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日の国ディエス 16
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土を踏み固めた森の中の道を馬を走らせてしばらく進み、森を抜けて今度は石畳の道を進む。すぐに街が見えて来て、俺は思わず感嘆の声を上げた。
街の一番端にある建物が、鮮やかなオレンジ色をしていたからだ。
「わぁ、すごいな」
「派手だな」
俺の声に被せて、後ろからリオの声が聞こえる。
炎の国エン国は、赤色のイメージだけど、街の建物は、白色で統一されていて、とても落ち着いた雰囲気だ。赤色の建物は、今のところ見たことがない。
一方日の国ディエスは、黄色のイメージで、たいていの建物は、薄い黄色をしている。でも、こんなに鮮やかなオレンジ色の建物は、この国に来て初めて見た。
馬の速度を落として歩かせながら、サッシャが俺の隣に並んで言う。
「目立つだろ?店の主人の好きな色なんだって。あそこが、これから食事する店だよ」
「へぇ、明るそうな店だね。どんなのがあるんだろ?楽しみ」
壁の色や外観から、元いた世界の南国の地域をイメージする。
俺は、ワクワクしながら手綱を絞り、馬の脇腹を軽く蹴った。ごく軽く蹴った筈だった。
その瞬間、馬が前足を上げていななき、すごい勢いで走り出した。
「え?なんでっ!」
叫び声を上げて慌てて手綱を引き、馬を止めようとする。
一瞬速度を緩めた馬が、いきなり方向転換をして、街の外へと駆け出した。
その間、俺はずっと強く手綱を引いていたのだけど、馬が全く言うことを聞いてくれない。
俺は恐怖と焦りでびっしりと身体中に汗を流しながら、振り落とされないように身体を倒して、固く目を閉じて馬の首にしがみついた。
「カナデっ!」
「待てっ!どうしたんだっ!」
後ろからサッシャやリオの叫ぶ声が聞こえるけど、後ろを振り向くことも出来ない。
馬の尋常ではない速さの中、薄らと目を開けて前を見た。
本来なら森の中を走ってる筈なのに、俺の周りが白い霞に包まれて何も見えない。
「ちょっ…!え?なにこれっ。マロン!止まれっ!」
馬の耳に向かって名前を呼ぶけど、聞こえないのか反応しない。
全く止まる気配のない馬に、どんどんと不安が募る。
このままじゃ、マロンがどこかにぶつかるまで止まらないんじゃないだろうか?
そうしたら、俺もマロンも怪我だけじゃ済まない気がする。
だけど馬を止める魔法なんて知らないし…。
もう一度、何とか身体を起こして手綱を引くけど、やっぱり言うことを聞いてくれない。
気がつくと、馬が大きく道を逸れて、草や大きな石がゴロゴロと転がる草地へと入っていた。
「マロンっ!どこに行くんだよっ。止まれーっ!」
喉が裂けたかと思うほどの大きな声で叫ぶ。
すると、あれ程言うことを聞かなかった馬が、嘘のように速度を緩めてピタリと止まった。
街の一番端にある建物が、鮮やかなオレンジ色をしていたからだ。
「わぁ、すごいな」
「派手だな」
俺の声に被せて、後ろからリオの声が聞こえる。
炎の国エン国は、赤色のイメージだけど、街の建物は、白色で統一されていて、とても落ち着いた雰囲気だ。赤色の建物は、今のところ見たことがない。
一方日の国ディエスは、黄色のイメージで、たいていの建物は、薄い黄色をしている。でも、こんなに鮮やかなオレンジ色の建物は、この国に来て初めて見た。
馬の速度を落として歩かせながら、サッシャが俺の隣に並んで言う。
「目立つだろ?店の主人の好きな色なんだって。あそこが、これから食事する店だよ」
「へぇ、明るそうな店だね。どんなのがあるんだろ?楽しみ」
壁の色や外観から、元いた世界の南国の地域をイメージする。
俺は、ワクワクしながら手綱を絞り、馬の脇腹を軽く蹴った。ごく軽く蹴った筈だった。
その瞬間、馬が前足を上げていななき、すごい勢いで走り出した。
「え?なんでっ!」
叫び声を上げて慌てて手綱を引き、馬を止めようとする。
一瞬速度を緩めた馬が、いきなり方向転換をして、街の外へと駆け出した。
その間、俺はずっと強く手綱を引いていたのだけど、馬が全く言うことを聞いてくれない。
俺は恐怖と焦りでびっしりと身体中に汗を流しながら、振り落とされないように身体を倒して、固く目を閉じて馬の首にしがみついた。
「カナデっ!」
「待てっ!どうしたんだっ!」
後ろからサッシャやリオの叫ぶ声が聞こえるけど、後ろを振り向くことも出来ない。
馬の尋常ではない速さの中、薄らと目を開けて前を見た。
本来なら森の中を走ってる筈なのに、俺の周りが白い霞に包まれて何も見えない。
「ちょっ…!え?なにこれっ。マロン!止まれっ!」
馬の耳に向かって名前を呼ぶけど、聞こえないのか反応しない。
全く止まる気配のない馬に、どんどんと不安が募る。
このままじゃ、マロンがどこかにぶつかるまで止まらないんじゃないだろうか?
そうしたら、俺もマロンも怪我だけじゃ済まない気がする。
だけど馬を止める魔法なんて知らないし…。
もう一度、何とか身体を起こして手綱を引くけど、やっぱり言うことを聞いてくれない。
気がつくと、馬が大きく道を逸れて、草や大きな石がゴロゴロと転がる草地へと入っていた。
「マロンっ!どこに行くんだよっ。止まれーっ!」
喉が裂けたかと思うほどの大きな声で叫ぶ。
すると、あれ程言うことを聞かなかった馬が、嘘のように速度を緩めてピタリと止まった。
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