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2章 え…交流会?初耳なんだが…って、なんか変じゃね?
4話 透過
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「では、決闘の決勝を行います。しかし、リック君がいませんね...大会規定上、あと60秒以内にこなければ失格となりますが...」
なんだと?あと2時間あるんじゃ...そんなにこいつに時間をとられたのか?いや違う。大会は基本的に時間制でなく決着がつくまでの勝負。つまり圧倒的実力者がいれば2時間が30分になっても何も疑問はない...
やはり、この大会裏がある。
てかあと60分?やべえここから第1演習場まで何分だ?ちげえ考えるなら走りながらだ。確かここから演習場まで道のりで220m。世界最速ペースで走るなら20秒。ただしそんなスピード俺が出せるわけがない。仮に出せたとして戦うときに本気が出せるのか?ましてや俺は今体重97㎏だぞ。これは...
「走ろう」
リックは激怒した。なんちゃって。
走れリック。重量を増やしたのがこんなに響くなんてな。一か八か。レッツゴーランニング。
俺は走った。とにかく死なない程度の全速力で。第1演習場まで直線距離でおよそ100m。俺の能力なら突っ切れる。
俺は建物をすり抜けながら走った。会場からカウントダウンが聞こえてくる。
「「「5」」」
もう放送でなくてもきこえるところまで来ている。
「「「4」」」
もう演習場の壁の中まで来ている。
「「「3」」」
現れた俺に会場の声が大きくなる。
「「「2」」」
土俵内まであと10m。
「「「1」」」
あと5m。
「「「0」」」
目の前にクリス先輩。会場はざわめき、歓声が上がる。
「君なら間に合うと思っていたよ。ずいぶんと盛り上げるじゃないか」
「なんででしょうね」
「何はともあれ、早く始めよう。お客さんをこれ以上待たせるわけにはいかない」
「そうですね」
こっちは誰かさんのせいで息切れだわ。
「構えて」
昨日と同じ。審判が号令をかける。
両者ポケットから手を出さない異様な光景だ。
「はじめッ」
その瞬間、爆発的なまでの風が吹いた。これで数々の挑戦者を返り討ちにいしてきたんだろう。外から内に吹いているのだろう。俺はまだ動かない。すべて透過でかわしている。
「これだけか先輩」
「敬語はどうしたリック君。君は服の下におもりを仕込んでいるようだね。刃物の使用こそ禁じられているが、それで暴風対策というのではあまりに安直だぞ」
この先輩、さては俺の能力にまだ気づいてないな。
「風量を上げるぞ。体重100㎏の狂戦士が一気に吹き飛ぶ暴風だ」
風が強くなった。俺がこの能力だったらひとたまりもないような。
「ただ風を強くするだけが芸か?やっぱり能力を生かす頭がないなら人の上に立つべきじゃねえよ」
「いってくれるじゃないか。そちらから攻撃はしてこないようだが?」
「そうだな。あんたの弱点はもうわかってるんでな」
「ずいぶんとでかい口をたたくね。そこまで言うなら僕を倒してみなよ」
「お望み通り」
俺はクリス先輩に向かって歩き出した。
「先輩のその戦い方、弱点は『全方位に風を向けていること』です」
俺は先輩まであと30㎝と近づいていた。
「ほら、ここまでくれば飛ばせない」
この能力、自分のほうに風を向けることができないのもさることながら、全方位に風を向けると絶対に「空気の通り道が求められる」欠陥がある。俺が何をするかわからないために全方位に風を向けないといけないのだが、そうなると空気を調達するためクリス先輩の周りに無風(上からの風はある)地帯が必要となるのだ。そこまでくれば何もしなくても殴るだけでいい。
「ハッ!」
俺はクリス先輩を殴り飛ばした。一瞬重なって弾き飛ばされ、クリス先輩は自分で作った風に飛ばされて場外の壁に激突。
「クリス・クレバー場外。勝者、2-Aリック・ニュートン!」
会場が一瞬の静寂の後、本年度の覇者の誕生に大いに沸きあがった。
俺は崩れ落ちるクリス先輩に声をかける。
「先輩。立ってください」
「くっ。僕は敗者だ。声などかけるな」
「違います。まだ勝負は終わってません。はっきりさせないといけないことがあります」
先輩の表情が険しくなった。
なんだと?あと2時間あるんじゃ...そんなにこいつに時間をとられたのか?いや違う。大会は基本的に時間制でなく決着がつくまでの勝負。つまり圧倒的実力者がいれば2時間が30分になっても何も疑問はない...
