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はじめまして新世界 4
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「カナっ!」
アルファ厶が俺の手からコップを取り上げると、心配そうに覗き込んできた。
「大丈夫か?」
「何が?」
「カナが今飲んだのは、かなり強い酒だ。子供にはまだ早い」
「……子供?誰が?」
「カナがだ。だっておまえ、まだ15、6歳ぐらいだろ?」
「はあ?俺は22だっ!もう立派な大人だよっ!」
「えっっ!…うそだろ…」
アルファ厶が口に手を当てて、大きく目を開いて俺を凝視する。
アルファ厶だけじゃない。シアンも、この部屋にいる数人の人達も、とても驚いた顔で俺を見ていた。
ーーえ?ちょっと待って。確かに今までも童顔で未成年に見られることはあったけど…っ。15、6って、ヘタすりゃ中学生じゃんっ。俺は身長だって平均身長はあるんだぞ。でも…ちょっと待て。この国の人達って、アルファ厶はめちゃくちゃデカいしシアンも余裕で185くらいはありそうだし…。え…、横に控えてるのって、女の人だよね…?175近くは…ある?
アルファ厶が目立つから他に目が行ってなかったけど、よく見ると皆、身長が高くて身体も大きい。もしかしてこの国の人達からしたら、俺は小柄でかなり幼く見えるのかもしれない。
でもアイツは、『奏ぐらいの身長がいいね。ほら、こうやって抱くと、すっぽりと俺の胸に収まる』と言って、優しく抱きしめてくれたんだ。
俺は、黙り込んで下を向く。
俺は、忘れていたわけじゃない。目覚める前、何をしようとしていたのか。どんな気持ちで、あの高い崖の上に立っていたのか。
目が覚めたらあまりにも非現実的な状況だったから、今の状況を理解するのに精一杯で、辛い記憶が抑え込まれていたんだ。
だけど、また辛い気持ちが表に出てきてしまった。
せっかく崖から飛び降りたのに、結局頭を打って怪我をして、痛い思いをしただけじゃんか。しかも訳の分からない世界に放り込まれて、泣きたいのか、怒りたいのか、笑いたいのか、よく分からない。俺の心はぐちゃぐちゃだ。
急に黙り込んでしまった俺を心配して、アルファ厶が「どうしたんだ?やはりまだ辛いのか?」と聞いてくる。
俺は何も答えずに席を立つと、後ろにある大きな窓へと近づいた。窓の外はバルコニーになっていて、掌で押すとガチャリと音を立てて簡単に向こう側へと開いた。
「カナ、外に出たかったのか?手すりの向こう側は海になってる。あまり身を乗り出すなよ」
バルコニーへと出る俺についてきて、アルファ厶が気をつけるようにと言う。
ーーそうか…。この下は海なんだ。俺が飛び込んだ海と繋がってたのかな。
手すりから下を覗くけど、夜の暗闇の中では、波の音ばかり聞こえて何も見えない。
俺は後ろを振り向いて、アルファ厶を見つめる。
「ん?どうした?暖かいとはいえ、夜は少し冷える。カナ、部屋に戻ろう」
「…アルファ厶は、なんで会ったばかりの俺に優しいの?」
「俺が?優しい?…ふ、そうか…。確かにこんな穏やかな気持ちになったのは、初めてだ…。カナ、俺は、普段散策などしない。なのに3日前、急に胸が騒めきだしてな、城の周りを当てもなく歩いていたのだ。そうしたら、ちょうどこの下辺りで、空からカナが降ってきた。驚いて咄嗟に術が出せずに、カナに怪我をさせてしまった。慌ててカナを抱き上げて、また驚いた。この国…いや、この世界では見る事のない、尊い黒い髪をしていたからだ。それだけではない。透き通るような白い肌に美しい顔、強く抱きしめると壊れてしまいそうな華奢な身体。…俺は、カナが欲しくなった。一目で、カナに魅入られてしまったのだ。カナ…、俺がずっと守ってやる。だから俺の傍にいろ」
「そ…っか…。そうだったんだ。ありがとう、アル。でも、俺を助けないで欲しかった…」
「なっ、カナっ?」
俺に向かって手を伸ばすアルファ厶の顔が、ぼやけて見える。
不思議に思って顔に手をやると、頬が涙で濡れていた。
「もう涙なんて出ないと思ってたのに…」
そう呟くと、俺は手すりに足をかけて、俺の名前を叫ぶアルファ厶の声を振り切って、真っ暗な海に向かって飛び込んだ。
アルファ厶が俺の手からコップを取り上げると、心配そうに覗き込んできた。
「大丈夫か?」
「何が?」
「カナが今飲んだのは、かなり強い酒だ。子供にはまだ早い」
「……子供?誰が?」
「カナがだ。だっておまえ、まだ15、6歳ぐらいだろ?」
「はあ?俺は22だっ!もう立派な大人だよっ!」
「えっっ!…うそだろ…」
アルファ厶が口に手を当てて、大きく目を開いて俺を凝視する。
アルファ厶だけじゃない。シアンも、この部屋にいる数人の人達も、とても驚いた顔で俺を見ていた。
ーーえ?ちょっと待って。確かに今までも童顔で未成年に見られることはあったけど…っ。15、6って、ヘタすりゃ中学生じゃんっ。俺は身長だって平均身長はあるんだぞ。でも…ちょっと待て。この国の人達って、アルファ厶はめちゃくちゃデカいしシアンも余裕で185くらいはありそうだし…。え…、横に控えてるのって、女の人だよね…?175近くは…ある?
