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「失礼、入るがいいか」
「どうぞ」
声を聞いて、リオが素早く扉の前に立つ。そして扉が開くと同時に頭を下げる。
「お久しぶりでございます。こちらの城にいらっしゃってたのですか?」
「ああ。おまえ達が来る少し前に来ていた。カエン、久しぶりだな。元気そうだ」
「レオナルト王、ご無沙汰しております」
部屋に来たのは水の国スイの王、レオナルトだった。
レオナルト王は頭を下げるリオの肩に手を置き、俺を見て微笑む。
俺は身体を起こして立ち上がり、レオナルト王に近づいた。
「お会いできて嬉しいです」
「俺もだ」
俺よりも背の高いレオナルト王を見上げて笑う。レオナルト王は、父さまと顔を合わせば嫌味を言うけど、俺にはとても優しい。本気なのかどうかわからないけど、カナデを愛していたと俺相手によく話して、父さまとナジャに怒られていた。
レオナルト王が俺の背中に手を添えて、ソファーに並んで座る。そして俺の顔をじっと見る。
やはりアレン王子はレオナルト王に似てるなと、俺も見つめ返しながら思った。するとレオナルト王も同じようなことを思っていたらしく、目を細めて頷く。
「カエン、いや、今はカエン王か。君はカナデに似てきたな」
「そうですか?父さまにそっくりだとよく言われるのですが」
「ああ、パッと見た感じはアルファム前王に似ているが、よく見ると目元や口元がカナデに似ていると思う」
「そうだったら嬉しいです」
俺は母さまの顔を思い浮かべる。艶やかな黒髪に誰よりも白い肌。大きな目に小さな唇。笑うと可憐な花のようで、父さまがベタ惚れした気持ちもわかる。それはきっと、俺が今、ハオランを愛しく思う気持ちと同じだ。ハオランも、この世界の誰よりも可愛くて美しい…と俺は思っている。
「ところで」と呟くレオナルト王の声に、再び顔を上げる。
「はい」
「牢に捕らえていた罪人が消えたらしいな」
「そうなんです。すいません…俺が結界を解くように言ったから」
「いや、カエンのせいではない。ただ、どこに消えたのか気になるな。彼は…カナデのように別の世界から来たのだって?」
「はい。消えたのは、たぶん、元の世界に戻ったのだと思います」
「そうか。カナデがいた世界から来たのだろうか」
「いえ、違うようですよ。国の名前が違いましたから」
「そうか…」
レオナルト王が、残念そうに息を吐く。母さまがいた世界が、気になるのか。
母さまはニホンという所から来た。でもハオランはチュウカという所からだ。母さまが生まれた所と違うけど、ハオランが生まれて育ってきたチュウカが、どのような所なのか、俺はとても興味がある。
ところでアレン王子は、ハオランのことを父王に話したのだろうかと気になっていると、窓の外から騒がしい声が聞こえてきた。
「どうぞ」
声を聞いて、リオが素早く扉の前に立つ。そして扉が開くと同時に頭を下げる。
「お久しぶりでございます。こちらの城にいらっしゃってたのですか?」
「ああ。おまえ達が来る少し前に来ていた。カエン、久しぶりだな。元気そうだ」
「レオナルト王、ご無沙汰しております」
部屋に来たのは水の国スイの王、レオナルトだった。
レオナルト王は頭を下げるリオの肩に手を置き、俺を見て微笑む。
俺は身体を起こして立ち上がり、レオナルト王に近づいた。
「お会いできて嬉しいです」
「俺もだ」
俺よりも背の高いレオナルト王を見上げて笑う。レオナルト王は、父さまと顔を合わせば嫌味を言うけど、俺にはとても優しい。本気なのかどうかわからないけど、カナデを愛していたと俺相手によく話して、父さまとナジャに怒られていた。
レオナルト王が俺の背中に手を添えて、ソファーに並んで座る。そして俺の顔をじっと見る。
やはりアレン王子はレオナルト王に似てるなと、俺も見つめ返しながら思った。するとレオナルト王も同じようなことを思っていたらしく、目を細めて頷く。
「カエン、いや、今はカエン王か。君はカナデに似てきたな」
「そうですか?父さまにそっくりだとよく言われるのですが」
「ああ、パッと見た感じはアルファム前王に似ているが、よく見ると目元や口元がカナデに似ていると思う」
「そうだったら嬉しいです」
俺は母さまの顔を思い浮かべる。艶やかな黒髪に誰よりも白い肌。大きな目に小さな唇。笑うと可憐な花のようで、父さまがベタ惚れした気持ちもわかる。それはきっと、俺が今、ハオランを愛しく思う気持ちと同じだ。ハオランも、この世界の誰よりも可愛くて美しい…と俺は思っている。
「ところで」と呟くレオナルト王の声に、再び顔を上げる。
「はい」
「牢に捕らえていた罪人が消えたらしいな」
「そうなんです。すいません…俺が結界を解くように言ったから」
「いや、カエンのせいではない。ただ、どこに消えたのか気になるな。彼は…カナデのように別の世界から来たのだって?」
「はい。消えたのは、たぶん、元の世界に戻ったのだと思います」
「そうか。カナデがいた世界から来たのだろうか」
「いえ、違うようですよ。国の名前が違いましたから」
「そうか…」
レオナルト王が、残念そうに息を吐く。母さまがいた世界が、気になるのか。
母さまはニホンという所から来た。でもハオランはチュウカという所からだ。母さまが生まれた所と違うけど、ハオランが生まれて育ってきたチュウカが、どのような所なのか、俺はとても興味がある。
ところでアレン王子は、ハオランのことを父王に話したのだろうかと気になっていると、窓の外から騒がしい声が聞こえてきた。
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