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奏の想い 12
「落ち着いたか?」
「…うん」
「瞼が赤くなっている。可愛い顔が台無しだぞ」
「うん…」
ふっ…と笑って、アルファムが、俺を抱いたまま泉の縁に座る。そして指を泉の水につけると、濡れた指で、俺の瞼を撫でて口づけた。
「ん、これで腫れはしないだろうが…。泣き過ぎだ、この泣き虫め」
「うん…。アルって本当にいい男だね…」
「なんだそれは?」
「もう全部わかってるんでしょ?ごめんね…アル。俺はもう、アルと一緒にいられない…」
「ん…」
「俺がいなくなったら、悲しいかもしれないけど、カエンを助けてあげてね」
「…わからん。今までに、これ程の愛しく大切なものをなくしたことがない。どうなるのか、俺にもわからん…」
「それでも、もし俺を追って来たりなんかしたら、嫌いになるからねっ…」
「それはっ、嫌だ…」
すごく悲しそうな顔をしたアルファムが愛しくなって、俺はアルファムの頭を抱き寄せた。
「うそ…うそだよ。アルを嫌いになんて絶対にならないよ。でも、どんなに時間がかかってもいいから、俺の死を乗り越えて。そして人生を全うしたら、俺に会いに来て…」
「…カナが…そう言うなら…」
「それとね、昨日言おうとしてたことなんだけど…」
「なんだ…」
「…俺が死んだら…アルと出会った海辺の城の敷地に、埋めて欲しい。お願い…」
「わかった。俺も死んだら、おまえの隣に埋めてもらおう」
「うん。約束だよ」
「ああ、約束だ」
しばらく無言で、お互いを見つめ合う。
月明かりに照らされたアルファムの顔が、とても綺麗だ。
大好きな人の腕の中で、大好きな人の顔を見て死ねるなんて、なんて幸せな最期だろう。
その時、頬に暖かい感触がした。
俺の頬に触れるアルファムの手に、頬を擦り寄せる。
「カナ…眠るのか」
「ん…とっても眠い…。アル…ありがとう。心から…愛してるよ…」
「俺の方こそ…ありがとう。カナ、永遠に愛してるぞ」
俺もアルファムに触れたいのに、もう手に力が入らない。全身から力が抜けていく。
もっとアルファムの顔を見ていたいのに、視界が白く濁っていく。
ぼやけていく瞳に、大好きな緑色の瞳が近づいた。唇に柔らかい感触を感じながら、俺はゆっくりと瞼を閉じる。
唇が離れ、「カナ…」と呼ぶアルファムの優しい声が、最後に耳にした言葉。
さよならアル。ありがとう。
「落ち着いたか?」
「…うん」
「瞼が赤くなっている。可愛い顔が台無しだぞ」
「うん…」
ふっ…と笑って、アルファムが、俺を抱いたまま泉の縁に座る。そして指を泉の水につけると、濡れた指で、俺の瞼を撫でて口づけた。
「ん、これで腫れはしないだろうが…。泣き過ぎだ、この泣き虫め」
「うん…。アルって本当にいい男だね…」
「なんだそれは?」
「もう全部わかってるんでしょ?ごめんね…アル。俺はもう、アルと一緒にいられない…」
「ん…」
「俺がいなくなったら、悲しいかもしれないけど、カエンを助けてあげてね」
「…わからん。今までに、これ程の愛しく大切なものをなくしたことがない。どうなるのか、俺にもわからん…」
「それでも、もし俺を追って来たりなんかしたら、嫌いになるからねっ…」
「それはっ、嫌だ…」
すごく悲しそうな顔をしたアルファムが愛しくなって、俺はアルファムの頭を抱き寄せた。
「うそ…うそだよ。アルを嫌いになんて絶対にならないよ。でも、どんなに時間がかかってもいいから、俺の死を乗り越えて。そして人生を全うしたら、俺に会いに来て…」
「…カナが…そう言うなら…」
「それとね、昨日言おうとしてたことなんだけど…」
「なんだ…」
「…俺が死んだら…アルと出会った海辺の城の敷地に、埋めて欲しい。お願い…」
「わかった。俺も死んだら、おまえの隣に埋めてもらおう」
「うん。約束だよ」
「ああ、約束だ」
しばらく無言で、お互いを見つめ合う。
月明かりに照らされたアルファムの顔が、とても綺麗だ。
大好きな人の腕の中で、大好きな人の顔を見て死ねるなんて、なんて幸せな最期だろう。
その時、頬に暖かい感触がした。
俺の頬に触れるアルファムの手に、頬を擦り寄せる。
「カナ…眠るのか」
「ん…とっても眠い…。アル…ありがとう。心から…愛してるよ…」
「俺の方こそ…ありがとう。カナ、永遠に愛してるぞ」
俺もアルファムに触れたいのに、もう手に力が入らない。全身から力が抜けていく。
もっとアルファムの顔を見ていたいのに、視界が白く濁っていく。
ぼやけていく瞳に、大好きな緑色の瞳が近づいた。唇に柔らかい感触を感じながら、俺はゆっくりと瞼を閉じる。
唇が離れ、「カナ…」と呼ぶアルファムの優しい声が、最後に耳にした言葉。
さよならアル。ありがとう。
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