炎の国の王の花

明樹

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あの後、すぐにシアンが来た。
穴の中の俺と男を見て、大層驚いていたけど、即座に男を拘束した。
男はなぜか、抵抗することもなく大人しく捕まっていた。

「カエン様、顔色が悪いようですが…」
「ちょっと疲れただけ…。シアン、この人の腕の怪我、治してあげて」
「…わかりました」

オルタナに乗る前に、連れて行かれる男の腕を指してシアンに頼んだ。
それを聞いて、男が驚いた顔をした。

「え?治してくれるの?俺、君を殺そうとしたんだよ?」
「なにっ!?」

シアンが、険しい顔をして男を睨む。
俺は「違うだろ」と笑って言った。

「力比べだよ、シアン。俺がやり過ぎて傷つけてしまった。悪かったな。でも城に戻ったら、もっと詳しくいろいろ聞くからな。正直に話せよ」
「…わかったよ。俺も、思い出せることは思い出しておく」
「期待してるよ」

俺はオルタナによじ登るようにして乗ると、ペタリと首にしがみついた。

「疲れた…。オルタナ、城に連れて帰って…」

オルタナは軽く首を揺らすと、翼を出して空へと飛んだ。
遠くなる地上から「すごーいっ!!」と叫ぶ男の声が聞こえて、俺は思わず吹き出した。

あいつ…街を燃やしたって話だけど、俺を殺そうとしてきたけど、どうしても悪い奴だとは思えない。何か事情があるのかもしれない。シアンの報告だと、建物は燃えたけど死人や重傷者はいなかった。あいつのことを、もっと詳しく知りたい。

そんなことを考えているうちに、俺は眠ってしまったようだ。
気がついた時には辺りは真っ暗で、もう城に着いていた。
待ち構えていたリオに、俺はオルタナから降ろされた。
ふらふらと揺れる俺を支えて、リオが怒る。

「カエン様!よく馬の上で寝れましたね?しかも飛翔馬ですよ?落ちたらどうするんですかっ!」
「リオ…ただいま。久しぶりだね。元気そうで良かったよ…」
「おかえりなさいませ。その節はご心配をおかけしまして……じゃなくて!聞いてるんですかっ!」
「聞いてるよ…。オルタナは賢いから、俺を落としたりしないよ」
「まあそうですけども!…ところで、火事の原因はわかりましたか?」
「まあ…。一応犯人らしき男は捕まえた。後で尋問するけど、俺が起きるまで待ってて。とりあえず少し休ませて…」
「かなりお疲れのようですね。すぐにお部屋に行きましょう。歩けますか?」
「なんとか…」

俺は、リオの肩を借りて部屋に向かう。
部屋に着くと、リオにはシアンを手伝うように言って向かわせた。
俺は、土で汚れた身体を洗って着替え、ベッドに倒れ込んだ。そしてすぐに眠りに落ち、目が覚めたら朝になっていた。
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