やはり、この大会裏がある。
てかあと60分?やべえここから第1演習場まで何分だ?ちげえ考えるなら走りながらだ。確かここから演習場まで道のりで220m。世界最速ペースで走るなら20秒。ただしそんなスピード俺が出せるわけがない。仮に出せたとして戦うときに本気が出せるのか?ましてや俺は今体重97㎏だぞ。これは...
「走ろう」
リックは激怒した。なんちゃって。
走れリック。重量を増やしたのがこんなに響くなんてな。一か八か。レッツゴーランニング。
俺は走った。とにかく死なない程度の全速力で。第1演習場まで直線距離でおよそ100m。俺の能力なら突っ切れる。
俺は建物をすり抜けながら走った。会場からカウントダウンが聞こえてくる。
「「「5」」」
もう放送でなくてもきこえるところまで来ている。
「「「4」」」
もう演習場の壁の中まで来ている。
「「「3」」」
現れた俺に会場の声が大きくなる。
「「「2」」」
土俵内まであと10m。
「「「1」」」
あと5m。
「「「0」」」
目の前にクリス先輩。会場はざわめき、歓声が上がる。
「君なら間に合うと思っていたよ。ずいぶんと盛り上げるじゃないか」
「なんででしょうね」
「何はともあれ、早く始めよう。お客さんをこれ以上待たせるわけにはいかない」
「そうですね」
こっちは誰かさんのせいで息切れだわ。
「構えて」
昨日と同じ。審判が号令をかける。
両者ポケットから手を出さない異様な光景だ。
「はじめッ」
その瞬間、爆発的なまでの風が吹いた。これで数々の挑戦者を返り討ちにいしてきたんだろう。外から内に吹いているのだろう。俺はまだ動かない。すべて透過でかわしている。
「これだけか先輩」
「敬語はどうしたリック君。君は服の下におもりを仕込んでいるようだね。刃物の使用こそ禁じられているが、それで暴風対策というのではあまりに安直だぞ」
この先輩、さては俺の能力にまだ気づいてないな。
「風量を上げるぞ。体重100㎏の狂戦士が一気に吹き飛ぶ暴風だ」
風が強くなった。俺がこの能力だったらひとたまりもないような。
「ただ風を強くするだけが芸か?やっぱり能力を生かす頭がないなら人の上に立つべきじゃねえよ」
「いってくれるじゃないか。そちらから攻撃はしてこないようだが?」
「そうだな。あんたの弱点はもうわかってるんでな」
「ずいぶんとでかい口をたたくね。そこまで言うなら僕を倒してみなよ」
「お望み通り」
俺はクリス先輩に向かって歩き出した。
「先輩のその戦い方、弱点は『全方位に風を向けていること』です」
俺は先輩まであと30㎝と近づいていた。
「ほら、ここまでくれば飛ばせない」
この能力、自分のほうに風を向けることができないのもさることながら、全方位に風を向けると絶対に「空気の通り道が求められる」欠陥がある。俺が何をするかわからないために全方位に風を向けないといけないのだが、そうなると空気を調達するためクリス先輩の周りに無風(上からの風はある)地帯が必要となるのだ。そこまでくれば何もしなくても殴るだけでいい。
「ハッ!」
俺はクリス先輩を殴り飛ばした。一瞬重なって弾き飛ばされ、クリス先輩は自分で作った風に飛ばされて場外の壁に激突。
「クリス・クレバー場外。勝者、2-Aリック・ニュートン!」
会場が一瞬の静寂の後、本年度の覇者の誕生に大いに沸きあがった。
俺は崩れ落ちるクリス先輩に声をかける。
「先輩。立ってください」
「くっ。僕は敗者だ。声などかけるな」
「違います。まだ勝負は終わってません。はっきりさせないといけないことがあります」
先輩の表情が険しくなった。
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