124 / 432
日の国ディエス 15
しおりを挟む
城を離れて街を抜け、緑が綺麗な森の上を通過する。
しばらく進むと、開けた場所に出て、木々も何も無い草原が広がる平らな場所に舞い降りた。
俺は真剣な顔で手綱を握り、一番最後に着地する。無事に地面に降りることが出来て、フゥーっと大きく安堵の息を吐いた。
「カナデ、上手く乗れてたよ。お疲れ様」
「ありがとう」
先に馬を降りていたリオが、俺の傍に来て手を差し出す。
俺は、遠慮なくその手を掴むと、勢いよく飛び降りた。
「んー…、緊張した…。わあっ!綺麗な所だなぁ」
大きく伸びをして周りを見渡すと、少し向こう側に湖が見える。水面が太陽の光にキラキラと反射して、とても綺麗だ。
「サッシャ!あっちに行ってもいい?」
「いいよ。走って勢い余ってはまるなよ?」
「俺、そんなにドン臭くないよっ」
俺はサッシャに笑い返すと、「お疲れ様。ここで休んでて」と馬の横腹を撫でた。
湖の近くまで走って行き岸から覗くと、水が透き通っていて、小さな魚が泳いでいる姿が見える。そっと手を水につけると、気候は汗ばむくらいに暑いのに、水の中はとても冷たかった。
「綺麗だろ?ここ。俺、嫌なことがあったり疲れたりしたら、城を抜け出してよくここへ来てたんだ。俺を心配したミケもついて来てさ、二人でここに座って、ぼんやりと湖を眺めてた…」
昔を思い出してるのか、サッシャが目を細めて話す。
「二人の思い出の場所なんだね。そんな所へ連れて来てくれて、ありがとう」
「カナデは、俺の初めての他国の友達だから…大切な友達だから、一緒に来たかったんだ」
はにかみながら話すサッシャが、とても可愛い。
俺は、大切な友達と言われたことが嬉しくて、笑顔でサッシャの手を両手でギュッと握りしめて、もう一度「ありがとう」と言った。
サッシャと並んで湖の周りを散策する。
リオとミケの二人は、少し離れた後ろからついて来た。
時おり水面が揺れると、魚が跳ねたのかと足を止めて覗き込む。
湖上から吹く風は爽やかで、この場所へ着いた時に少し汗をかいてベタついていた肌が、今はサラリとしていた。
ーーここにアルもいたら最高だったのになぁ。炎の国にもこんな場所があったら、アルと行ってみたいな…。
美味しい空気を吸い込みながら、ふとそんなことを思った。
湖の周りでゆったりとした時間を過ごし、お腹が減ってきた頃に、サッシャが「昼食を食べに行こう」と言い出した。
ここから近くの街に、昔からサッシャとミケがよく行ってる店があるらしい。
「とても美味しいよ」と言うサッシャの言葉を聞いて、俺のお腹が盛大にグゥーと鳴った。
しばらく進むと、開けた場所に出て、木々も何も無い草原が広がる平らな場所に舞い降りた。
俺は真剣な顔で手綱を握り、一番最後に着地する。無事に地面に降りることが出来て、フゥーっと大きく安堵の息を吐いた。
「カナデ、上手く乗れてたよ。お疲れ様」
「ありがとう」
先に馬を降りていたリオが、俺の傍に来て手を差し出す。
俺は、遠慮なくその手を掴むと、勢いよく飛び降りた。
「んー…、緊張した…。わあっ!綺麗な所だなぁ」
大きく伸びをして周りを見渡すと、少し向こう側に湖が見える。水面が太陽の光にキラキラと反射して、とても綺麗だ。
「サッシャ!あっちに行ってもいい?」
「いいよ。走って勢い余ってはまるなよ?」
「俺、そんなにドン臭くないよっ」
俺はサッシャに笑い返すと、「お疲れ様。ここで休んでて」と馬の横腹を撫でた。
湖の近くまで走って行き岸から覗くと、水が透き通っていて、小さな魚が泳いでいる姿が見える。そっと手を水につけると、気候は汗ばむくらいに暑いのに、水の中はとても冷たかった。
「綺麗だろ?ここ。俺、嫌なことがあったり疲れたりしたら、城を抜け出してよくここへ来てたんだ。俺を心配したミケもついて来てさ、二人でここに座って、ぼんやりと湖を眺めてた…」
昔を思い出してるのか、サッシャが目を細めて話す。
「二人の思い出の場所なんだね。そんな所へ連れて来てくれて、ありがとう」
「カナデは、俺の初めての他国の友達だから…大切な友達だから、一緒に来たかったんだ」
はにかみながら話すサッシャが、とても可愛い。
俺は、大切な友達と言われたことが嬉しくて、笑顔でサッシャの手を両手でギュッと握りしめて、もう一度「ありがとう」と言った。
サッシャと並んで湖の周りを散策する。
リオとミケの二人は、少し離れた後ろからついて来た。
時おり水面が揺れると、魚が跳ねたのかと足を止めて覗き込む。
湖上から吹く風は爽やかで、この場所へ着いた時に少し汗をかいてベタついていた肌が、今はサラリとしていた。
ーーここにアルもいたら最高だったのになぁ。炎の国にもこんな場所があったら、アルと行ってみたいな…。
美味しい空気を吸い込みながら、ふとそんなことを思った。
湖の周りでゆったりとした時間を過ごし、お腹が減ってきた頃に、サッシャが「昼食を食べに行こう」と言い出した。
ここから近くの街に、昔からサッシャとミケがよく行ってる店があるらしい。
「とても美味しいよ」と言うサッシャの言葉を聞いて、俺のお腹が盛大にグゥーと鳴った。
1
お気に入りに追加
1,661
あなたにおすすめの小説
平民男子と騎士団長の行く末
きわ
BL
平民のエリオットは貴族で騎士団長でもあるジェラルドと体だけの関係を持っていた。
ある日ジェラルドの見合い話を聞き、彼のためにも離れたほうがいいと決意する。
好きだという気持ちを隠したまま。
過去の出来事から貴族などの権力者が実は嫌いなエリオットと、エリオットのことが好きすぎて表からでは分からないように手を回す隠れ執着ジェラルドのお話です。
第十一回BL大賞参加作品です。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
義理の家族に虐げられている伯爵令息ですが、気にしてないので平気です。王子にも興味はありません。
竜鳴躍
BL
性格の悪い傲慢な王太子のどこが素敵なのか分かりません。王妃なんて一番めんどくさいポジションだと思います。僕は一応伯爵令息ですが、子どもの頃に両親が亡くなって叔父家族が伯爵家を相続したので、居候のようなものです。
あれこれめんどくさいです。
学校も身づくろいも適当でいいんです。僕は、僕の才能を使いたい人のために使います。
冴えない取り柄もないと思っていた主人公が、実は…。
主人公は虐げる人の知らないところで輝いています。
全てを知って後悔するのは…。
☆2022年6月29日 BL 1位ありがとうございます!一瞬でも嬉しいです!
☆2,022年7月7日 実は子どもが主人公の話を始めてます。
囚われの親指王子が瀕死の騎士を助けたら、王子さまでした。https://www.alphapolis.co.jp/novel/355043923/237646317
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる