを捜しにどこかへ消えた。
リオは、てっきり医務室みたいな部屋に行くのだと思っていた。だから着いた部屋にいた人物を見て、驚き叫んだ。
「ギデオン!どうしてここに?報告は終わった?」
「リオ!おまえこそなぜここに?体調は良くなったのか?あっ、怪我をしてるではないか!」
「まあ落ち着け」
今にも突進してきそうなギデオンに手のひらを向けて、ビクターがなだめる。そしてリオを布張りの柔らかそうな椅子に座らせた。
即座に、アンがリオの足に身体を寄せて伏せる。
「ビクター、どういうことだ」
「だから落ち着けって。見ての通り、リオが襲われて怪我をした。危険だから王城に避難させた。以上だ」
「は?誰が襲った?」
「ケリーだよ」
「ケリーだと?王都に来てるのか?」
「来てる。あいつ、しつこいねぇ。そんなにもリオが好きなのかねぇ」
「くそっ、ケリーを見張っている者達は、何をしていたのだ?そんなことよりもリオ!怪我を見せてみろっ」
ギデオンが椅子に飛びつき、リオの足の手巾を強引に取ろうとする。その時、扉の外から声がして、医師が入ってきた。医師の後ろにニコラとジンもいる。
医師はリオの前に来ると、リオに群がる皆を「治療の邪魔です」と部屋の外に追いやる。しかし大人しく座るアンだけは、外に出されなかった。どうやらこの医師は、動物好きらしい。
「君は犬?狼?なんだろうね。美しい造形をしている」
「俺にもよくわからないんですけど、賢くてかわいいです」
「そのようだね。見たらわかるよ」
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