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リオは、ギデオンから視線を逸らして文句を言う。
「魔法のことを黙ってたのを怒られるならわかるけど、魔獣を倒したのに、なんで怒られるんだよ」
ブツブツと呟いていると、悲しくなってきた。魔法を使う者だと知られて、異質なモノを見る目で見られても悲しいけど、心配してのことだとわかっていても、正しいと思っていた行動を怒られるのは悲しい。
涙で滲む目をこすっていると、いつの間にか背後に来ていたギデオンに、背中から抱きしめられた。
驚いて動きが止まる。やばい。ドキドキする。
「怒鳴って悪かった。俺達を助けてくれたんだな。感謝する。しかしあれ程の魔獣を倒すとは…。リオはすごいな」
「うん…俺は、村で一番の魔力があったから」
「そうか。リオの村は?」
「もうないよ。皆いなくなった」
「そうか」
「ねぇ、驚かないの?」
「十分に驚いている。だが、それよりも感動している。半年傍にいて、俺はリオが魔法を使うことを知らなかった。魔法を使えば楽だろうに、懸命に庭仕事や馬の世話をしている姿しか見ていない。リオは、自分のためではなく人のために魔法を使うのだな。すごいことだ」
「いやまあ…。そんな頻繁に魔法を使ってたら、誰かに見られちゃうじゃん。魔法のことが知られたら嫌だからな」
「そうか…。そういえば聞いたことがある。昔は権力者が利用するために、魔法を使う者を攫うことがあったと。しかし今はもう、その者達はいなくなったとも聞いていた」
「でもいるんだよ。ほんの少数だろうけど。だからさ、余計に希少な存在だろ?俺のことが知られたら、きっと誰かに攫われる」
「そんなことはさせない!俺は誰にも話さない。だからリオ、まだ俺の傍にいてくれるか?」
「いいの?でも、魔法の力は、余程のことがないと使わないよ?ギデオンの役に立ちたいけど、簡単には使わないよ?」
「魔法が使えようが使えまいが構わない。リオは、俺と眠ってくれるだけでいいのだ。傍にいてくれるだけでいいのだ」
「ギデオン…よかった」
リオは、ようやく全身から力を抜いた。力が抜けたら涙が出た。
ギデオンが、リオの顔を覗き込んで慌てる。
「どうした?なぜ泣く?」
リオは、身体の向きを変えて、目の前のたくましい胸に額を押しつける。
「安心した…。ギデオンに変な目で見られたらどうしようって。王様に献上されたらどうしようって」
「バカ者め。俺をそんな薄情者と思っていたのか?」
「違うけど。信用していたけど、俺は異端者だから」
「俺もリオも、同じ人間だ。リオは、俺にとって特別なんだ。何にも変え難い、大切な人だ。だから決して、勝手に自己判断で離れたりするなよ」
「なに、自己判断って」
「おまえは聡明だが、なにかと勘違いしそうで怖い」
「意味わかんねぇ」
「とにかく、傍にいろってことだ」
「うん…」
「魔法のことを黙ってたのを怒られるならわかるけど、魔獣を倒したのに、なんで怒られるんだよ」
ブツブツと呟いていると、悲しくなってきた。魔法を使う者だと知られて、異質なモノを見る目で見られても悲しいけど、心配してのことだとわかっていても、正しいと思っていた行動を怒られるのは悲しい。
涙で滲む目をこすっていると、いつの間にか背後に来ていたギデオンに、背中から抱きしめられた。
驚いて動きが止まる。やばい。ドキドキする。
「怒鳴って悪かった。俺達を助けてくれたんだな。感謝する。しかしあれ程の魔獣を倒すとは…。リオはすごいな」
「うん…俺は、村で一番の魔力があったから」
「そうか。リオの村は?」
「もうないよ。皆いなくなった」
「そうか」
「ねぇ、驚かないの?」
「十分に驚いている。だが、それよりも感動している。半年傍にいて、俺はリオが魔法を使うことを知らなかった。魔法を使えば楽だろうに、懸命に庭仕事や馬の世話をしている姿しか見ていない。リオは、自分のためではなく人のために魔法を使うのだな。すごいことだ」
「いやまあ…。そんな頻繁に魔法を使ってたら、誰かに見られちゃうじゃん。魔法のことが知られたら嫌だからな」
「そうか…。そういえば聞いたことがある。昔は権力者が利用するために、魔法を使う者を攫うことがあったと。しかし今はもう、その者達はいなくなったとも聞いていた」
「でもいるんだよ。ほんの少数だろうけど。だからさ、余計に希少な存在だろ?俺のことが知られたら、きっと誰かに攫われる」
「そんなことはさせない!俺は誰にも話さない。だからリオ、まだ俺の傍にいてくれるか?」
「いいの?でも、魔法の力は、余程のことがないと使わないよ?ギデオンの役に立ちたいけど、簡単には使わないよ?」
「魔法が使えようが使えまいが構わない。リオは、俺と眠ってくれるだけでいいのだ。傍にいてくれるだけでいいのだ」
「ギデオン…よかった」
リオは、ようやく全身から力を抜いた。力が抜けたら涙が出た。
ギデオンが、リオの顔を覗き込んで慌てる。
「どうした?なぜ泣く?」
リオは、身体の向きを変えて、目の前のたくましい胸に額を押しつける。
「安心した…。ギデオンに変な目で見られたらどうしようって。王様に献上されたらどうしようって」
「バカ者め。俺をそんな薄情者と思っていたのか?」
「違うけど。信用していたけど、俺は異端者だから」
「俺もリオも、同じ人間だ。リオは、俺にとって特別なんだ。何にも変え難い、大切な人だ。だから決して、勝手に自己判断で離れたりするなよ」
「なに、自己判断って」
「おまえは聡明だが、なにかと勘違いしそうで怖い」
「意味わかんねぇ」
「とにかく、傍にいろってことだ」
「うん…」
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