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リアムに耳を触られて、思わず肩をすくめる。
「くすぐったい…」
「フィーはかわいいなぁ。どうする?最近は暑くなってきたし庭で…」
「しないよっ、なに言ってるの!」
「ええ?昼でもノア以外は誰も来ないから夜はなおさら大丈夫だろ?」
「それでもっ…ダメだか…んっ」
リアムに顎をすくわれ、注意をしようと開いた唇を塞がれた。口内で舌がからまるクチュクチュという音が耳に響く。
こんな激しいキスをされたら、頭と身体がとろけて変になる。もうすぐラズールが来るのに、何をしてたかバレてしまう。
「んぅ…んんっ」
「あっま…、おまえはいつも甘いな」
「うう…果物のせいだよ…」
「違う」
リアムが僕の頬をするりと撫でて、華やかに笑う。
眩しい笑顔に目の前がクラクラとする。そんな顔を見せられたら、何でも言うことを聞いてあげたくなるじゃないか…。
僕は慌ててリアムから離れると、残りの料理を平らげて後片付けをした。
僕とリアムの小さな家には、二階に小さなバルコニーがある。そこにシーツを干していると、馬のひづめの音が聞こえてきた。
僕はバルコニーの手すりから身を乗り出して「ラズール!」と叫ぶ。
軍服ではなくシャツにベストとズボン、ブーツ姿のラズールが、僕に気づいて笑った。
「危ないですよ」
「大丈夫!いま降りるねっ」
「ゆっくりでいいですよ。階段から落ちないように」
「そんなヘマしないからっ」
僕は身をひるがえすと、急いで中へ入り階段をかけ降りた。
頻繁に来るラズールに困ってはいるけど、やはり会えることは嬉しい。ラズールの顔を見ると安心する。
あまりにも気が急きすぎて、階段を降り切る直前で足を踏み外した。
「あっ」
「おっと」
落ちると思い固まった僕の身体を、リアムが力強く受け止めてくれた。
僕は激しく鼓動を打つ胸を押さえてリアムを見上げる。
「…ありがとう」
「ん、無事でよかった。気をつけろよ」
「うん」
リアムが笑って僕を立たせ、頭をポンポンと撫でる。
リアムは優しい。すごく優しい。かっこよくてキレイで優しくて、本当にどうして僕と結婚したの?って今でも不思議に思う時がある。
僕がリアムを見つめていると、リアムが小さく首を傾けた。
「どうした?早く行かなくていいのか?ラズールが到着したのだろう」
「うん。リアムも一緒に」
「ええ…。会わなきゃダメか?」
「うん、ダメ。ラズールはあんな態度だけど、リアムのこと結構好きだと思うんだ」
「…いやいや、それはないだろ」
「だってリアムもラズールのこと、気に入ってるでしょ?」
「まさかっ」
リアムが全力で首を振る。
僕は笑ってリアムの手を引き玄関へ向かう。
ほんと、二人とも素直じゃないんだから。僕を間に挟むから、いがみ合ってばかりいるけど、二人きりで話すと、きっと気が合うと思うんだ。リアムは僕の伴侶だし、ラズールは僕の家族だから、リアムとラズールも家族だよね?
でもそれを言うと二人は怒りだしそうだから、今はまだ言わないけど。
「くすぐったい…」
「フィーはかわいいなぁ。どうする?最近は暑くなってきたし庭で…」
「しないよっ、なに言ってるの!」
「ええ?昼でもノア以外は誰も来ないから夜はなおさら大丈夫だろ?」
「それでもっ…ダメだか…んっ」
リアムに顎をすくわれ、注意をしようと開いた唇を塞がれた。口内で舌がからまるクチュクチュという音が耳に響く。
こんな激しいキスをされたら、頭と身体がとろけて変になる。もうすぐラズールが来るのに、何をしてたかバレてしまう。
「んぅ…んんっ」
「あっま…、おまえはいつも甘いな」
「うう…果物のせいだよ…」
「違う」
リアムが僕の頬をするりと撫でて、華やかに笑う。
眩しい笑顔に目の前がクラクラとする。そんな顔を見せられたら、何でも言うことを聞いてあげたくなるじゃないか…。
僕は慌ててリアムから離れると、残りの料理を平らげて後片付けをした。
僕とリアムの小さな家には、二階に小さなバルコニーがある。そこにシーツを干していると、馬のひづめの音が聞こえてきた。
僕はバルコニーの手すりから身を乗り出して「ラズール!」と叫ぶ。
軍服ではなくシャツにベストとズボン、ブーツ姿のラズールが、僕に気づいて笑った。
「危ないですよ」
「大丈夫!いま降りるねっ」
「ゆっくりでいいですよ。階段から落ちないように」
「そんなヘマしないからっ」
僕は身をひるがえすと、急いで中へ入り階段をかけ降りた。
頻繁に来るラズールに困ってはいるけど、やはり会えることは嬉しい。ラズールの顔を見ると安心する。
あまりにも気が急きすぎて、階段を降り切る直前で足を踏み外した。
「あっ」
「おっと」
落ちると思い固まった僕の身体を、リアムが力強く受け止めてくれた。
僕は激しく鼓動を打つ胸を押さえてリアムを見上げる。
「…ありがとう」
「ん、無事でよかった。気をつけろよ」
「うん」
リアムが笑って僕を立たせ、頭をポンポンと撫でる。
リアムは優しい。すごく優しい。かっこよくてキレイで優しくて、本当にどうして僕と結婚したの?って今でも不思議に思う時がある。
僕がリアムを見つめていると、リアムが小さく首を傾けた。
「どうした?早く行かなくていいのか?ラズールが到着したのだろう」
「うん。リアムも一緒に」
「ええ…。会わなきゃダメか?」
「うん、ダメ。ラズールはあんな態度だけど、リアムのこと結構好きだと思うんだ」
「…いやいや、それはないだろ」
「だってリアムもラズールのこと、気に入ってるでしょ?」
「まさかっ」
リアムが全力で首を振る。
僕は笑ってリアムの手を引き玄関へ向かう。
ほんと、二人とも素直じゃないんだから。僕を間に挟むから、いがみ合ってばかりいるけど、二人きりで話すと、きっと気が合うと思うんだ。リアムは僕の伴侶だし、ラズールは僕の家族だから、リアムとラズールも家族だよね?
でもそれを言うと二人は怒りだしそうだから、今はまだ言わないけど。
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