炎の国の王の花

明樹

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番外編 6

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城の大広間に、俺とアルファム、ホルガー、リオ、そしてアイリスとレニが集められた。
アルファムは一段高い場所にある玉座に座り、俺はその隣の一回り小さな椅子に座っている。
俺達から数メートル離れた正面に、アイリスとレニが膝をついている。
二人の後ろには、リオが立っていた。
ホルガーは、アルファムの後ろで布に包んだ何かを持って控えている。

静かな大広間に、アルファムのよく通る声が響く。

「女、その子は俺の子だと聞いたが、誠か?」
「はい。四年前に私に情けをかけて下さったことを覚えておいでですか?」
「何となく。あの頃は、他にもそのような相手が数人いたからな。一人一人をはっきりとは覚えておらん」
「そんな…っ。私は、格別の情けをかけて頂きました。この子がその時の証です」
「ふむ…」

アルファムが、少し身を乗り出してレニを凝視する。
俺はドキドキと緊張して、アルファムの横顔を見た。
しかし、さっき聞き捨てならないことを聞いたぞ?他にも数人?関係があった女の人がいたんだ…。
アルファムを見る俺の目が、たんだんと険しいものになっていく。
それに気づいたアルファムが、声に出さずに「すまない」と謝った。

「女…アイリスと言ったか。あの頃の俺は、後の憂いにならぬよう、絶対に子供が出来ないように対処していた。だから、俺の子供が生まれることは有り得ぬ」
「ですが、この子の目を見て下さい。あなた様と同じ、緑色でございます」
「確かに。緑色の瞳は珍しいからな」
「そっ、そうです!この子は紛れもなくアルファム様のお子。失礼ながら、カナデ様では子供はお出来にならない。なので、この子はアルファム様の正統の跡継ぎになるのです。この子がいれば、跡継ぎの心配もありません」
「跡継ぎ…ねえ」

アルファムの纏う空気が、冷たくなった。
俺は「やばい」と焦り、アイリスに話しかける。

「あのね、跡継ぎは、アルの弟のローラントがいるから大丈夫なんだよ。彼はとても優秀だから、この国は安泰なんだよ」
「ローラント様?ローラント様より、アルファム様の血を引いたこの子の方が正統ではないですか?」

アイリスの強い口調に、俺は口ごもってしまう。
これは説得するのが難しそうだ、と小さく溜息を吐いた横で、アルファムの冷たく鋭い声が飛んだ。
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