ふれたら消える

明樹

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 朝は昊と手を繋いで学校に行き、帰りは僕の方が早く終わるけど、昊が終わるのを待って手をつないで帰った。
 僕は、友だちと遊ぶ約束はしなかった。
 だって昊と遊びたかったから。
 でも昊は、時々友だちと遊びに行ってしまう。
 そんな時、僕が寂しそうにうつむくと「青も一緒に遊ぶ?」と連れて行ってくれた。
 昊の友だちは、僕がついて来ても怒らなかった。昊に似てみんな優しかった。

「青くん、可愛かわいいね!このお菓子、食べる?」
「青くん、ほんと可愛い顔してるよね。何して遊ぶ?」

 昊の友だちは、僕を可愛がってくれた。
 昊は「青が可愛いからだよ」と言ってたけど。
 昊の方が可愛いのに…と不思議に思ったけど、昊に可愛いと言われるのは嬉しい。
 僕は、いつでも昊の一番でいたい。


 僕は友だちと約束はしなかったけど、時々いきなり家に呼びに来る子がいたりする。
 昊と遊びたいから断ろうとすると「僕とばかりじゃなく、友だちとも遊んだ方がいいよ」と昊に言われて、渋々遊びに行くこともあった。
 その日も、リビングのソファーで昊と並んでアニメを見ている時だった。
 インターフォンが鳴って、対応したお母さんに「青、お友達が来てるわよ」と呼ばれた。

「僕、今忙しいから」
「何言ってんの。昊とアニメ見てるだけじゃない。せっかく来てくれたんだから遊びに行ってらっしゃい」

 昊とアニメ見る方が楽しいのに。
 むう…とむくれた僕の頭をでて、昊が笑う。

「そんな顔するな。じゃあさ、今日は俺も一緒についてくよ。それならいいだろ?」
「え?昊も一緒?うんっ、じゃあ遊びに行くっ」

 僕はソファーを飛び降りて、昊の手を握ってはしゃいだ。
 昊も笑いながら立ち上がり、僕の手を引いて玄関に向かう。

「じゃあお母さん、行ってくる」
「昊…無理につき合わなくてもいいのよ?」
「大丈夫だよ。可愛い弟のためだもん」
「青はいつまでも甘えん坊で困ったわねぇ。青、お兄ちゃんの言うこと聞くのよ?」
「うん、じゃあいってきまーす」

 僕は大きく頷いて、玄関で靴をくと、勢いよくドアを開けた。
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