アルファ厶が目立つから他に目が行ってなかったけど、よく見ると皆、身長が高くて身体も大きい。もしかしてこの国の人達からしたら、俺は小柄でかなり幼く見えるのかもしれない。
でもアイツは、『奏ぐらいの身長がいいね。ほら、こうやって抱くと、すっぽりと俺の胸に収まる』と言って、優しく抱きしめてくれたんだ。
俺は、黙り込んで下を向く。
俺は、忘れていたわけじゃない。目覚める前、何をしようとしていたのか。どんな気持ちで、あの高い崖の上に立っていたのか。
目が覚めたらあまりにも非現実的な状況だったから、今の状況を理解するのに精一杯で、辛い記憶が抑え込まれていたんだ。
だけど、また辛い気持ちが表に出てきてしまった。
せっかく崖から飛び降りたのに、結局頭を打って怪我をして、痛い思いをしただけじゃんか。しかも訳の分からない世界に放り込まれて、泣きたいのか、怒りたいのか、笑いたいのか、よく分からない。俺の心はぐちゃぐちゃだ。
急に黙り込んでしまった俺を心配して、アルファ厶が「どうしたんだ?やはりまだ辛いのか?」と聞いてくる。
俺は何も答えずに席を立つと、後ろにある大きな窓へと近づいた。窓の外はバルコニーになっていて、掌で押すとガチャリと音を立てて簡単に向こう側へと開いた。
「カナ、外に出たかったのか?手すりの向こう側は海になってる。あまり身を乗り出すなよ」
バルコニーへと出る俺についてきて、アルファ厶が気をつけるようにと言う。
ーーそうか…。この下は海なんだ。俺が飛び込んだ海と繋がってたのかな。
手すりから下を覗くけど、夜の暗闇の中では、波の音ばかり聞こえて何も見えない。
俺は後ろを振り向いて、アルファ厶を見つめる。
「ん?どうした?暖かいとはいえ、夜は少し冷える。カナ、部屋に戻ろう」
「…アルファ厶は、なんで会ったばかりの俺に優しいの?」
「俺が?優しい?…ふ、そうか…。確かにこんな穏やかな気持ちになったのは、初めてだ…。カナ、俺は、普段散策などしない。なのに3日前、急に胸が騒めきだしてな、城の周りを当てもなく歩いていたのだ。そうしたら、ちょうどこの下辺りで、空からカナが降ってきた。驚いて咄嗟に術が出せずに、カナに怪我をさせてしまった。慌ててカナを抱き上げて、また驚いた。この国…いや、この世界では見る事のない、尊い黒い髪をしていたからだ。それだけではない。透き通るような白い肌に美しい顔、強く抱きしめると壊れてしまいそうな華奢な身体。…俺は、カナが欲しくなった。一目で、カナに魅入られてしまったのだ。カナ…、俺がずっと守ってやる。だから俺の傍にいろ」
「そ…っか…。そうだったんだ。ありがとう、アル。でも、俺を助けないで欲しかった…」
「なっ、カナっ?」
俺に向かって手を伸ばすアルファ厶の顔が、ぼやけて見える。
不思議に思って顔に手をやると、頬が涙で濡れていた。
「もう涙なんて出ないと思ってたのに…」
そう呟くと、俺は手すりに足をかけて、俺の名前を叫ぶアルファ厶の声を振り切って、真っ暗な海に向かって飛び込んだ。
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