171 / 432
王の花 9
しおりを挟む
部屋の扉が閉まるなり、俺はアルファムの胸に飛びついた。
眠っている時にアルファムにいたずらをされたおかげで、宴の間中、ずっと乳首も腰の奥も疼いて落ち着かなかった。
だから、宴が終わるとすぐにアルファムの手を引いて、急いで部屋に戻って来たのだ。そして、部屋に入るや否や、続きをして欲しくてアルファムに飛びついた。
「ふっ、なんだ?カナ、激しいな」
「だって…、アルのせいだろ」
「俺の?」
「アルが、宴の前にいろいろと触るから…っ」
「ああ…、あれは、俺の前で無防備に寝ているおまえが悪い」
「はあっ?」
俺は大きな声を出して、アルファムの胸を押して離れようとした。
だけど咄嗟にアルファムが俺を抱き上げて、ベッドへと連れて行く。
「くくっ、すまない、カナ。おまえのコロコロと変わる表情が可愛くて、つい意地悪を言った。許せ」
「…アルのバカ…」
ベッドに降ろされるなり唇を尖らせて、ツンと横を向く俺の上にアルファムが被さり、右手の人差し指で俺の唇に触れる。そのままむにゅりと押して、声を上げて笑った。
「…なんだよ…」
「悪い。たぶん俺は、とても楽しいのだ。カナが帰って来て、皆も喜んで、美味い料理を食って酒を飲んで、楽しくて幸せなのだ。おまえが傍にいるだけで、こんなにも楽しい。もしも次におまえと離れてしまったら、俺は生きてはいられないだろう」
「アル…」
俺は腕を伸ばして、アルファムの頭を抱き寄せる。引き寄せたアルファムの唇にキスをして、強く抱きしめた。
「俺も楽しかった。アルが傍にいて、皆がおかえり!って喜んでくれて、すごく幸せだよ。もう二度とアルから離れない。アルが嫌だって言っても離れない」
「そんなこと言うわけないだろう。カナ、約束だ。一生、俺の隣にいてくれ。俺の玉座の隣に座るのは、おまえしかいない」
「玉座…」
「そうだ。中央の城に戻ったら、早速俺の隣に座って、各国の王族に会うぞ」
「え?また即位記念か何かあるの?」
アルファムが、顔を離して綺麗な緑色の瞳に俺を映す。俺の背中に手を差し入れて身体を起こすと、俺を膝の上に乗せてしっかりと抱き寄せた。
「カナ、おまえのお披露目だ。中央の城に戻って準備が整い次第、婚儀を挙げる」
「…婚、儀?誰の…」
「炎の国の王である俺と、俺の大切なカナの婚儀だ」
「アルと…俺の?」
アルファムの口からゆっくりと告げられた言葉。
その内容に、俺の全身が粟立つ。ドキドキと心臓が高鳴り、小刻みに震える手でアルファムの胸に触れて、ゆっくりと顔を上げる。
俺を見下ろすアルファムの顔が、涙でぼやけてよく見えなかった。
眠っている時にアルファムにいたずらをされたおかげで、宴の間中、ずっと乳首も腰の奥も疼いて落ち着かなかった。
だから、宴が終わるとすぐにアルファムの手を引いて、急いで部屋に戻って来たのだ。そして、部屋に入るや否や、続きをして欲しくてアルファムに飛びついた。
「ふっ、なんだ?カナ、激しいな」
「だって…、アルのせいだろ」
「俺の?」
「アルが、宴の前にいろいろと触るから…っ」
「ああ…、あれは、俺の前で無防備に寝ているおまえが悪い」
「はあっ?」
俺は大きな声を出して、アルファムの胸を押して離れようとした。
だけど咄嗟にアルファムが俺を抱き上げて、ベッドへと連れて行く。
「くくっ、すまない、カナ。おまえのコロコロと変わる表情が可愛くて、つい意地悪を言った。許せ」
「…アルのバカ…」
ベッドに降ろされるなり唇を尖らせて、ツンと横を向く俺の上にアルファムが被さり、右手の人差し指で俺の唇に触れる。そのままむにゅりと押して、声を上げて笑った。
「…なんだよ…」
「悪い。たぶん俺は、とても楽しいのだ。カナが帰って来て、皆も喜んで、美味い料理を食って酒を飲んで、楽しくて幸せなのだ。おまえが傍にいるだけで、こんなにも楽しい。もしも次におまえと離れてしまったら、俺は生きてはいられないだろう」
