狼領主は俺を抱いて眠りたい

明樹

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 何だか騒がしい。アンが吠えてる?それとピイピイと甲高い声。鳥の鳴き声?ここは…どこだ?
 リオは目を覚ました。真っ白な天井が目に入る。騒音の元へ目を向けると、アンが窓辺に向かって吠えている。窓の手前の天井から大きな鳥籠とりかごがぶら下がり、そこに大きな鳥の姿が。あれは…たか

「おいこら犬。ロンをいじめるな」

 部屋の中央に立つデックが、アンに対して追い払う素振りをする。そして腕を差し出すと、ロンと呼ばれた鷹が、デックの腕に飛び移る。鋭い爪がくい込んでいるようだけど、痛くはないのだろうか?というか、今、アンのこと犬って言った?

「…犬じゃない。アンだ」
「よぉ、ようやく起きたのかよ」

 デックがリオを見て目を見開き、すぐに細めた。
 リオは、ゆっくりと上半身を起こす。少し発熱してるようだけど、目眩もなく起き上がれそうだ。

「治癒してくれたの?」
「そうだよ」
「助けてくれてありがとう。でも離せって言ったのに無理矢理連れてきたの、許さないよ。それで、ここはどこ?」
「俺の主の隠れ家」
「主って、あの青灰色の髪の人?」
「そう。アシュレイって言うんだ。あの人、かっこいいだろ?」
「…まあ」
「なんだよ、その反応」

 面白くなさそうに眉を寄せて、デックはロンの頭を指で撫でる。
 リオもアンを呼ぶ。アンは嬉しそうにベッドに飛び乗り身体を擦り寄せてきた。
 デックはアシュレイを信頼しているのか。あの人、かっこいいとは思うけど、ギデオンの方がかっこいい。でもそれは、俺がギデオンのことを特別に想っているから、そう思うのかな。
 そんなことを考えながら、リオは撫でられて気持ちよさげにしているアンからロンに目を移す。

「その鷹、デックに慣れてるね」
「かわいいだろ?リオがその犬を大切な家族だと言ったように、ロンは俺にとっての大切な家族だ」
「犬じゃない、アンだ。その鷹…ロンは綺麗だな」
「だろ?やっぱりリオとは話が合うな!」

 リオはデックを見て苦笑し、首を巡らせる。
 白い壁に白い天井の広い部屋。リオの部屋よりは広くギデオンの部屋よりは狭い。扉や棚、机や椅子に浮き彫りのような装飾もない。とても質素だ。隠れ家だからか。そして家全体が、こんな作りなのか。
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