139 / 432
謎の男 4
しおりを挟む
昨日の夜に荷物をまとめて(ほぼリオがしてくれた)ディエス王に挨拶をして、今朝早くに、目立たないように城を出た。
襲ってきた男の仲間が他にもいるかもしれないと、用心してのことだ。
ハマトの顔を見てお礼を言いたかったけど、これ以上執着されても困るしサッシャに会うなとも言われている。それに自惚れかもしれないけど、ハマトも俺と会うのは辛いかもしれないと思い、手紙をサッシャに預けた。
俺は、まだまだこの世界の字が書けないので、『ありがとう』とだけ書いて。
今回は行きと違って、俺とリオ、サッシャと男を捕らえている城から一旦戻って来たミケの四人で、先に飛翔馬で翔んで国境へと向かう。
そうすれば、途中に一泊しなくても、今日の夜には国境に辿り着く。
残りの兵達には、リオがゆっくりと戻って来るように言って、俺達四人は順番に空へと駆け上がった。
人が豆粒ぐらいの大きさに見える高さを、国境目指して翔んで行く。
地上よりも太陽に近くなったぶん、陽射しがジリジリと照りつけてとても暑い。
でも顔に当たる風は爽やかで、流れた汗をすぐに乾かしてくれる。
途中三回休憩をして、夜遅くに国境に着いた。
国境の川に架かる橋の上では、すでに無数の灯りが煌めいて見える。
「あれってアルファム王だろ。いつから待ってたんだろうね…。もしや朝から…」
サッシャが、顔を引き攣らせながらポツリと言う。
「えー?アルは忙しいんだから、そんなことないよ。ふふ…、でも嬉しい。出迎えてくれて」
「カナデ、アルファム様への報告、頼んだよ。カナデ以外が報告すると、きっと怒り出すだろうから…」
俺の隣に並んだリオが、苦笑いをして言う。
「ん、わかった。でも…俺も怒られるよね?」
「………さあ?」
たっぷりと長い間をあけて、リオが首を傾げた。
ーーえー…、待って。俺、不安になってきたんだけど。でも、今回は俺は悪くない、と思う。勝手に襲ってきたあの男が悪いんだから…っ。
そう思いながら馬をゆっくりと下降させる。
だんだんと人の姿が大きくなり、すぐに赤い髪のアルファムを見つける。
というか、豆粒くらいの大きさでもアルファムがどこにいるかわかってた。
だって、俺の目にはアルファムだけ輝いてるように見えるんだもん。
アルファムの表情が確認出来る所まで降りて来て、アルファムの俺を心配する顔を見た途端、とても胸が締めつけられた。
心配させたことを謝りたいけど、何よりも早くアルファムに抱きつきたい。その温もりに触れて匂いに包まれたい。
俺は、一番に先に地上に降りると、こちらに寄って来るアルファムを待たずに馬から飛び降りた。
襲ってきた男の仲間が他にもいるかもしれないと、用心してのことだ。
ハマトの顔を見てお礼を言いたかったけど、これ以上執着されても困るしサッシャに会うなとも言われている。それに自惚れかもしれないけど、ハマトも俺と会うのは辛いかもしれないと思い、手紙をサッシャに預けた。
俺は、まだまだこの世界の字が書けないので、『ありがとう』とだけ書いて。
今回は行きと違って、俺とリオ、サッシャと男を捕らえている城から一旦戻って来たミケの四人で、先に飛翔馬で翔んで国境へと向かう。
そうすれば、途中に一泊しなくても、今日の夜には国境に辿り着く。
残りの兵達には、リオがゆっくりと戻って来るように言って、俺達四人は順番に空へと駆け上がった。
人が豆粒ぐらいの大きさに見える高さを、国境目指して翔んで行く。
地上よりも太陽に近くなったぶん、陽射しがジリジリと照りつけてとても暑い。
でも顔に当たる風は爽やかで、流れた汗をすぐに乾かしてくれる。
途中三回休憩をして、夜遅くに国境に着いた。
国境の川に架かる橋の上では、すでに無数の灯りが煌めいて見える。
「あれってアルファム王だろ。いつから待ってたんだろうね…。もしや朝から…」
サッシャが、顔を引き攣らせながらポツリと言う。
「えー?アルは忙しいんだから、そんなことないよ。ふふ…、でも嬉しい。出迎えてくれて」
「カナデ、アルファム様への報告、頼んだよ。カナデ以外が報告すると、きっと怒り出すだろうから…」
俺の隣に並んだリオが、苦笑いをして言う。
「ん、わかった。でも…俺も怒られるよね?」
「………さあ?」
たっぷりと長い間をあけて、リオが首を傾げた。
ーーえー…、待って。俺、不安になってきたんだけど。でも、今回は俺は悪くない、と思う。勝手に襲ってきたあの男が悪いんだから…っ。
そう思いながら馬をゆっくりと下降させる。
だんだんと人の姿が大きくなり、すぐに赤い髪のアルファムを見つける。
というか、豆粒くらいの大きさでもアルファムがどこにいるかわかってた。
だって、俺の目にはアルファムだけ輝いてるように見えるんだもん。
アルファムの表情が確認出来る所まで降りて来て、アルファムの俺を心配する顔を見た途端、とても胸が締めつけられた。
心配させたことを謝りたいけど、何よりも早くアルファムに抱きつきたい。その温もりに触れて匂いに包まれたい。
俺は、一番に先に地上に降りると、こちらに寄って来るアルファムを待たずに馬から飛び降りた。
1
お気に入りに追加
1,670
あなたにおすすめの小説


【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
【完結】悪役令息の従者に転職しました
*
BL
暗殺者なのに無様な失敗で死にそうになった俺をたすけてくれたのは、BLゲームで、どのルートでも殺されて悲惨な最期を迎える悪役令息でした。
依頼人には死んだことにして、悪役令息の従者に転職しました。
皆でしあわせになるために、あるじと一緒にがんばるよ!
本編完結しました!
『もふもふ獣人転生』に遊びにゆく、舞踏会編、はじめましたー!
他のお話を読まなくても大丈夫なようにお書きするので、気軽に楽しんでくださったら、とてもうれしいです。
ちっちゃくなった俺の異世界攻略
鮨海
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた!
精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!
八十神天従は魔法学園の異端児~神社の息子は異世界に行ったら特待生で特異だった
根上真気
ファンタジー
高校生活初日。神社の息子の八十神は異世界に転移してしまい危機的状況に陥るが、神使の白兎と凄腕美人魔術師に救われ、あれよあれよという間にリュケイオン魔法学園へ入学することに。期待に胸を膨らますも、彼を待ち受ける「特異クラス」は厄介な問題児だらけだった...!?日本の神様の力を魔法として行使する主人公、八十神。彼はその異質な能力で様々な苦難を乗り越えながら、新たに出会う仲間とともに成長していく。学園×魔法の青春バトルファンタジーここに開幕!
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる