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放課後、昊と待ち合わせてフラペチーノを飲みに行った。
「わがまま言ったお詫び」として俺が支払うと、昊は「悪ぃな」と笑った。
その笑顔を見て、拗ねてることがバカらしくなった。そうだ、夏樹が言ったとおり、別に一緒に寝れなくてもいい。同じ家にいて毎日会えるんだ。目を見て話ができるんだ。それでいいじゃん。
本当は「好きだから一緒に寝たい、触れていたい」と言いたい。言えたらどれだけ良かっただろう。俺の気持ちを昊に知ってもらいたい。だけどそれをしてはダメだ。昊は優しいから俺を拒絶したりしないけど、軽蔑の目で見るかもしれない。俺が近づくと怖がるかもしれない。だから俺の気持ちは、決して悟られてはいけない。
「これ甘さ控え目でうまいな。もう一杯飲もうかなぁ」
嬉しそうな昊の声に、俺は思考を止める。
俺もフラペチーノを半分ほど一気に飲んで「冷て」と額を押さえた。
「一気に飲むからだろ。味わえよ」
「喉かわいてたから止まんなかった。てか昊、あんまり飲むと腹壊すよ?」
「大丈夫」
「よく壊してんじゃん」
「最近は大丈夫なの知ってんだろ」
「まあ…そだけど」
昊は最後までスズっと飲み干すと「買ってくるわ」と席を立った。
俺は息を吐いて、レジに並ぶ昊を見つめる。
甘いものが好きなかわいくて綺麗な俺の兄。大切な人。前後に並ぶ女の子達よりも綺麗だ。
その時、昊が手に持ったスマホを見て険しい顔をした。だけど俺の視線に気づいてすぐに笑う。
どうしたのだろうと気になったけど、戻ってきた昊が、幸せそうにフラペチーノを飲む姿を見ているうちに、どうでもよくなった。
そして案の定、家に帰ってから昊は、腹を壊してトイレにこもることになる。
文化祭の後から一緒に寝なくなったこと以外にも、気になることがある。
昊が休みの日によく出かけるようになった。夏樹と塾に行ってると思っていたけど、塾がない日にも出かける。昊に聞くと、図書館で勉強してると言う。昊の言うことを疑う訳じゃないけど、俺は昊の様子がおかしいと感じていた。でも昊が追求してほしくなさそうだったから、突っ込んでは聞かなかった。
そして月日が過ぎ、昊は夏樹と共に志望校に合格して高校生になる。それと同時に俺の目標もできた。二年後、必ず昊と同じ高校に行く。
「わがまま言ったお詫び」として俺が支払うと、昊は「悪ぃな」と笑った。
その笑顔を見て、拗ねてることがバカらしくなった。そうだ、夏樹が言ったとおり、別に一緒に寝れなくてもいい。同じ家にいて毎日会えるんだ。目を見て話ができるんだ。それでいいじゃん。
本当は「好きだから一緒に寝たい、触れていたい」と言いたい。言えたらどれだけ良かっただろう。俺の気持ちを昊に知ってもらいたい。だけどそれをしてはダメだ。昊は優しいから俺を拒絶したりしないけど、軽蔑の目で見るかもしれない。俺が近づくと怖がるかもしれない。だから俺の気持ちは、決して悟られてはいけない。
「これ甘さ控え目でうまいな。もう一杯飲もうかなぁ」
嬉しそうな昊の声に、俺は思考を止める。
俺もフラペチーノを半分ほど一気に飲んで「冷て」と額を押さえた。
「一気に飲むからだろ。味わえよ」
「喉かわいてたから止まんなかった。てか昊、あんまり飲むと腹壊すよ?」
「大丈夫」
「よく壊してんじゃん」
「最近は大丈夫なの知ってんだろ」
「まあ…そだけど」
昊は最後までスズっと飲み干すと「買ってくるわ」と席を立った。
俺は息を吐いて、レジに並ぶ昊を見つめる。
甘いものが好きなかわいくて綺麗な俺の兄。大切な人。前後に並ぶ女の子達よりも綺麗だ。
その時、昊が手に持ったスマホを見て険しい顔をした。だけど俺の視線に気づいてすぐに笑う。
どうしたのだろうと気になったけど、戻ってきた昊が、幸せそうにフラペチーノを飲む姿を見ているうちに、どうでもよくなった。
そして案の定、家に帰ってから昊は、腹を壊してトイレにこもることになる。
文化祭の後から一緒に寝なくなったこと以外にも、気になることがある。
昊が休みの日によく出かけるようになった。夏樹と塾に行ってると思っていたけど、塾がない日にも出かける。昊に聞くと、図書館で勉強してると言う。昊の言うことを疑う訳じゃないけど、俺は昊の様子がおかしいと感じていた。でも昊が追求してほしくなさそうだったから、突っ込んでは聞かなかった。
そして月日が過ぎ、昊は夏樹と共に志望校に合格して高校生になる。それと同時に俺の目標もできた。二年後、必ず昊と同じ高校に行く。
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