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4章 友達と遊びに行くってのも久々かもな。でも嫌な予感…

3話 敵襲

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「それでは、特戦部のファイヤーショー、とくとご覧ください!」

特戦部って、確かアリアさんがいる...

バッと、会場のすべての明かりが消えた。

ステージ上で足音?

次の瞬間。炎を纏った武器を持った人が数人現れた。ステージ右と左に三人ずつ。左側のうち一人はアリアさんだ。王を連想させるようなマントを身にまとっている。反対に、右側の三人のうち一人は顔を隠し、夕方の薄暗さの中で逆に目立つ黒ずくめの格好をした男だ。体格的に多分そう。

アリアさんと黒ずくめが互いに向けて腕を向けるそれを合図に、残りの二人ずつが炎を纏った剣やら棒やらを振り回して殺陣を演じている。武器の軌道上に炎が舞って、迫力がある。すごい(語彙力)。

そうこうしているうちに、双方一人になった。ミリア側と黒ずくめ側で一騎打ちの形だ。互いに切りかかる。倒れたのは、黒ずくめ側だ。そして間髪入れず、そのまま黒ずくめに切りかかる。ここぞとばかりにここ一番の炎が上がる、しかし。

黒ずくめが手をかざしただけでその剣は止まってしまった。そればかりか、剣が剣士の手を離れ、宙を舞い、剣士ではなくミリアさんのほうに飛んでいく。

絶体絶命、そう思われたが、剣士が間一髪で身代わりになった。ミリアさんはそれにひどく心を痛めるようなそぶりを見せた。そこに剣が飛んでくる。敵はいつだって容赦なく襲ってくるものだ。特撮物のように変身を待ったりしない。しかし、ミリアさんもそれを片手で止めた。

そして黒ずくめに近づいていく。それに押されて、剣もだんだん黒ずくめに近づいていく。ミリアさんと黒ずくめが一歩踏み出せば足を踏むほどまで近づくころには、その剣は黒ずくめの首元をとらえていた。力で押しあっているようだった。黒ずくめが力めば剣は首元を離れ、ミリアさんが力めば首元に炎が当たらんとする距離まで近づく。観客も生唾を飲んで見守る。

力が拮抗し、剣が微動だにしなくなった時だった。ミリアさんが炎から剣を抜き取り、新しい炎を宿した剣が黒ずくめを切り倒した。

そこで、炎がカーテンのようにステージを隠し、それが消えたときには一同が並んでいた。

「今日は私たちのステージを見に来てくれてありがとう!我々は凶悪な犯罪者が現れたとき、最強の称号に恥じぬよう皆さんを守ります!その広報のためのファイヤーショーでした!ありがとうございました!」

そこでやっと自分が戦闘ではなくショーを見ていたことを思い出した。

「はっ...すげえな。炎、あいつが体験で配属されるのも納得だ」

「そうだね。この人たち、リック君が転校してきたときに言ってた人たちだよ。炎が付いた武器を使って殺陣をするから、全員どんな魔法なのかわからない。団長なんてなおさらわからないよ」

「ああ。それにしても物理法則に反した動きをするのも面白いな」

「魔法があるからこそできるんだろうね」

その時だった。

パァン

また発砲音。今度はさっきより近い。さっきは結構距離があったのがわかるが、今回は目の前で撃ったような音量だ。銃の発砲音なんて近くで聞けば鼓膜が破れるだろうが、少なくともさっきよりは圧倒的に近い。会場がパニックになる。さっきまでショーに見入っていた人々は我先に逃げ出している。

「まずいな」

これでは犯人も逃げてしまう。

「いた」

民衆の中で一人だけ冷静な奴。周りと走り方が違う。この状況なのにその男だけ走るフォームが整っている。そんな奴はこの中で一人だけ。

紛れたつもりだろうが、かえって目立ってるぜ。

「ハル、ここで待ってて。大丈夫。見つけたから」

俺は男に向かって走り出した。まさか見つかると思ってない上に、人込みの中で追手が見えない犯人。人を隠すなら人の中だが、相手が悪かったな。俺は人とぶつからないんだよ。

すぐに男に追いついた。

「捕まえた」

俺は男の腕をつかんでそういった。

「なんだお前!さっきの銃声が聞こえてないのか!」

「聞こえてたよ。それに俺は銃なんて怖くない。それに、お前怖がって逃げるにしては肝が据わりすぎだ。捕まえられたら第一声は『なんだお前』じゃなくて『離せ』だろ」

「うるさい!こいつが見えねえのか!」

そういって男は懐から銃を取り出した。

「だから怖くないって言ってんだろ。俺に撃ってもダメージごと吸収するから(大嘘)無駄だ」

そういって近づいていく。魔法を偽るのはもちろん撃たせないためだ。撃たれたら銃弾を止めることはできないので他の客に当たってしまう。

「なあ、銃の仕組み知ってるか」

俺は男に話しかける。

「中でちっちゃい爆発起こして、それで弾を押し出すんだ。てことは、俺が銃口抑えれば銃が空気圧で爆発するよな」
そういって銃口をつかんだ。

「これでお前は引き金を引けない」

「おっ...お前は爆発するのが怖くないのかっ」

「ああ怖くねえさ。真っ向で勝てないからって暗殺に走るやつがこの状況で引き金を引けるかなんて、火を見るより明らかだ」

「うッ..ううっ...」

男の顔がだんだん赤くなっていく。

「うっ...ああ...」

男が倒れた。ふう。

「てこずらせやがって。銃の仕組みなんて俺が知るわけねーだろバーカ」
うろ覚えの記憶でなんとなく思いついた内容を話しただけだ。あってるのかなんて知らん。

「リック君、大丈夫だったの?」

後ろからハルが近づいてきていた。

「ああ。今終わった。ちょっとブラフ張ったら倒れやがったよ。よくそんな根性で暗殺なんかしに来やがった」

ところで...

「自警団の人たちは大丈夫だったのか?」

「うん。なんかステージに到達する前に銃弾が燃え尽きてたって...」

「ほー、そいつは恐ろしいや」
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