10 / 15
3話
3-2
しおりを挟む
「っふー...」
俺はヘッドギアを外した。
これをつけて数秒後にゲームにダイブするようになっている。
このゲーム、結構なスキルゲーだが、FSCの独占対策として定期的に新職業を追加してるらしい。
これから新たなチート級スキルが出てくるのかな...
アンナの様子が気になるが...
「陸人ー、ごはんよー」
1階から母の声がした。
俺は階段を下りて1階のリビングに向かう。
階段を降りると、夕食のいい匂いがする。
「陸人、またゲームしてたの?」
高校生の息子(17)がいるにしてはなかなか若い(見た目)うちの母(42)
「ああ、だから何だよ」
「高校に行く気はないの?」
「おれさ、今日ダンジョン行ってリアルマネーで12万円分稼いだんだ」
「まあ、すごいじゃない」
「1日でそんだけ稼げるんだったら仕事する必要あるかなって...」
「陸人がそうしたいならそうさせたいけど、ちゃんとそのゲームがサービスを終了した後のことも考えるのよ」
「わかってるよ」
俺は黙々と夕飯を食べ、完食する。
「ごちそうさま」
俺は2階の自室に戻った。
母さんが俺のやってることに理解があるほうだってことはわかってる。
でも、とやかく言われることに嫌悪感を抱いてしまう。
母さんが言ってることは正しい。
でも、素直になれないのはなぜだろう...
俺はヘッドギアをかぶって眠りについた。
目の前に広がるゲーム内の村。
地名は...覚えてない。
午後8時半に世界が昼から夜に変わる。
闇を利用した戦術、というものがあるらしい。
「今火山行ったらきれいだろうな...」
俺は何となく空を見上げる。
すると、その視線の先にウィンドウが現れた。
「パーティ加入の申請が来ています」とある。
なんだ...?
俺はそのウィンドウをタップし、詳細を開く。
「何っ!?3人目のFSC?」
それは盗賊のFSC。
「盗賊って確か...」
盗賊。
軽い装備まで装備できる半戦闘職であり、敵に攻撃することで一定確率でドロップアイテムを盗み取る役職。
確か追加されたのは3か月前...もう最終実績まで行ったのか!?
「一応フレンドになっとこ...」
俺はそのプレイヤーにフレンド申請と、「もう一人のメンバーに確認させてください」というメッセだけ送っておいた。
すると、近くを通りかかった少女にそれが届いていた。
文面までしっかり見えた。
確実にあれが盗賊のFSC。
「あっあのっ」
意外にも、話しかけてきたのはその少女のほうだった。
「今ああなたが送信した内容が私に届いたんですけど...もしかしてあなたがアディさんですか?」
長い白髪を下した少女。青のメッシュが入っている。背はおそらくアンナより高くて俺より低いくらい...つってもアンナとそんな変わんないか。
ちょっとカワウソ顔...
かわいい。
「ああ、いかにも俺がアディですけど。もしかして、あなたが?」
「はい。ミヤです」
「おお、やっぱり。こんなかわいい子が盗賊なんて、何か意外だな」
「あ、ありがとうございます」
「リアルの話は聞かないけど、どうせ年齢もわからないんだからため口でいいよ」
「そうでs...そう?じゃあ、このまましゃべりま...しゃべるね」
「無理してため口で話せとは言わないけど」
「...敬語で」
「OK。とりあえずスキルの内容聞いていい?」
「わかりました。私が解放したのは『快刀乱麻』です」
「快刀乱麻...盗賊だけにってか」
「スキルの内容としては、軽装備しかできない盗賊ですが、このスキルで重装備ができるというものです」
「ほっほー、なかなか面白いな。つまりドロップアイテムを奪い取れる剣士って感じか」
「そうですね」
「FSCとったんだろ?特典スキルも教えてくれよ」
「はい。えっと、スキル名は『怪盗』、ヘイトを取らずに攻撃できます」
「それは...一方的に殴れるってことだよな」
「そうですね」
「戦闘力以前に攻撃されない?」
「はい」
これは...
チートとかいう次元ではないのでは?
