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3章 職業体験…おお、学校っぽい! でも俺が行く職場って…

2話 自警団というもの

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「リック・ニュートンです。よろしくお願いします」

「リック君、この人荒っぽいけど悪い人ではないから。仲良くしてやってくれ」

「おいおい、俺がおかしいやつみてーじゃねえか」

「その通りですが」

「かー、言うようになったなクリス」

「早く行きますよ。ほかはみんな行ってます」

「うおっマジか!気づかんかった」

マジか。俺も気づかなかった。

「よし、行くかはじめはパトロールだから。とりあえずこれ、ハイ」

そう言って、いくつか人の顔が書かれた紙を渡された。

「なんですか?これ」

「それか?それは指名手配犯のチラシだよ。町には張り出してないから犯人側は警戒しにくいだろう。パトロール中に見つけたら連行するんだ」

「見つかる物なんですか?」

「いやいや、簡単に見つかったらそんなチラシ必要ないだろ。せいぜい月に一回くらいだな」

「ふーん...てかこのチラシに載ってるこのおじさん、あそこの人に似てません?」

「は?」

アレンさんが俺の指さしたほうを見ると、アレンさんの顔色が変わった。

「そこで待ってろッ。捕まえてくる」

アレンさんが走っていくと、向こうも気づいて逃げ出した。しかし、すぐに追いついて捕まえた。首にトンッってやって気絶させた。アレ本当にできる人いるんだな。

「よし、行こうか」

「いいんですかそれ」

持ったまま行こうとしていたので聞いてみる。

「ああ、あと3時間は起きないから」

おお...恐ろしい。

「ちなみに今の必須スキルだからうちに来るなら覚えて来いよ」

マジか...

「ちなみにクリスはもうできるぞ」

マジか。怒らせんとこ。

それからは、自警団について説明を受けながらパトロールだった。自警団は寄付で成り立っていること、各々が別の仕事をしながら運営していること、自警団同士が分担して役目を果たしていること...etc.

「今日は事件も何も起きなかったな。なんか申し訳ない。平和な街で」

「リック君がミロクもつかまえてしまったしね」

「あれはしょうがないでしょ...悪人は捕まえないと」

「お~、自警団向きなこと言うな」

「将来所属するかはわかりませんけど」

「リック君、失礼だぞ」

「はっはっは。まあそれでいいだろ。若いうちに青春しときな」

「...はい」



「...って感じでしたね」

晩御飯を挟んで、ミリアさんに今日の話をしている。

「そうですか~、楽しそうで何よりです」

「でも疲れましたよ」

「でも指名手配犯を見つけたんですよね。すごいじゃないですか!」

「たまたまですよ」

「明日もあるんですよね。明日も頑張ってくださいね」

「寂しがらないでくださいね」

「ですから子供じゃないって言ってるじゃないですか」

「ははっ。明日も頑張ってきます」

「はい。頑張ってください」

その日はぐっすり眠れた。一日中歩いたし。
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