ふれたら消える

明樹

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昊 38

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 青とセックスした。ずっとそうならないように避けていたけど、我慢の限界だった。
 だって俺は、青が好きだ。どんなに諦めようとしても無理だった。柊木の告白を受け入れてつき合ったけど、キスもセックスも無理だった。触られることや身体へのキスは許したけど、唇だけは守った。青とキスした記憶を大切にしたかったから。挿入も無理だった。柊木とセックスしてしまえば、青のことを少しでも諦められるかなと思い、試みてみたけど、俺の身体が拒否した。まず柊木の指一本すら入らない。痛くて気持ち悪くて吐きそうだった。柊木も、そんな俺を見て、無理に入れようとはしなかった。柊木は、優しくていい奴なんだ。柊木を好きになれたら良かったと思う。だけどごめん。俺は、青しかいらない。青だけなんだ。柊木も気づいてたと思うけど、俺は柊木を利用した。青とセックスした今、柊木に話さなければ、謝らなければいけない。
 柊木が傍にいてくれて、俺は救われてたよ。青と一緒にはなれないことで、辛くてしんどくて心が壊れそうだったけど、柊木が優しくて救われていたんだ。でも利用するだけ利用して、青が手に入ったから別れるなんて、ひどいよな。ほんとごめん。でも柊木は、優しいから「仕方ないな」と許してくれる。だから俺みたいなひどい奴じゃなく、優しい人と、幸せになってもらいたい。


 セックスの後、青と一緒に風呂に入った。まだ母さんは帰っていない。だから二人でインスタントラーメンを食べて、歯を磨いて、それぞれの部屋で寝た。
 青は一緒に寝たいと言ったけど、母さんに見つかるとまずい。ようやく普通に戻ってるのに、またおかしくさせてしまう。でも青を受け入れたのだから、いつまでも内緒にはしておけない。この先のことを、考えないとダメだ。だけどもう少し待って。今は、この幸せだけを感じていたい。
 ドアの前で拗ねる青にキスをして、おやすみと笑ってドアを閉めた。
 部屋に戻る青の足音を聞いて、ベッドにうつ伏せに倒れる。

「腰いて…。青のやつ、無茶しやがって。でも嬉しい」

 俺は腰を摩りながら目を閉じる。
 青の素肌の滑らかさ、久しぶりのキス、痛くて圧迫感が半端なかったけど、まだ腹の中に残る青のモノの感触。全てが俺を幸せにしてくれる。青、好きだよ、愛してる。大学を出て働くようになって自立できたら、家を出て二人で暮らそう。
 疲れていた俺は、夢を見ることなく朝までぐっすりと眠った。
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