「また大変ぶっ飛んだスキルを手に入れたな」
「はい。中級ダンジョン周回したかいがありました」
「そうだ!それだよ。君3か月で解放してたよな」
「はい。解放条件が「敵に三万回攻撃を当てる」だったので」
「...そんな条件達成できるのか?」
どんな武器でも攻撃力は10以上ある。
3万回当てるとなると、最低でも合計30万以上の合計HPが必要だ。
中級ダンジョンの敵HPは平均して100程度。
3か月を90日と見積もるなら、1日あたり少なくとも3300体倒さなくちゃならない。
よっぽどのゲーム廃人でもここまでは無理だろ...
「一体どうやって...」
「えっと、この条件っていかに多くのモンスターを倒すかじゃないんです」
...まあそうだな。
「いかに大量の攻撃をするか。つまり、一体に1000回攻撃を当てれば1日3~4体で達成することになります」
「でもそんなHP持ってる敵と戦うと殺されかねないだろ?」
「そこです。実はこのゲームのモンスターってHPが0になってからも0.4秒だけ当たり判定があるんです」
「まさか...」
「はい。その間にとにかく連打すれば1体に1000回攻撃できます。プレイヤースキルですけど、ここでしか役に立たなくて...」
ナニモンだこいつ。
多分リアルでかなり特殊な趣味や仕事をしてるんだろう。
「ミヤちゃん、かなり強そうだから加入は明るいと思うけど、一応もう一人に確認だけ取らせてくれな」
「はい」
「今時間ある?」
「え?」
「その辺でちょっとダンジョンいかない?」
「えっと...新手のナンパ...でしょうか?」
「ちげえよ。とりあえずどのくらい強いか見たいから。西端の乱気流ステージでいいよね?」
「えっ...現最高難易度...」
「大丈夫。FSCって強いよ」
俺はミヤを連れて西へ向かった。
俺はヘッドギアを外した。
これをつけて数秒後にゲームにダイブするようになっている。
このゲーム、結構なスキルゲーだが、FSCの独占対策として定期的に新職業を追加してるらしい。
これから新たなチート級スキルが出てくるのかな...
アンナの様子が気になるが...
「陸人ー、ごはんよー」
1階から母の声がした。
俺は階段を下りて1階のリビングに向かう。
階段を降りると、夕食のいい匂いがする。
「陸人、またゲームしてたの?」
高校生の息子(17)がいるにしてはなかなか若い(見た目)うちの母(42)
「ああ、だから何だよ」
「高校に行く気はないの?」
「おれさ、今日ダンジョン行ってリアルマネーで12万円分稼いだんだ」
「まあ、すごいじゃない」
「1日でそんだけ稼げるんだったら仕事する必要あるかなって...」
「陸人がそうしたいならそうさせたいけど、ちゃんとそのゲームがサービスを終了した後のことも考えるのよ」
「わかってるよ」
俺は黙々と夕飯を食べ、完食する。
「ごちそうさま」
俺は2階の自室に戻った。
母さんが俺のやってることに理解があるほうだってことはわかってる。
でも、とやかく言われることに嫌悪感を抱いてしまう。
母さんが言ってることは正しい。
でも、素直になれないのはなぜだろう...
俺はヘッドギアをかぶって眠りについた。
目の前に広がるゲーム内の村。
地名は...覚えてない。
午後8時半に世界が昼から夜に変わる。
闇を利用した戦術、というものがあるらしい。
「今火山行ったらきれいだろうな...」
俺は何となく空を見上げる。
すると、その視線の先にウィンドウが現れた。
「パーティ加入の申請が来ています」とある。
なんだ...?
俺はそのウィンドウをタップし、詳細を開く。
「何っ!?3人目のFSC?」
それは盗賊のFSC。
「盗賊って確か...」
盗賊。
軽い装備まで装備できる半戦闘職であり、敵に攻撃することで一定確率でドロップアイテムを盗み取る役職。
確か追加されたのは3か月前...もう最終実績まで行ったのか!?
「一応フレンドになっとこ...」
俺はそのプレイヤーにフレンド申請と、「もう一人のメンバーに確認させてください」というメッセだけ送っておいた。
すると、近くを通りかかった少女にそれが届いていた。
文面までしっかり見えた。
確実にあれが盗賊のFSC。
「あっあのっ」
意外にも、話しかけてきたのはその少女のほうだった。
「今ああなたが送信した内容が私に届いたんですけど...もしかしてあなたがアディさんですか?」
長い白髪を下した少女。青のメッシュが入っている。背はおそらくアンナより高くて俺より低いくらい...つってもアンナとそんな変わんないか。
ちょっとカワウソ顔...
