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新たな始まり 4
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暫くは平穏な日々が続いた。
午前中はこの世界についての勉強をして、昼からはリオに剣や術を教えてもらう。リオがいない時は、一人でもくもくと練習に励んだ。
剣の腕は確実に上達してきたように思う。
時々リオやアルファムに相手をしてもらうのだけど、数回に一度は、俺の剣の方が早く相手の身体に届くようになった。
ただ、術は中々思うようにはいかない。
まあ俺は、この世界の住人ではないのだから、使えるようになる方がおかしいのだ。
でもアルファムは、『カナはこの世界の生まれではないのに、例えか弱い魔法だとしても、少しは使えるのだから素晴らしい』と絶賛してくれる。
確かに、小さな石ころを転がすだけだったのが、指先から光を飛ばして、壁に小さな傷をつけられるようにはなった。
普通の人間の俺が、どういう原理でそんなことが出来るのかは分からない。
この不思議な世界に来た時点で、俺に何らかの力が宿ったのだと、自分で自分を納得させているけど。
窓を開けていると爽やかな風が入ってくるようになった心地よいある日、政務をこなすアルファムの隣で、俺はこの世界の地理を勉強していた。
ちなみに、俺はこの世界に来てから、言葉はなぜか理解できるのだけど、字は全く分からなかった。
でも、再び城に戻って来てから二ヶ月、毎日シアンに教えてもらって、今では簡単な字は読み書き出来るようになった。
地理の本や教えてもらってわかったのだけど、この世界には、炎の国エン、水の国スイ、風の国ウィン、山の国マウン、日の国ディエス、月の国ルナの六カ国がある。
ということは、俺はこの世界に来て三ヶ月で、既に半分の国の王族に会ってることになる。
ーーそれって、すごくない?日本にいた時に、天皇に会うことなんて一生ないと思っていたのに!
そもそもは、最初にアルファムが俺を助けてくれたところからすごいんだけど。
こうなったら、後の3人の王様にも会ってみたいなぁ、と思っていたら、俺の隣で書類に目を通していたアルファムが、書類をテーブルに置いて、俺に話しかけてきた。
「カナ、実はな、今月末に俺の即位5周年を祝う式典がある」
「へえっ!おめでとう、アル!アル若いのに、5年前から王様やってたの?」
「ああ、父上が亡くなったからな。その時に皇太子だった俺が、自然と跡を継いだ」
アルファムの言い方を不自然に思い、緑色の目をジッと見つめる。
目を細めて俺の頬を撫でるアルファムの手を掴み、更に見つめ続けた。
「ふっ、アルファム様、カナデ様は聡いお方です。特に貴方様のことは、何でも知りたいとお見受けする。これから先ずっと共に過ごされるのでしたら、全部話して差し上げた方がよろしいのでは?」
アルファムと俺から離れた場所にある小さな机の前で書類整理をしていたシアンが、クスリと笑いながら言った。
午前中はこの世界についての勉強をして、昼からはリオに剣や術を教えてもらう。リオがいない時は、一人でもくもくと練習に励んだ。
剣の腕は確実に上達してきたように思う。
時々リオやアルファムに相手をしてもらうのだけど、数回に一度は、俺の剣の方が早く相手の身体に届くようになった。
ただ、術は中々思うようにはいかない。
まあ俺は、この世界の住人ではないのだから、使えるようになる方がおかしいのだ。
でもアルファムは、『カナはこの世界の生まれではないのに、例えか弱い魔法だとしても、少しは使えるのだから素晴らしい』と絶賛してくれる。
確かに、小さな石ころを転がすだけだったのが、指先から光を飛ばして、壁に小さな傷をつけられるようにはなった。
普通の人間の俺が、どういう原理でそんなことが出来るのかは分からない。
この不思議な世界に来た時点で、俺に何らかの力が宿ったのだと、自分で自分を納得させているけど。
窓を開けていると爽やかな風が入ってくるようになった心地よいある日、政務をこなすアルファムの隣で、俺はこの世界の地理を勉強していた。
ちなみに、俺はこの世界に来てから、言葉はなぜか理解できるのだけど、字は全く分からなかった。
でも、再び城に戻って来てから二ヶ月、毎日シアンに教えてもらって、今では簡単な字は読み書き出来るようになった。
地理の本や教えてもらってわかったのだけど、この世界には、炎の国エン、水の国スイ、風の国ウィン、山の国マウン、日の国ディエス、月の国ルナの六カ国がある。
ということは、俺はこの世界に来て三ヶ月で、既に半分の国の王族に会ってることになる。
ーーそれって、すごくない?日本にいた時に、天皇に会うことなんて一生ないと思っていたのに!
そもそもは、最初にアルファムが俺を助けてくれたところからすごいんだけど。
こうなったら、後の3人の王様にも会ってみたいなぁ、と思っていたら、俺の隣で書類に目を通していたアルファムが、書類をテーブルに置いて、俺に話しかけてきた。
「カナ、実はな、今月末に俺の即位5周年を祝う式典がある」
「へえっ!おめでとう、アル!アル若いのに、5年前から王様やってたの?」
「ああ、父上が亡くなったからな。その時に皇太子だった俺が、自然と跡を継いだ」
アルファムの言い方を不自然に思い、緑色の目をジッと見つめる。
目を細めて俺の頬を撫でるアルファムの手を掴み、更に見つめ続けた。
「ふっ、アルファム様、カナデ様は聡いお方です。特に貴方様のことは、何でも知りたいとお見受けする。これから先ずっと共に過ごされるのでしたら、全部話して差し上げた方がよろしいのでは?」
アルファムと俺から離れた場所にある小さな机の前で書類整理をしていたシアンが、クスリと笑いながら言った。
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