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謎の男 12
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「また笑ってる…。カナデって、意外と大物?」
サッシャが呆れた様子で俺を見ると、両掌を上に向けて腕を上げた。
サッシャの頭上に幾つもの光の矢が現れ、腕を振った瞬間矢が消える。
「え?」
驚いて視線を巡らせると、光の矢が、男がいた場所に突き刺さっている。
「ちっ…、すばしっこい奴…」
サッシャが舌打ちをして、もう一度光の矢を作る。
俺がサッシャの動きに見とれていると、目の端に赤い色が見えて振り向いた。
アルファムが、赤い炎の剣を手に走り出す。
「リオ、援護しろ」
「はっ」
アルファムが、男との距離を一気に詰める。
男が飛ばした黒い雷がアルファムの顔に当たりそうになった瞬間、リオが炎の玉を飛ばして雷を弾く。
その直後、アルファムが左下から振り上げた炎の剣が、男を切った。と思ったけど、男が瞬時に仰け反った為に、マントを切り裂いただけだった。
「本当にすばしっこい奴だ。サッシャ王子!」
「わかってるよ!」
叫ぶと同時に、サッシャが光の矢を飛ばす。
男の身体に刺さったように見えた矢は、全て弾かれてキラキラと消えていった。
「くそ…っ!あの黒い雷、やっかいだな。全ての攻撃を弾いてる」
「四方から攻撃するぞ。リオ!」
「わかった。ミケ!行くよっ」
「「はっ」」
四人と兵達が男の周りに散らばって取り囲む。俺も行こうとしたけど、やっぱり足でまといになりそうで、少し離れた場所で待機する。
それぞれが魔法で炎や光の武器を作り、一斉に飛ばした。
炎の赤と光の眩さで男の姿がかき消される。
あまりの眩しさに目を逸らして、すぐに戻そうとした瞬間、身体に衝撃を受けた。
「カナーっ!」
「うわっ!」
後ろに飛ばされ地面に倒れ込む。でも誰かが俺の下敷きになってるみたいで、そんなに痛くはなかった。
「いた…、なに?…え?ア、アル!!」
俺の身体を抱きしめたまま、アルファムが倒れていた。俺を見て微笑むけど、微かに顔が苦痛に歪んでいる。
「アル…!だ、大丈夫?」
「…ああ。カナは無事か?」
「俺はどこも……」
アルファムを起こそうとアルファムの背中に回した俺の手が、ぬるりとした物に触れる。
一瞬、ドキリとして恐る恐る手を目の前に持ってきて、俺は悲鳴を上げた。
「ひっ!なっ、なんでっ!?」
「また邪魔されて仕留め損ねた」
背後から聞こえた声に、ゆっくりと振り返り顔を上げる。
ボロボロになったマントをたなびかせて、男が無表情で俺を見下ろしていた。
「あんた…やられたんじゃ…!」
「あれぐらいの攻撃を避けるのは容易い。数が多くて多少くらってしまったが、マントが破れただけで、俺は無傷だ。おまえらが、自分達が放った魔法で目を眩ませてる隙に、おまえに近づいて心の臓に穴を開けてやろうとしたら、そいつに邪魔された。おかげで、おまえの心の臓を貫く筈だった俺の雷が、そいつの腹を貫いた」
サッシャが呆れた様子で俺を見ると、両掌を上に向けて腕を上げた。
サッシャの頭上に幾つもの光の矢が現れ、腕を振った瞬間矢が消える。
「え?」
驚いて視線を巡らせると、光の矢が、男がいた場所に突き刺さっている。
「ちっ…、すばしっこい奴…」
サッシャが舌打ちをして、もう一度光の矢を作る。
俺がサッシャの動きに見とれていると、目の端に赤い色が見えて振り向いた。
アルファムが、赤い炎の剣を手に走り出す。
「リオ、援護しろ」
「はっ」
アルファムが、男との距離を一気に詰める。
男が飛ばした黒い雷がアルファムの顔に当たりそうになった瞬間、リオが炎の玉を飛ばして雷を弾く。
その直後、アルファムが左下から振り上げた炎の剣が、男を切った。と思ったけど、男が瞬時に仰け反った為に、マントを切り裂いただけだった。
「本当にすばしっこい奴だ。サッシャ王子!」
「わかってるよ!」
叫ぶと同時に、サッシャが光の矢を飛ばす。
男の身体に刺さったように見えた矢は、全て弾かれてキラキラと消えていった。
「くそ…っ!あの黒い雷、やっかいだな。全ての攻撃を弾いてる」
「四方から攻撃するぞ。リオ!」
「わかった。ミケ!行くよっ」
「「はっ」」
四人と兵達が男の周りに散らばって取り囲む。俺も行こうとしたけど、やっぱり足でまといになりそうで、少し離れた場所で待機する。
それぞれが魔法で炎や光の武器を作り、一斉に飛ばした。
炎の赤と光の眩さで男の姿がかき消される。
あまりの眩しさに目を逸らして、すぐに戻そうとした瞬間、身体に衝撃を受けた。
「カナーっ!」
「うわっ!」
後ろに飛ばされ地面に倒れ込む。でも誰かが俺の下敷きになってるみたいで、そんなに痛くはなかった。
「いた…、なに?…え?ア、アル!!」
俺の身体を抱きしめたまま、アルファムが倒れていた。俺を見て微笑むけど、微かに顔が苦痛に歪んでいる。
「アル…!だ、大丈夫?」
「…ああ。カナは無事か?」
「俺はどこも……」
アルファムを起こそうとアルファムの背中に回した俺の手が、ぬるりとした物に触れる。
一瞬、ドキリとして恐る恐る手を目の前に持ってきて、俺は悲鳴を上げた。
「ひっ!なっ、なんでっ!?」
「また邪魔されて仕留め損ねた」
背後から聞こえた声に、ゆっくりと振り返り顔を上げる。
ボロボロになったマントをたなびかせて、男が無表情で俺を見下ろしていた。
「あんた…やられたんじゃ…!」
「あれぐらいの攻撃を避けるのは容易い。数が多くて多少くらってしまったが、マントが破れただけで、俺は無傷だ。おまえらが、自分達が放った魔法で目を眩ませてる隙に、おまえに近づいて心の臓に穴を開けてやろうとしたら、そいつに邪魔された。おかげで、おまえの心の臓を貫く筈だった俺の雷が、そいつの腹を貫いた」
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