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「カエン!薬があったぞ…って、大丈夫か?」
「…大丈夫。ちょっと疲れただけ…」
「大きな魔法を使った後に遠出をして、また魔法を使ったからな。疲れて当然だ。後は僕が診るから、カエンは休んでて」
「うん…そうする」
おじさんが、父さまの口の中に錠剤を押し込み、容器からクリーム状の物をすくって、父さまの全身に塗っている。
その様子を眺めてるうちに、だんだんと瞼が重くなり、俺は眠ってしまった。
名前を呼ばれながら身体を揺すられて、俺は目を覚ました。
ローラントおじさんが、「よく眠ってたな」と言って笑う。
俺は、上半身を起こして背伸びをする。
「ごめん…。寝すぎた?」
「いや。もう少し寝させてやりたかったんだけど…。兄上が気がついた」
「えっ!」
俺は、ベッドから飛び降りると、父さまのベッドにぶつかる勢いで飛びついた。
「父さまっ!俺だよっ、カエン!わかる?」
父さまの緑の目が俺を捉えて、微かに頷いた。
父さまに顔を近づけると、微弱だった呼吸も、先程よりはしっかりしている。
俺は、大きく息を吐いて、父さまのベッドに顔を埋めた。
「カエン、良かったな。回復までには時間がかかるだろうけど、兄上は、もう大丈夫だろう」
「うん…良かった。ローラントおじさん、ありがとう」
「俺よりも、おまえの治癒の効果だよ。よく頑張ったな」
俺の頭を撫でるローラントおじさんの手と別に、もう一つの手が髪の毛に触れた。
顔を上げると、父さまが、震える手で俺の髪を触っていた。
「父さま…、もう大丈夫だからな。今はゆっくり休んで。回復することだけ考えて。あの男のことも、もう心配ないから。俺がやっつけて、中央の城の地下牢に拘束している」
俺の言葉に、父さまの目が、大きく見開かれる。
父さまは、知らなかっただろうけど、俺は強くなったんだよ。父さまも母さまも守らなくちゃって、この国も護らなくちゃって、頑張ったんだよ。でも…この国を護ることは出来たけど、父さまは守れなかった。病気の母さまも守れなかった。ごめんね…。
俺は、俺の髪の毛に触れていた父さまの手を、握りしめた。そして父さまの目を見つめて、口には出せない想いを、頭の中で話した。
でも父さまには伝わったのか、顔を横に振って、俺の手を弱々しく握り返してくれた。
「…カエン、謝るなら…俺の、方だ…。すまなかった…。おまえは…一人、で…頑張ったのだな…。さすが、俺とカナデの…自慢の…息子、だ…」
息が苦しいのに、紡いでくれた父さまの言葉。
俺は、その言葉を聞いて、嬉しくて、全身が震えるほど嬉しくて、ポロポロと涙を流して泣いた。
「…大丈夫。ちょっと疲れただけ…」
「大きな魔法を使った後に遠出をして、また魔法を使ったからな。疲れて当然だ。後は僕が診るから、カエンは休んでて」
「うん…そうする」
おじさんが、父さまの口の中に錠剤を押し込み、容器からクリーム状の物をすくって、父さまの全身に塗っている。
その様子を眺めてるうちに、だんだんと瞼が重くなり、俺は眠ってしまった。
名前を呼ばれながら身体を揺すられて、俺は目を覚ました。
ローラントおじさんが、「よく眠ってたな」と言って笑う。
俺は、上半身を起こして背伸びをする。
「ごめん…。寝すぎた?」
「いや。もう少し寝させてやりたかったんだけど…。兄上が気がついた」
「えっ!」
俺は、ベッドから飛び降りると、父さまのベッドにぶつかる勢いで飛びついた。
「父さまっ!俺だよっ、カエン!わかる?」
父さまの緑の目が俺を捉えて、微かに頷いた。
父さまに顔を近づけると、微弱だった呼吸も、先程よりはしっかりしている。
俺は、大きく息を吐いて、父さまのベッドに顔を埋めた。
「カエン、良かったな。回復までには時間がかかるだろうけど、兄上は、もう大丈夫だろう」
「うん…良かった。ローラントおじさん、ありがとう」
「俺よりも、おまえの治癒の効果だよ。よく頑張ったな」
俺の頭を撫でるローラントおじさんの手と別に、もう一つの手が髪の毛に触れた。
顔を上げると、父さまが、震える手で俺の髪を触っていた。
「父さま…、もう大丈夫だからな。今はゆっくり休んで。回復することだけ考えて。あの男のことも、もう心配ないから。俺がやっつけて、中央の城の地下牢に拘束している」
俺の言葉に、父さまの目が、大きく見開かれる。
父さまは、知らなかっただろうけど、俺は強くなったんだよ。父さまも母さまも守らなくちゃって、この国も護らなくちゃって、頑張ったんだよ。でも…この国を護ることは出来たけど、父さまは守れなかった。病気の母さまも守れなかった。ごめんね…。
俺は、俺の髪の毛に触れていた父さまの手を、握りしめた。そして父さまの目を見つめて、口には出せない想いを、頭の中で話した。
でも父さまには伝わったのか、顔を横に振って、俺の手を弱々しく握り返してくれた。
「…カエン、謝るなら…俺の、方だ…。すまなかった…。おまえは…一人、で…頑張ったのだな…。さすが、俺とカナデの…自慢の…息子、だ…」
息が苦しいのに、紡いでくれた父さまの言葉。
俺は、その言葉を聞いて、嬉しくて、全身が震えるほど嬉しくて、ポロポロと涙を流して泣いた。
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