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番外編 芽吹き 74
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カエンのお披露目が終わった翌日から、各国からお祝いの品が届き始めた。
月の国と風の国からも届いたけど、シルヴィオ王やバルテル王子は、絶対に心から祝ってはいないと思う。
俺が関わったことで、炎の国に対して良い感情は持っていないはずだし。
少し前に、月の国は炎の国の国境にある街を攻めようとしてたし。
それでも国同士の付き合いがあるから、形式的にでもお祝いをするんだなあ…と、大広間の隣の控えの間に積まれたお祝いの品々を見て思った。
お披露目から十日後に、水の国スイ国の王、レオナルトが炎の国まで来てくれた。
その日、アルファムに呼ばれて謁見の間に行くと、光沢のある黒い上着の正装姿のレオナルトが、両手を広げて待っていた。
俺は嬉しくてレオナルトの元へ駆け寄った。
「レオン!来てくれたのっ?元気そうだね!」
「カナデ、おめでとう!危険な出産をよく乗り切ったな。出来ることなら俺の子を産んで欲しかったが…」
「スイ国王!いらぬことは言わないでもらおうか。それとカナに触れるな」
俺を抱きしめようとするレオナルトに、アルファムが鋭い言葉を投げる。
レオナルトは、渋い顔でアルファムを見て俺の肩に両手を置くと、上半身を屈めて顔を覗き込んできた。
「エン国王は相変わらずやかましいな。カナデ、少し痩せたか?大丈夫なのか?」
「うん、大丈夫。もう元気だよ。最近はカエンもよく眠ってくれるから、俺も睡眠が取れてるし」
「カエン王子か…。王子は今どこに?」
「部屋で寝てる。リオが見てくれてるんだ。ねえレオン、カエンに会ってくれる?」
「もちろん。噂だと、カナデと同じ黒髪だと聞いたぞ」
「そう!目はアルと同じ緑で綺麗なんだよ。アル、レオンを部屋に連れて行ってもいい?」
俺の傍に来て、レオナルトから遮るように俺の肩を抱き寄せるアルファムを見上げて聞く。
アルファムは、険しい顔をしていたのを、一瞬で優しい顔にして俺の額にキスをした。
「…仕方ないな。祝いの品をもらってるしな。追い返すわけにもいかぬか。まあ見たいのなら、俺達の自慢の息子を見てもらうか」
「アルってば…またそんな言い方をして。でも、カエンを見て欲しいよねっ。すっごく可愛いから!」
俺もアルファムの腰に手を回して笑いながら話していると、前方から咳払いが聞こえた。
「胸糞わる……、いや、恥ずかしいからやめてくれないかな。ではカナデ、部屋に案内してくれ」
「あっ、ごめんね?じゃあ着いてきてくれる?」
俺がアルファムから離れて歩き出そうとすると、アルファムが「行くぞ」と俺の肩を抱いて扉に向かった。
月の国と風の国からも届いたけど、シルヴィオ王やバルテル王子は、絶対に心から祝ってはいないと思う。
俺が関わったことで、炎の国に対して良い感情は持っていないはずだし。
少し前に、月の国は炎の国の国境にある街を攻めようとしてたし。
それでも国同士の付き合いがあるから、形式的にでもお祝いをするんだなあ…と、大広間の隣の控えの間に積まれたお祝いの品々を見て思った。
お披露目から十日後に、水の国スイ国の王、レオナルトが炎の国まで来てくれた。
その日、アルファムに呼ばれて謁見の間に行くと、光沢のある黒い上着の正装姿のレオナルトが、両手を広げて待っていた。
俺は嬉しくてレオナルトの元へ駆け寄った。
「レオン!来てくれたのっ?元気そうだね!」
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「スイ国王!いらぬことは言わないでもらおうか。それとカナに触れるな」
俺を抱きしめようとするレオナルトに、アルファムが鋭い言葉を投げる。
レオナルトは、渋い顔でアルファムを見て俺の肩に両手を置くと、上半身を屈めて顔を覗き込んできた。
「エン国王は相変わらずやかましいな。カナデ、少し痩せたか?大丈夫なのか?」
「うん、大丈夫。もう元気だよ。最近はカエンもよく眠ってくれるから、俺も睡眠が取れてるし」
「カエン王子か…。王子は今どこに?」
「部屋で寝てる。リオが見てくれてるんだ。ねえレオン、カエンに会ってくれる?」
「もちろん。噂だと、カナデと同じ黒髪だと聞いたぞ」
「そう!目はアルと同じ緑で綺麗なんだよ。アル、レオンを部屋に連れて行ってもいい?」
俺の傍に来て、レオナルトから遮るように俺の肩を抱き寄せるアルファムを見上げて聞く。
アルファムは、険しい顔をしていたのを、一瞬で優しい顔にして俺の額にキスをした。
「…仕方ないな。祝いの品をもらってるしな。追い返すわけにもいかぬか。まあ見たいのなら、俺達の自慢の息子を見てもらうか」
「アルってば…またそんな言い方をして。でも、カエンを見て欲しいよねっ。すっごく可愛いから!」
俺もアルファムの腰に手を回して笑いながら話していると、前方から咳払いが聞こえた。
「胸糞わる……、いや、恥ずかしいからやめてくれないかな。ではカナデ、部屋に案内してくれ」
「あっ、ごめんね?じゃあ着いてきてくれる?」
俺がアルファムから離れて歩き出そうとすると、アルファムが「行くぞ」と俺の肩を抱いて扉に向かった。
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