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昊 30
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昊30
二年前の夏から、俺は青を避けるようになった。
明らかに青に好意を持つ女子を見て、またその女子の前で俺の手を振りほどかれたことで、心が折れてしまった。どうせこのまま青を想い続けても、報われることは決してない。他人でも男同士はむずかしいのに、兄弟なんて有り得ないだろ?青は兄貴想いだから俺に優しかっただけだ。それを良いように勘違いしていた。バカだな俺。
青も俺を避けると思い、先に俺から避けたのに、なんでか俺と同じ高校に入学した。
勉強を頑張っていたのは知ってたけど、まさか同じ学校に来るとは思わなかった。驚いたけど、内心は嬉しかった。もしかして俺を追いかけて来たのかと淡い期待をした。だけど颯人も同じだと聞いて、期待は消え失せる。そうか、仲の良い颯人がいたからか。いつまで経っても諦められなくて、青の行動一つで一喜一憂してしまう自分に笑ってしまう。
青への気持ちを無くそうと避けていたのに、学校に行けば離れていられたのに、同じ学校になったことで、次第に困惑してきた。校内や運動場、食堂や図書館、いろんな場所で青の姿を探してしまう。想いを消そうとしているのに、姿を目にするだけで逆に想いが膨らんでしまう。
その上面倒なことに、二年前から俺に執着する柊木と同じクラスになってしまった。また運の悪いことに席も隣。休み時間ごとに柊木に絡まれ、放課後も行動を共にすることが多くなった。柊木は面倒くさい奴だけど、柊木と過ごす時間は青への気持ちを誤魔化すにはちょうどいい。俺が喋らなくても柊木がずっと喋っているから、楽でいいとも思い始めていた。
青は高校では部活に入らないのか、まっすぐに家に帰ってくる。でも俺は、ほぼ毎日塾に行くから帰りが遅い。塾が休みの日は柊木といるから、相変わらず青と話していない。
青が入学してきて三ヶ月経った今、あることに気づいた。数学担当の大神先生が、青にばかり話しかけている。最初は気のせいだと思っていた。あの先生は生徒に人気があるから誰とでも気さくに話す。青も仲の良い生徒の一人だと思っていた。だけどよく観察して違うと気づく。まず他の生徒のように、青からは話しかけていない。話しかけるのはいつも先生からだ。そしてよく青を準備室に呼びつけている。中で何をしているのかまではわからないけど、嫌な気分だ。だけど、青が嫌がっていないなら仕方がない。俺は止めろと言う立場にない。そう自分に言い聞かせていたけど、胸の中のモヤモヤは消えない。
そんなふうに思っていたから、塾が休みの今日、家でのんびりしていたけど、支払いがあったことを思い出してコンビニに行こうと扉を開けて、目の前で親密そうな青と先生の姿を見てしまった瞬間、腹が立った。そして石を飲み込んだように腹の中が重たくなり、その場から逃げた。
二年前の夏から、俺は青を避けるようになった。
明らかに青に好意を持つ女子を見て、またその女子の前で俺の手を振りほどかれたことで、心が折れてしまった。どうせこのまま青を想い続けても、報われることは決してない。他人でも男同士はむずかしいのに、兄弟なんて有り得ないだろ?青は兄貴想いだから俺に優しかっただけだ。それを良いように勘違いしていた。バカだな俺。
青も俺を避けると思い、先に俺から避けたのに、なんでか俺と同じ高校に入学した。
勉強を頑張っていたのは知ってたけど、まさか同じ学校に来るとは思わなかった。驚いたけど、内心は嬉しかった。もしかして俺を追いかけて来たのかと淡い期待をした。だけど颯人も同じだと聞いて、期待は消え失せる。そうか、仲の良い颯人がいたからか。いつまで経っても諦められなくて、青の行動一つで一喜一憂してしまう自分に笑ってしまう。
青への気持ちを無くそうと避けていたのに、学校に行けば離れていられたのに、同じ学校になったことで、次第に困惑してきた。校内や運動場、食堂や図書館、いろんな場所で青の姿を探してしまう。想いを消そうとしているのに、姿を目にするだけで逆に想いが膨らんでしまう。
その上面倒なことに、二年前から俺に執着する柊木と同じクラスになってしまった。また運の悪いことに席も隣。休み時間ごとに柊木に絡まれ、放課後も行動を共にすることが多くなった。柊木は面倒くさい奴だけど、柊木と過ごす時間は青への気持ちを誤魔化すにはちょうどいい。俺が喋らなくても柊木がずっと喋っているから、楽でいいとも思い始めていた。
青は高校では部活に入らないのか、まっすぐに家に帰ってくる。でも俺は、ほぼ毎日塾に行くから帰りが遅い。塾が休みの日は柊木といるから、相変わらず青と話していない。
青が入学してきて三ヶ月経った今、あることに気づいた。数学担当の大神先生が、青にばかり話しかけている。最初は気のせいだと思っていた。あの先生は生徒に人気があるから誰とでも気さくに話す。青も仲の良い生徒の一人だと思っていた。だけどよく観察して違うと気づく。まず他の生徒のように、青からは話しかけていない。話しかけるのはいつも先生からだ。そしてよく青を準備室に呼びつけている。中で何をしているのかまではわからないけど、嫌な気分だ。だけど、青が嫌がっていないなら仕方がない。俺は止めろと言う立場にない。そう自分に言い聞かせていたけど、胸の中のモヤモヤは消えない。
そんなふうに思っていたから、塾が休みの今日、家でのんびりしていたけど、支払いがあったことを思い出してコンビニに行こうと扉を開けて、目の前で親密そうな青と先生の姿を見てしまった瞬間、腹が立った。そして石を飲み込んだように腹の中が重たくなり、その場から逃げた。
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