かわいい。
「ああ、いかにも俺がアディですけど。もしかして、あなたが?」
「はい。ミヤです」
「おお、やっぱり。こんなかわいい子が盗賊なんて、何か意外だな」
「あ、ありがとうございます」
「リアルの話は聞かないけど、どうせ年齢もわからないんだからため口でいいよ」
「そうでs...そう?じゃあ、このまましゃべりま...しゃべるね」
「無理してため口で話せとは言わないけど」
「...敬語で」
「OK。とりあえずスキルの内容聞いていい?」
「わかりました。私が解放したのは『快刀乱麻』です」
「快刀乱麻...盗賊だけにってか」
「スキルの内容としては、軽装備しかできない盗賊ですが、このスキルで重装備ができるというものです」
「ほっほー、なかなか面白いな。つまりドロップアイテムを奪い取れる剣士って感じか」
「そうですね」
「FSCとったんだろ?特典スキルも教えてくれよ」
「はい。えっと、スキル名は『怪盗』、ヘイトを取らずに攻撃できます」
「それは...一方的に殴れるってことだよな」
「そうですね」
「戦闘力以前に攻撃されない?」
「はい」
これは...
チートとかいう次元ではないのでは?
「また大変ぶっ飛んだスキルを手に入れたな」
「はい。中級ダンジョン周回したかいがありました」
「そうだ!それだよ。君3か月で解放してたよな」
「はい。解放条件が「敵に三万回攻撃を当てる」だったので」
「...そんな条件達成できるのか?」
どんな武器でも攻撃力は10以上ある。
3万回当てるとなると、最低でも合計30万以上の合計HPが必要だ。
中級ダンジョンの敵HPは平均して100程度。
3か月を90日と見積もるなら、1日あたり少なくとも3300体倒さなくちゃならない。
よっぽどのゲーム廃人でもここまでは無理だろ...
「一体どうやって...」
「えっと、この条件っていかに多くのモンスターを倒すかじゃないんです」
...まあそうだな。
「いかに大量の攻撃をするか。つまり、一体に1000回攻撃を当てれば1日3~4体で達成することになります」
「でもそんなHP持ってる敵と戦うと殺されかねないだろ?」
「そこです。実はこのゲームのモンスターってHPが0になってからも0.4秒だけ当たり判定があるんです」
「まさか...」
「はい。その間にとにかく連打すれば1体に1000回攻撃できます。プレイヤースキルですけど、ここでしか役に立たなくて...」
ナニモンだこいつ。
多分リアルでかなり特殊な趣味や仕事をしてるんだろう。
「ミヤちゃん、かなり強そうだから加入は明るいと思うけど、一応もう一人に確認だけ取らせてくれな」
「はい」
「今時間ある?」
「え?」
「その辺でちょっとダンジョンいかない?」
「えっと...新手のナンパ...でしょうか?」
「ちげえよ。とりあえずどのくらい強いか見たいから。西端の乱気流ステージでいいよね?」
「えっ...現最高難易度...」
「大丈夫。FSCって強いよ」
俺はミヤを連れて西へ向かった。
0
お気に入りに追加
10
あなたにおすすめの小説
どうも、死んだはずの悪役令嬢です。
西藤島 みや
ファンタジー
ある夏の夜。公爵令嬢のアシュレイは王宮殿の舞踏会で、婚約者のルディ皇子にいつも通り罵声を浴びせられていた。
皇子の罵声のせいで、男にだらしなく浪費家と思われて王宮殿の使用人どころか通っている学園でも遠巻きにされているアシュレイ。
アシュレイの誕生日だというのに、エスコートすら放棄して、皇子づきのメイドのミュシャに気を遣うよう求めてくる皇子と取り巻き達に、呆れるばかり。
「幼馴染みだかなんだかしらないけれど、もう限界だわ。あの人達に罰があたればいいのに」
こっそり呟いた瞬間、
《願いを聞き届けてあげるよ!》
何故か全くの別人になってしまっていたアシュレイ。目の前で、アシュレイが倒れて意識不明になるのを見ることになる。
「よくも、義妹にこんなことを!皇子、婚約はなかったことにしてもらいます!」
義父と義兄はアシュレイが状況を理解する前に、アシュレイの体を持ち去ってしまう。
今までミュシャを崇めてアシュレイを冷遇してきた取り巻き達は、次々と不幸に巻き込まれてゆき…ついには、ミュシャや皇子まで…
ひたすら一人づつざまあされていくのを、呆然と見守ることになってしまった公爵令嬢と、怒り心頭の義父と義兄の物語。
はたしてアシュレイは元に戻れるのか?
