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看病 4
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ハマトの身体がとても熱い。
呼吸も短く、苦しそうだ。
身体が毒を排除しようとしてるからか、熱が上がり続けてるみたいだ。
せめて濡れたタオルとかで、額を冷やしてあげたいけど、ハマトの腕の中に閉じ込められてるから、起き上がることも出来ない。
それに、身体の熱いハマトに抱きしめられて、俺まで暑くて汗が流れてきた。
「なぁ、ハマト。腕を緩めてくれないかな。俺が上に乗ってたら、傷も痛いだろうし重いだろ?ほら、起きてよ」
顔を上げて言ってみるけど、荒い呼吸が聞こえるだけで、ちっとも気づいてくれない。
俺は、大きな溜息を吐いて、ハマトの顔を下から眺めた。
正面から見て颯人にそっくりだと思ったけど、この角度からもよく似ている。
颯人と夜を過ごして、いつも先に目覚めていた俺が見ていた光景。
懐かしいような、愛しいような、複雑な気持ちでぼんやりとしていたら、「…カナデ、さま?」と掠れた声がした。
ハッと意識を戻して目線を上に向ける。
ハマトが、虚ろな目をして、俺を見ていた。
「あっ!ハマトっ、気がついた?ごめん…俺を庇ったせいでこんな大怪我させちゃって…。本当にごめん…」
「…これは、夢か?カナデ様が…俺の腕の中に、いる…。カナデ様、俺は、あなたが好きだ…。あなたの為なら、俺は命をかけて守る…」
「え?あ…、うん。ありがとう…。でも俺はハマトの気持ちには応えられない。俺には愛する人がいるから…」
「…何を言ってるのか、よく聞こえないが…。ふ…困った顔も可愛らしい。とても暑くて息苦しいが、この夢から醒めたくないな…。俺の愛しいカナデ…」
「え?夢?いやいや、これは現実で、苦しいから腕を離して欲しい…ってさっきから言ってる…。あれ?また寝た?もー!暑苦しいから離せって!!」
だんだんとイライラしてきて、俺はかなり大きな声で叫んだ。
すると、突然視界が反転して、俺の背中がベッドにつき、ハマトの身体が上になる。そして、ハマトの顔がゆっくりと降りてきて、唇に唇が触れそうになって慌てて顔を背ける。
「いっ、いやだっ!やめろよっ、ハマト!」
俺は足をバタバタと動かすけど、俺を抱きしめるハマトの身体はビクともしなくて、こんな状況になってアルファムに申し訳ないやら情けないやらで、不覚にも涙を零してしまった。
顔を横に向けて震えていると、頬に熱いものが触れる。
ハマトが、唇を寄せて俺の涙を吸っていた。
「…カナデ様、泣かないで。俺は、あなたの悲しむ顔を見たくない…。俺が守るから、泣かないで…」
俺の首に顔を埋めて囁くハマトに、「だったら早く離してくれよ…」と、俺は鼻をすすりながら呟いた。
呼吸も短く、苦しそうだ。
身体が毒を排除しようとしてるからか、熱が上がり続けてるみたいだ。
せめて濡れたタオルとかで、額を冷やしてあげたいけど、ハマトの腕の中に閉じ込められてるから、起き上がることも出来ない。
それに、身体の熱いハマトに抱きしめられて、俺まで暑くて汗が流れてきた。
「なぁ、ハマト。腕を緩めてくれないかな。俺が上に乗ってたら、傷も痛いだろうし重いだろ?ほら、起きてよ」
顔を上げて言ってみるけど、荒い呼吸が聞こえるだけで、ちっとも気づいてくれない。
俺は、大きな溜息を吐いて、ハマトの顔を下から眺めた。
正面から見て颯人にそっくりだと思ったけど、この角度からもよく似ている。
颯人と夜を過ごして、いつも先に目覚めていた俺が見ていた光景。
懐かしいような、愛しいような、複雑な気持ちでぼんやりとしていたら、「…カナデ、さま?」と掠れた声がした。
ハッと意識を戻して目線を上に向ける。
ハマトが、虚ろな目をして、俺を見ていた。
「あっ!ハマトっ、気がついた?ごめん…俺を庇ったせいでこんな大怪我させちゃって…。本当にごめん…」
「…これは、夢か?カナデ様が…俺の腕の中に、いる…。カナデ様、俺は、あなたが好きだ…。あなたの為なら、俺は命をかけて守る…」
「え?あ…、うん。ありがとう…。でも俺はハマトの気持ちには応えられない。俺には愛する人がいるから…」
「…何を言ってるのか、よく聞こえないが…。ふ…困った顔も可愛らしい。とても暑くて息苦しいが、この夢から醒めたくないな…。俺の愛しいカナデ…」
「え?夢?いやいや、これは現実で、苦しいから腕を離して欲しい…ってさっきから言ってる…。あれ?また寝た?もー!暑苦しいから離せって!!」
だんだんとイライラしてきて、俺はかなり大きな声で叫んだ。
すると、突然視界が反転して、俺の背中がベッドにつき、ハマトの身体が上になる。そして、ハマトの顔がゆっくりと降りてきて、唇に唇が触れそうになって慌てて顔を背ける。
「いっ、いやだっ!やめろよっ、ハマト!」
俺は足をバタバタと動かすけど、俺を抱きしめるハマトの身体はビクともしなくて、こんな状況になってアルファムに申し訳ないやら情けないやらで、不覚にも涙を零してしまった。
顔を横に向けて震えていると、頬に熱いものが触れる。
ハマトが、唇を寄せて俺の涙を吸っていた。
「…カナデ様、泣かないで。俺は、あなたの悲しむ顔を見たくない…。俺が守るから、泣かないで…」
俺の首に顔を埋めて囁くハマトに、「だったら早く離してくれよ…」と、俺は鼻をすすりながら呟いた。
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