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°˖✧閑話✧˖°(そのうちこそっと見直し修正します)

元の世界での正しい謝罪の方法を教えて差し上げます①

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♪始めに♪

これは、カレンとアルビスの結婚式が終わってすぐのお話。
これだけ読んでもわかるように、1部での説明を加えてあるので、少し読みにくい部分があるかもしれませんが、ご了承ください(o*。_。)oペコッ


◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 真冬では天の恵みのように感じる午後の穏やかな日差しは、季節が移ればただの日常となる。
 けれど宮殿の庭から見える花々がうららかな風を受けて心地よさそうに揺らめいている光景は、季節が何度巡っても心を癒してくれるもの。

 けれど、このガラス一枚を挟んだロダ・ポロチェ城の一室、皇帝陛下の執務室では、真冬の雪山より凍えた空気に満ちていた。

 年中葉っぱを茂らせているオリーブでさえも、枯れてしまうほどに。



「……あの……いや、もう本当に申し訳ありません。二度とあのようなことは口にしたりしません。騎士の名に懸けて」
「……」
「どうお詫びして良いのかわかりませんが、これだけは言わせてください。アレはわたくしの失言でございました」
「……」
「だから、申し訳ないって言ってるじゃないですかっ」
「───は?」

 この場を完全に支配している少女は、足を組んだまま、たった一言そう言い放った。

 途端に、この部屋の温度が更に下がった。もはや人が生きてはいけない領域に達している。

 そしてもろにその冷気を浴びた剣を携え、床に跪いている青年は「ひぃぃぃっ」と情けない声をあげつつ、自身の急所をそっと庇う動きをした。

 さてそんな騎士の名に恥じる行動を取っているのは、この部屋の主アルビス皇帝陛下の側近兼護衛のヴァーリである。

 ちなみに、たった一言声を発したのは、この世界に一方的な都合で召喚されてしまった元JKのカレンである。

 カレンは18歳。元の世界ではただの女子高生。
 対してヴァーリは、26歳。このメルギオス帝国の法であり秩序である皇帝陛下の側近。騎士の中ではもっとも花形の職に付いている。

 年齢もさることながら、単なる高校生であったカレンが、誠心誠意の謝罪に対して、ぞんざいな態度を取るのにはいささか失礼ではないか。

 いやいやいやいやいやいや、違う。それなりの理由があったりもする。

 それは、カレンがこの世界に誘拐され拉致され続けている被害者だからというのもある。また以前、この騎士に、壁ドンされた挙句、耳を疑うような警告を受けたからというのもある。

 でも今回、そんなことを抜きにしてもカレンはとても怒っていた。
 カレンの後ろに控えている侍女のリュリュも、憤慨していた。露骨に義理の兄に対して「なんでお前、この世に存在しているの?」という目を向けている。

 でも、ヴァーリはそれらを甘んじて受け入れている。彼には今、謝罪を紡ぐことと、自身の愚息を庇うことしか許されていないから。

 そんなわけでヴァーリは再び謝罪の言葉を紡ぐ。必死に紡ぐ。
 でも、かれこれ数十分、謝罪を繰り返していれば、同じフレーズの繰り返しになってしまう。

 でもまかり間違っても「もうこれ以上謝罪の言葉などありません」とか、「あと何回謝ったら許してくれる?」など、口が裂けても言うことができない。

 いつヴァーリが許しを得るのかなど、神にすらわからない。



 そんなヴァーリが何をしたかというと、先ほどの謝罪にもあったように、カレンに対して大変な失言をしてしまったのである。

 女性に対して、最大にして最高に失礼な台詞「あれぇ?ちょっと太りましたぁ?」と、神をも恐れぬ言葉を吐いてしまったのだ。
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