炎の国の王の花

明樹

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謎の男 4

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昨日の夜に荷物をまとめて(ほぼリオがしてくれた)ディエス王に挨拶をして、今朝早くに、目立たないように城を出た。
襲ってきた男の仲間が他にもいるかもしれないと、用心してのことだ。


ハマトの顔を見てお礼を言いたかったけど、これ以上執着されても困るしサッシャに会うなとも言われている。それに自惚れかもしれないけど、ハマトも俺と会うのは辛いかもしれないと思い、手紙をサッシャに預けた。
俺は、まだまだこの世界の字が書けないので、『ありがとう』とだけ書いて。




今回は行きと違って、俺とリオ、サッシャと男を捕らえている城から一旦戻って来たミケの四人で、先に飛翔馬で翔んで国境へと向かう。
そうすれば、途中に一泊しなくても、今日の夜には国境に辿り着く。
残りの兵達には、リオがゆっくりと戻って来るように言って、俺達四人は順番に空へと駆け上がった。


人が豆粒ぐらいの大きさに見える高さを、国境目指して翔んで行く。
地上よりも太陽に近くなったぶん、陽射しがジリジリと照りつけてとても暑い。
でも顔に当たる風は爽やかで、流れた汗をすぐに乾かしてくれる。


途中三回休憩をして、夜遅くに国境に着いた。
国境の川に架かる橋の上では、すでに無数の灯りが煌めいて見える。


「あれってアルファム王だろ。いつから待ってたんだろうね…。もしや朝から…」


サッシャが、顔を引き攣らせながらポツリと言う。


「えー?アルは忙しいんだから、そんなことないよ。ふふ…、でも嬉しい。出迎えてくれて」
「カナデ、アルファム様への報告、頼んだよ。カナデ以外が報告すると、きっと怒り出すだろうから…」


俺の隣に並んだリオが、苦笑いをして言う。


「ん、わかった。でも…俺も怒られるよね?」
「………さあ?」


たっぷりと長い間をあけて、リオが首を傾げた。


ーーえー…、待って。俺、不安になってきたんだけど。でも、今回は俺は悪くない、と思う。勝手に襲ってきたあの男が悪いんだから…っ。


そう思いながら馬をゆっくりと下降させる。
だんだんと人の姿が大きくなり、すぐに赤い髪のアルファムを見つける。
というか、豆粒くらいの大きさでもアルファムがどこにいるかわかってた。
だって、俺の目にはアルファムだけ輝いてるように見えるんだもん。


アルファムの表情が確認出来る所まで降りて来て、アルファムの俺を心配する顔を見た途端、とても胸が締めつけられた。
心配させたことを謝りたいけど、何よりも早くアルファムに抱きつきたい。その温もりに触れて匂いに包まれたい。
俺は、一番に先に地上に降りると、こちらに寄って来るアルファムを待たずに馬から飛び降りた。
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