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番外編 芽吹き 32
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どこの世界でも、王族の争いってあるんだなと他人事のように思う。
「もちろん、ローラントは知らぬことだ。ローラントは、心根の優しいよく出来た弟だ。カナに子が出来たことを一番に伝えたかったが、ローラントの母親のこともある。だから秘密にしていたのだが…。秘密が漏れたようだ。ベアトリクスの親族が、こちらが把握出来ていない遠縁の者を、この城に送り込んでいた。その者が、カナの体調不良をベアトリクスに知らせた。日頃、カナは元気だからな。元気過ぎて無茶をすることがあって困る程だ。そのカナが、体調不良で部屋にこもっている。部屋には側近しか入れない。そのことから、もしやカナが妊娠したのではないかと勘づいたのだ。妊娠したという確証はないが、もし子が腹に出来てるなら早く手を打たねばならない。そこで、少し元気になったカナが、散歩に出る所を狙って、城の外に連れ出し井戸に落とす計画を立て実行した。だが、カナが死んでは困るからな。どの程度の怪我になるかを確認するために、先に子供を落とした。そして、その子供を囮にカナを連れ出したのだ」
「ひどい…!俺はいいけど、あの子が、あの姉弟が可哀想だ…っ」
「…ったく、おまえは人のことばかり心配する。頼むから自分の身体を一番に考えてくれ」
「でも…っ、…はい…」
シュンと俯いた俺の髪の毛を、アルファムが笑いながら優しく撫でた。
「まあ、そういうおまえが好きなのだがな。それでローラント、おまえはなぜここに来たのだ?」
アルファムが、深く溜息を吐いてローラントに聞く。
ローラントは、ピクリと肩を揺らして顔を上げた。
「…僕は、カナデに子が出来たことを知らなかった。最近、母様の周辺が騒がしいことに気づいて…。母様に尋ねても何も教えてくださらないし。だから、僕の腹心に、母様の動向を調べさせた。そうしたら、カナデに兄上の子が出来たと知った。とても嬉しかった。だけど、その子を亡き者にしようと母さまがこの城に人を送った。そいつは、カナデを襲ったけども失敗に終わって、ここの地下牢に入れられている。すぐに処刑をされないのは、後ろに操る者がいると、兄上が調査してるからと。…これらのことを知ったのは、つい二日前です。カナデが僕の母様のせいで大変な目に合ってることを知らずに、僕はのうのうと暮らしていたんだ。本当に…ごめんなさい」
「もちろん、ローラントは知らぬことだ。ローラントは、心根の優しいよく出来た弟だ。カナに子が出来たことを一番に伝えたかったが、ローラントの母親のこともある。だから秘密にしていたのだが…。秘密が漏れたようだ。ベアトリクスの親族が、こちらが把握出来ていない遠縁の者を、この城に送り込んでいた。その者が、カナの体調不良をベアトリクスに知らせた。日頃、カナは元気だからな。元気過ぎて無茶をすることがあって困る程だ。そのカナが、体調不良で部屋にこもっている。部屋には側近しか入れない。そのことから、もしやカナが妊娠したのではないかと勘づいたのだ。妊娠したという確証はないが、もし子が腹に出来てるなら早く手を打たねばならない。そこで、少し元気になったカナが、散歩に出る所を狙って、城の外に連れ出し井戸に落とす計画を立て実行した。だが、カナが死んでは困るからな。どの程度の怪我になるかを確認するために、先に子供を落とした。そして、その子供を囮にカナを連れ出したのだ」
「ひどい…!俺はいいけど、あの子が、あの姉弟が可哀想だ…っ」
「…ったく、おまえは人のことばかり心配する。頼むから自分の身体を一番に考えてくれ」
「でも…っ、…はい…」
シュンと俯いた俺の髪の毛を、アルファムが笑いながら優しく撫でた。
「まあ、そういうおまえが好きなのだがな。それでローラント、おまえはなぜここに来たのだ?」
アルファムが、深く溜息を吐いてローラントに聞く。
ローラントは、ピクリと肩を揺らして顔を上げた。
「…僕は、カナデに子が出来たことを知らなかった。最近、母様の周辺が騒がしいことに気づいて…。母様に尋ねても何も教えてくださらないし。だから、僕の腹心に、母様の動向を調べさせた。そうしたら、カナデに兄上の子が出来たと知った。とても嬉しかった。だけど、その子を亡き者にしようと母さまがこの城に人を送った。そいつは、カナデを襲ったけども失敗に終わって、ここの地下牢に入れられている。すぐに処刑をされないのは、後ろに操る者がいると、兄上が調査してるからと。…これらのことを知ったのは、つい二日前です。カナデが僕の母様のせいで大変な目に合ってることを知らずに、僕はのうのうと暮らしていたんだ。本当に…ごめんなさい」
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