「アル…」
俺は腕を伸ばして、アルファムの頭を抱き寄せる。引き寄せたアルファムの唇にキスをして、強く抱きしめた。
「俺も楽しかった。アルが傍にいて、皆がおかえり!って喜んでくれて、すごく幸せだよ。もう二度とアルから離れない。アルが嫌だって言っても離れない」
「そんなこと言うわけないだろう。カナ、約束だ。一生、俺の隣にいてくれ。俺の玉座の隣に座るのは、おまえしかいない」
「玉座…」
「そうだ。中央の城に戻ったら、早速俺の隣に座って、各国の王族に会うぞ」
「え?また即位記念か何かあるの?」
アルファムが、顔を離して綺麗な緑色の瞳に俺を映す。俺の背中に手を差し入れて身体を起こすと、俺を膝の上に乗せてしっかりと抱き寄せた。
「カナ、おまえのお披露目だ。中央の城に戻って準備が整い次第、婚儀を挙げる」
「…婚、儀?誰の…」
「炎の国の王である俺と、俺の大切なカナの婚儀だ」
「アルと…俺の?」
アルファムの口からゆっくりと告げられた言葉。
その内容に、俺の全身が粟立つ。ドキドキと心臓が高鳴り、小刻みに震える手でアルファムの胸に触れて、ゆっくりと顔を上げる。
俺を見下ろすアルファムの顔が、涙でぼやけてよく見えなかった。
1
お気に入りに追加
1,661
あなたにおすすめの小説
【完結】別れ……ますよね?
325号室の住人
BL
☆全3話、完結済
僕の恋人は、テレビドラマに数多く出演する俳優を生業としている。
ある朝、テレビから流れてきたニュースに、僕は恋人との別れを決意した。
公爵家の五男坊はあきらめない
三矢由巳
BL
ローテンエルデ王国のレームブルック公爵の妾腹の五男グスタフは公爵領で領民と交流し、気ままに日々を過ごしていた。
生母と生き別れ、父に放任されて育った彼は誰にも期待なんかしない、将来のことはあきらめていると乳兄弟のエルンストに語っていた。
冬至の祭の夜に暴漢に襲われ二人の運命は急変する。
負傷し意識のないエルンストの枕元でグスタフは叫ぶ。
「俺はおまえなしでは生きていけないんだ」
都では次の王位をめぐる政争が繰り広げられていた。
知らぬ間に巻き込まれていたことを知るグスタフ。
生き延びるため、グスタフはエルンストとともに都へ向かう。
あきらめたら待つのは死のみ。
平民男子と騎士団長の行く末
きわ
BL
平民のエリオットは貴族で騎士団長でもあるジェラルドと体だけの関係を持っていた。
ある日ジェラルドの見合い話を聞き、彼のためにも離れたほうがいいと決意する。
好きだという気持ちを隠したまま。
過去の出来事から貴族などの権力者が実は嫌いなエリオットと、エリオットのことが好きすぎて表からでは分からないように手を回す隠れ執着ジェラルドのお話です。
第十一回BL大賞参加作品です。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
釣った魚、逃した魚
円玉
BL
瘴気や魔獣の発生に対応するため定期的に行われる召喚の儀で、浄化と治癒の力を持つ神子として召喚された三倉貴史。
王の寵愛を受け後宮に迎え入れられたかに見えたが、後宮入りした後は「釣った魚」状態。
王には放置され、妃達には嫌がらせを受け、使用人達にも蔑ろにされる中、何とか穏便に後宮を去ろうとするが放置していながら縛り付けようとする王。
護衛騎士マクミランと共に逃亡計画を練る。
騎士×神子 攻目線
一見、神子が腹黒そうにみえるかもだけど、実際には全く悪くないです。
どうしても文字数が多くなってしまう癖が有るので『一話2500文字以下!』を目標にした練習作として書いてきたもの。
ムーンライト様でもアップしています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる