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番外編 芽吹き 21
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「すいません。あの、カナデ様…。お願いがあるのですが宜しいですか?」
「え?俺に?」
階段の下から声をかけてきたのは、確かまだ城に勤め出して日の浅い使用人の女の人。
気の弱そうな感じの人で、とても大人しいという印象だ。
その人が、とても困った顔をして俺を見るから、放っておけなくなって、扉を叩こうとしていた手を降ろして階段に足をかけた。
「どうしたの?」
「私の幼い弟が井戸に落ちてしまいまして…。誰か助けを呼びに来た所に、ちょうどカナデ様を見かけたのです」
「えっ!井戸に?怪我は!?」
「はい…、怪我はしているようです…。痛いと泣いてましたから」
「えっ!それなら早く助けなきゃ!どこっ?一人置いてきたの?」
俺は、ゆっくりと階段を降りていたけど、話を聞いて少しだけ早歩きになる。
でも、見たことないけど、井戸ってどこにあるんだろう?
落ちた時に頭とか打ってないだろうか?水が深く溜まってないだろうか?
というか、なんで落ちたの?
俺が慌ててるというのに、女の人の足が遅い。顔も無表情で、心配してる感じがしないのが不気味に感じる。
女の人の後に続いて使用人専用扉を潜りながら聞く。
「周りに兵とか使用人がいなかったの?すぐに大声を出して早く助けを呼ばなきゃだめじゃんっ。そもそも落ちないように気をつけてあげなきゃ!」
「はあ…。気が動転して大声を出すことに気づかなかったです…。弟は普段から落ち着きがなくて、ちょっと目を離した隙に落ちてました…」
「はあ?なにそれ?」
弟が井戸に落ちて危険な状態だというのに、ぼんやりとしているこの人に腹が立ってきた。
「とにかく早く!」
俺は、女の人を急かして井戸へと向かう。
井戸は、城の端にある調理場近くの東屋の下にあった。
すぐ近くの調理場には、常に人がいる。
なぜそこの人を呼ばずに、この人は、わざわざ城の中にまで入って来てたのだろう。
そう疑問に思って足を止める。
「カナデ様?さあ…早く弟を…」
「ねえ…あなたはなぜ城の……」
「助けて!」
能面のような顔の女の人を問い詰めようとしたその時、井戸の中から子供の声が聞こえた。
俺は、問い詰めるのは後回しにして、急いで井戸に行く。
縁に手を置いて中を覗くと、子供が額から血を流してこちらを見上げていた。
「大丈夫?頭打ったの!?」
「うん…、落ちる時に打って痛いよぅ…」
「すぐに助けるからもう少し頑張って!」
見た所、井戸の深さは三メートルぐらい。
水は、子供の腰まである。
頭の怪我は、落ちる時に壁で打ったのだろう。
結構水が溜まっているから、底に落ちた時の衝撃はそれ程では無かったようだ。
身重の俺は無理出来ないし、やっぱり誰か呼んでこようと身体を起こした瞬間、誰かに背中を強く押された。
「え?俺に?」
階段の下から声をかけてきたのは、確かまだ城に勤め出して日の浅い使用人の女の人。
気の弱そうな感じの人で、とても大人しいという印象だ。
その人が、とても困った顔をして俺を見るから、放っておけなくなって、扉を叩こうとしていた手を降ろして階段に足をかけた。
「どうしたの?」
「私の幼い弟が井戸に落ちてしまいまして…。誰か助けを呼びに来た所に、ちょうどカナデ様を見かけたのです」
「えっ!井戸に?怪我は!?」
「はい…、怪我はしているようです…。痛いと泣いてましたから」
「えっ!それなら早く助けなきゃ!どこっ?一人置いてきたの?」
俺は、ゆっくりと階段を降りていたけど、話を聞いて少しだけ早歩きになる。
でも、見たことないけど、井戸ってどこにあるんだろう?
落ちた時に頭とか打ってないだろうか?水が深く溜まってないだろうか?
というか、なんで落ちたの?
俺が慌ててるというのに、女の人の足が遅い。顔も無表情で、心配してる感じがしないのが不気味に感じる。
女の人の後に続いて使用人専用扉を潜りながら聞く。
「周りに兵とか使用人がいなかったの?すぐに大声を出して早く助けを呼ばなきゃだめじゃんっ。そもそも落ちないように気をつけてあげなきゃ!」
「はあ…。気が動転して大声を出すことに気づかなかったです…。弟は普段から落ち着きがなくて、ちょっと目を離した隙に落ちてました…」
「はあ?なにそれ?」
弟が井戸に落ちて危険な状態だというのに、ぼんやりとしているこの人に腹が立ってきた。
「とにかく早く!」
俺は、女の人を急かして井戸へと向かう。
井戸は、城の端にある調理場近くの東屋の下にあった。
すぐ近くの調理場には、常に人がいる。
なぜそこの人を呼ばずに、この人は、わざわざ城の中にまで入って来てたのだろう。
そう疑問に思って足を止める。
「カナデ様?さあ…早く弟を…」
「ねえ…あなたはなぜ城の……」
「助けて!」
能面のような顔の女の人を問い詰めようとしたその時、井戸の中から子供の声が聞こえた。
俺は、問い詰めるのは後回しにして、急いで井戸に行く。
縁に手を置いて中を覗くと、子供が額から血を流してこちらを見上げていた。
「大丈夫?頭打ったの!?」
「うん…、落ちる時に打って痛いよぅ…」
「すぐに助けるからもう少し頑張って!」
見た所、井戸の深さは三メートルぐらい。
水は、子供の腰まである。
頭の怪我は、落ちる時に壁で打ったのだろう。
結構水が溜まっているから、底に落ちた時の衝撃はそれ程では無かったようだ。
身重の俺は無理出来ないし、やっぱり誰か呼んでこようと身体を起こした瞬間、誰かに背中を強く押された。
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