王子さまと七色のカラス ~眠れる城のお姫さま~

朔雲みう (さくもみう)

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3. 出会い ~すみません、王子さまに看病していただくなんて……!~

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 王子おうじさまは自分を助けてくれたカラスを部屋へやれて帰り、びしょびしょにぬれたまっ黒な羽をやわらかいぬのでふいてやりました。そして、ベッドの上のまくらにかせ、新しいぬのをかけました。

 王子おうじさまが仕事しごとをかたづけていると、カラスがようやく目をましました。

 見たことのない部屋へやにいることに気がついて、カラスは大あわてです。


「ああ、よかった。気がついた」


 ようすを見にきた王子おうじさまはほっとした顔で言いましたが、カラスはあわてるあまり、まくらから転げ落ちてしまいました。転げ落ちた先もふかふかのふとんだったので、カラスはすぐに起きあがって、まくしたてます。


「すみません、王子おうじさまに看病かんびょうしていただくなんて……!」


 王子おうじさまはやさしく言いました。


「そこは、ありがとうでよいのだよ。もっとも、お礼を言わなければならないのは、わたしの方だ。ありがとう、そなたのおかげで助かった」


 カラスはめんくらいました。まさか、お礼を言われるなんて思っていなかったのです。

 うれしさに、カラスがまだぬれている羽をばたばたさせていると、王子おうじさまがやわらかくほほえみました。


「きれいだな……」


 王子おうじさまのことばを聞いて、カラスは羽を動かすのをやめました。

 王子おうじさまは、何を見てきれいだと言ったのでしょう。まさか、このまっ黒な羽でしょうか。

 自分の羽をよく見ようと、カラスは羽を大きく広げました。

 すると、羽についていた水滴すいてきが、ぱっと飛びって、カラスと王子おうじさまの間を流れました。それはまるで、流れ星のようにきらきらしていました。

 ああ、そうか、とカラスは思います。王子おうじさまは、羽から飛び水滴すいてきを見て、きれいだと言ったにちがいありません。


「ぼくもそう思います」


 王子おうじさまにそう返すと、王子おうじさまはおだやかにほほえみました。
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