剣と魔法と妖精の住む世界の、まあまあよくあるざまあメインの物語です。
ざまあが書きたかった。それだけです。
悪役令嬢は永眠しました
詩海猫
ファンタジー
「お前のような女との婚約は破棄だっ、ロザリンダ・ラクシエル!だがお前のような女でも使い道はある、ジルデ公との縁談を調えてやった!感謝して公との間に沢山の子を産むがいい!」
長年の婚約者であった王太子のこの言葉に気を失った公爵令嬢・ロザリンダ。
だが、次に目覚めた時のロザリンダの魂は別人だった。
ロザリンダとして目覚めた木の葉サツキは、ロザリンダの意識がショックのあまり永遠の眠りについてしまったことを知り、「なぜロザリンダはこんなに努力してるのに周りはクズばっかりなの?まかせてロザリンダ!きっちりお返ししてあげるからね!」
*思いつきでプロットなしで書き始めましたが結末は決めています。暗い展開の話を書いているとメンタルにもろに影響して生活に支障が出ることに気付きました。定期的に強気主人公を暴れさせないと(?)書き続けるのは不可能なようなのでメンタル状態に合わせて書けるものから書いていくことにします、ご了承下さいm(_ _)m
婚約破棄の後始末 ~息子よ、貴様何をしてくれってんだ!
タヌキ汁
ファンタジー
国一番の権勢を誇る公爵家の令嬢と政略結婚が決められていた王子。だが政略結婚を嫌がり、自分の好き相手と結婚する為に取り巻き達と共に、公爵令嬢に冤罪をかけ婚約破棄をしてしまう、それが国を揺るがすことになるとも思わずに。
これは馬鹿なことをやらかした息子を持つ父親達の嘆きの物語である。
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
あなたがそう望んだから
まる
ファンタジー
「ちょっとアンタ!アンタよ!!アデライス・オールテア!」
思わず不快さに顔が歪みそうになり、慌てて扇で顔を隠す。
確か彼女は…最近編入してきたという男爵家の庶子の娘だったかしら。
喚き散らす娘が望んだのでその通りにしてあげましたわ。
○○○○○○○○○○
誤字脱字ご容赦下さい。もし電波な転生者に貴族の令嬢が絡まれたら。攻略対象と思われてる男性もガッチリ貴族思考だったらと考えて書いてみました。ゆっくりペースになりそうですがよろしければ是非。
閲覧、しおり、お気に入りの登録ありがとうございました(*´ω`*)
何となくねっとりじわじわな感じになっていたらいいのにと思ったのですがどうなんでしょうね?
【完結】義妹とやらが現れましたが認めません。〜断罪劇の次世代たち〜
福田 杜季
ファンタジー
侯爵令嬢のセシリアのもとに、ある日突然、義妹だという少女が現れた。
彼女はメリル。父親の友人であった彼女の父が不幸に見舞われ、親族に虐げられていたところを父が引き取ったらしい。
だがこの女、セシリアの父に欲しいものを買わせまくったり、人の婚約者に媚を打ったり、夜会で非常識な言動をくり返して顰蹙を買ったりと、どうしようもない。
「お義姉さま!」 . .
「姉などと呼ばないでください、メリルさん」
しかし、今はまだ辛抱のとき。
セシリアは来たるべき時へ向け、画策する。
──これは、20年前の断罪劇の続き。
喜劇がくり返されたとき、いま一度鉄槌は振り下ろされるのだ。
※ご指摘を受けて題名を変更しました。作者の見通しが甘くてご迷惑をおかけいたします。
旧題『義妹ができましたが大嫌いです。〜断罪劇の次世代たち〜』
※初投稿です。話に粗やご都合主義的な部分があるかもしれません。生あたたかい目で見守ってください。
※本編完結済みで、毎日1話ずつ投稿していきます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる