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二部 使えるモノは何でも使いますが……何か?
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──アルビスと側室の仲睦まじい姿を目にしてから一ヶ月後、カレンは馬車に乗っていた。
中世ヨーロッパを模したテーマパークのような街並みの向こうで、季節がゆっくりと移り変わろうとしている。
街道に等間隔に植えられているイトスギに良く似た樹の葉は日差しを浴びて翡翠のように輝き、初夏へと向かう帝都フィウォールはとても活気に満ちていた。
大きな荷物を抱えた商人が行き交い、市場では元気な呼び込みの声が響く。子供は無邪気な笑い声を上げ、女性達は綺麗に洗った洗濯物を干している。
カレンは車窓から見える景色をぼんやりと見つめていたけれど、とうとう耐え切れなくなり、視線を外して小さく息を吐く。
「……いちいち手を止めなくっていいのに」
カレンは小さな声で吐き捨てた。外に聞こえてしまうと、後々面倒くさいことになるから。
でも車内はとても静かで、向かいの席に座る侍女のリュリュの元にはしっかり届いてしまった。
「お気持ちはわかりますが、そう仰らないでくださいませ。皆、悪気があってのことではないのです」
ぼやくにカレンに、リュリュは困り顔になりながら都民を庇う発言をする。
カレンが今乗っている馬車は、帝国花の紋章入りの王族のみが使用できる豪奢なもの。
しかも馬車の前後には護衛の騎士がずらずらと並んでいるので、都民は馬車の行く手を阻まぬよう道を譲り、作業の手を止め深く腰を折る。
都民からすれば、自然に身体が動いてしまう習慣のようなもの。
たとえその馬車に乗っているのがただの女子高生で、この帝国のことなどどうでも良いと思っていても、敬い何かを見つめる表情を無意識に作ってしまうのだ。
それがカレンにとっては、沢山の人達を騙しているかのようで、良心の呵責を覚えてしまう。
(いっそ、石の一つでも投げてくれたほうがマシなのに)
そう言いたいのは山々だが、口に出したらリュリュが悲しい顔をするのは目に見えている。
リュリュを困らせたくない気持ちから、カレンは喉までせり上がってきた言葉を呑み込み、話題を変えることにした。
「それにしても、一気に暑くなったね、リュリュさん」
「そうでございますね。……カレンさま、窓を開けましょうか?風が入れば幾分か涼しくなると思います」
「んー……それよりこれ、脱いでもいいかな?」
「駄目です」
「あーそーですか」
肩に掛かったショールを持ち上げて提案してみたけれど、リュリュに即座に却下され、カレンはしぶしぶ手を離す。
季節は初夏へと向かっているというのに、本日のカレンの服装はいつにもまして重装備だった。
7分袖の身体にぴったりと張り付く薄紫色の光沢がある絹のドレス。もちろんアンダードレスも3層のレースでいつもよりボリューム感がある。
これだけでも十分に暑いのに、肩にはドレスと同じ生地でできたショールが金とパールで装飾されたブローチで止められている。
良く言えば、聖皇后としてのお出掛け着。
悪く言えば、地味な嫌がらせ感満載の外出着。
歴代の皇后は、外出する時はもっと豪華な衣装だったらしい。それに比べれば地味な衣装なのはわかている。リュリュが最大限意向を汲でくれたことも理解している。
とはいえ元の世界のでは冬はジャージ。夏はTシャツに短パンが基本スタイルだったカレンにとっては、かなり窮屈だ。
でもこの恰好をすることは、カレンが外出するための交換条件だから、嫌でも拒めない。
メルギオス帝国において皇帝は絶対的な支配者であり、帝国の父と呼ばれている。
その妻となる皇后は、皇帝を支える唯一の存在であり、帝国の母と呼ばれている。
皇后の第一責務は世継ぎを産むこと。次に、官僚の奥方を取りまとめ、女性の立場として内政を纏めていくこと。
最後に帝国民に対して慈愛の眼差しを向ける──端的に言えばボランティア活動をすること。
具体的には孤児院や養護院、時には医療施設に足を運び、悲しい境遇にいる子供たちや兵士達を慰め励まし、将来帝国の為に忠義を尽くす人材になるよう、優しい言葉を使って教育を施すのだ。
馬鹿みたい。と、カレンは思う。この世界全てが他人事だと思っている自分にそんなことできないし、したくない。
そんな思いを抱えるカレンが孤児院へ向かっているのには、ちゃんと理由がある。
皇后は慰問の為という名目なら、夕方の鐘が鳴るまでならいつでも外出ができるのだ。これにカレンが目を付けないわけがない。
リュリュからこの特権を教えてもらうや否や、カレンはすぐに実行に移した。慰問先は適当に決め、その後、帝都に散らばる神殿に足を向けることにしたのだ。元の世界に戻る手がかりを見付ける為に。
本日5度目の外出。本音を言えばカレンは毎日でも外出がしたかったが、こうして毎回毎回仰々しい移動をしなければならないので思うように動けずにいる。
「……暑いのは苦手だなぁ」
──本当に苦手なのは、暑さだけではないけれど。
そのニュアンスを誤魔化してカレンが再び呟けば、リュリュもそうですねと言って苦笑する。
このメルギオス帝国には四季がある。そして季節の変わり目には、雨が良く降る。
昨晩の雨で、馬車の中はどことなく湿っぽかった。少し身動きをしたら、ふかふかの座席から生暖かい木と布の匂いがした。
ふいに元の世界と同じ香りが鼻孔をくすぐり、カレンは切なさから、また小さく息を吐いた。
中世ヨーロッパを模したテーマパークのような街並みの向こうで、季節がゆっくりと移り変わろうとしている。
街道に等間隔に植えられているイトスギに良く似た樹の葉は日差しを浴びて翡翠のように輝き、初夏へと向かう帝都フィウォールはとても活気に満ちていた。
大きな荷物を抱えた商人が行き交い、市場では元気な呼び込みの声が響く。子供は無邪気な笑い声を上げ、女性達は綺麗に洗った洗濯物を干している。
カレンは車窓から見える景色をぼんやりと見つめていたけれど、とうとう耐え切れなくなり、視線を外して小さく息を吐く。
「……いちいち手を止めなくっていいのに」
カレンは小さな声で吐き捨てた。外に聞こえてしまうと、後々面倒くさいことになるから。
でも車内はとても静かで、向かいの席に座る侍女のリュリュの元にはしっかり届いてしまった。
「お気持ちはわかりますが、そう仰らないでくださいませ。皆、悪気があってのことではないのです」
ぼやくにカレンに、リュリュは困り顔になりながら都民を庇う発言をする。
カレンが今乗っている馬車は、帝国花の紋章入りの王族のみが使用できる豪奢なもの。
しかも馬車の前後には護衛の騎士がずらずらと並んでいるので、都民は馬車の行く手を阻まぬよう道を譲り、作業の手を止め深く腰を折る。
都民からすれば、自然に身体が動いてしまう習慣のようなもの。
たとえその馬車に乗っているのがただの女子高生で、この帝国のことなどどうでも良いと思っていても、敬い何かを見つめる表情を無意識に作ってしまうのだ。
それがカレンにとっては、沢山の人達を騙しているかのようで、良心の呵責を覚えてしまう。
(いっそ、石の一つでも投げてくれたほうがマシなのに)
そう言いたいのは山々だが、口に出したらリュリュが悲しい顔をするのは目に見えている。
リュリュを困らせたくない気持ちから、カレンは喉までせり上がってきた言葉を呑み込み、話題を変えることにした。
「それにしても、一気に暑くなったね、リュリュさん」
「そうでございますね。……カレンさま、窓を開けましょうか?風が入れば幾分か涼しくなると思います」
「んー……それよりこれ、脱いでもいいかな?」
「駄目です」
「あーそーですか」
肩に掛かったショールを持ち上げて提案してみたけれど、リュリュに即座に却下され、カレンはしぶしぶ手を離す。
季節は初夏へと向かっているというのに、本日のカレンの服装はいつにもまして重装備だった。
7分袖の身体にぴったりと張り付く薄紫色の光沢がある絹のドレス。もちろんアンダードレスも3層のレースでいつもよりボリューム感がある。
これだけでも十分に暑いのに、肩にはドレスと同じ生地でできたショールが金とパールで装飾されたブローチで止められている。
良く言えば、聖皇后としてのお出掛け着。
悪く言えば、地味な嫌がらせ感満載の外出着。
歴代の皇后は、外出する時はもっと豪華な衣装だったらしい。それに比べれば地味な衣装なのはわかている。リュリュが最大限意向を汲でくれたことも理解している。
とはいえ元の世界のでは冬はジャージ。夏はTシャツに短パンが基本スタイルだったカレンにとっては、かなり窮屈だ。
でもこの恰好をすることは、カレンが外出するための交換条件だから、嫌でも拒めない。
メルギオス帝国において皇帝は絶対的な支配者であり、帝国の父と呼ばれている。
その妻となる皇后は、皇帝を支える唯一の存在であり、帝国の母と呼ばれている。
皇后の第一責務は世継ぎを産むこと。次に、官僚の奥方を取りまとめ、女性の立場として内政を纏めていくこと。
最後に帝国民に対して慈愛の眼差しを向ける──端的に言えばボランティア活動をすること。
具体的には孤児院や養護院、時には医療施設に足を運び、悲しい境遇にいる子供たちや兵士達を慰め励まし、将来帝国の為に忠義を尽くす人材になるよう、優しい言葉を使って教育を施すのだ。
馬鹿みたい。と、カレンは思う。この世界全てが他人事だと思っている自分にそんなことできないし、したくない。
そんな思いを抱えるカレンが孤児院へ向かっているのには、ちゃんと理由がある。
皇后は慰問の為という名目なら、夕方の鐘が鳴るまでならいつでも外出ができるのだ。これにカレンが目を付けないわけがない。
リュリュからこの特権を教えてもらうや否や、カレンはすぐに実行に移した。慰問先は適当に決め、その後、帝都に散らばる神殿に足を向けることにしたのだ。元の世界に戻る手がかりを見付ける為に。
本日5度目の外出。本音を言えばカレンは毎日でも外出がしたかったが、こうして毎回毎回仰々しい移動をしなければならないので思うように動けずにいる。
「……暑いのは苦手だなぁ」
──本当に苦手なのは、暑さだけではないけれど。
そのニュアンスを誤魔化してカレンが再び呟けば、リュリュもそうですねと言って苦笑する。
このメルギオス帝国には四季がある。そして季節の変わり目には、雨が良く降る。
昨晩の雨で、馬車の中はどことなく湿っぽかった。少し身動きをしたら、ふかふかの座席から生暖かい木と布の匂いがした。
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