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一部 おいとまさせていただきますが......何か?

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 ☆ご注意☆

 前話に続き、今回のお話も残酷な描写となります。前回よりも更に不快度MAXでございます。

 なので、前話で”いいや、もうちょっと無理”と思われた方は、読み飛ばしを推奨させていただきますm(_ _"m)
 ※こちらも何があったかは、後ほどお伝えしたいと思っています(`・ω・´)ゞ

 なので”いやもう読んじゃったからとことん付き合ってやるよ!”と思っていただける方のみ↓↓↓(続き)を読んでいただければ幸いです(o*。_。)oペコッ



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆




 冬の陽は短い。午後の光が薄れ、窓から差し込む陽の光が出窓に置かれた本に長い影を伸ばす。全てが茜色に染まる離宮内は、暖炉の薪が消えてしまい凍える程寒かった。

 そんな中、部屋の中央のベッドから佳蓮のすすり泣く声が響いている。

 アンダードレス姿の佳蓮は仰向けになったまま、顔だけを横に向けて涙を流していた。

 アルビスが作り上げた真っ白な牢獄は、精神だけが存在できる空間のはずなのに、初めての痛みはしっかりと感じている。

 そのせいで身体は電池が切れてしまったおもちゃのように、指先一つ動かすことができない。

 あれは悪い夢だった。現実には何も起こっていないのだから、忘れてしまえばいい。そう自分に言い聞かせても、生々しい痛みと感触は記憶にしっかりと刻まれ、忘れることを許してはくれない。

 佳蓮が絶え間なく涙を流していても、隣にいる野獣はお構いなしに残酷な言葉を吐く。

「カレン、精神だけであっても私に抱かれた君はもう聖王妃だ」 
「っ……!」

 心が悲鳴を上げた。いっそ自分が壊れてしまいたいとすら願った。

 せめて受け入れないという意志だけを伝える為に、弱々しく頭を横に振る。そうすればアルビスが小さく笑った。佳蓮の主張を打ち消すかのように。

 再び佳蓮は耳を塞ぎたい衝動に駆られる。けれど、どうしたって身体を動かすことができなかった。

 瞳を彷徨わせたら、散らばった本が視界に入った。いつも座っていた出窓が見える。ガラス越しに夕陽が灰色の雲を不思議な色に変えて、西の空を焦がそうとしている。

 美しい光景のはずなのに、佳蓮は一生夕焼けを綺麗だと感じる日はことはないだろうと、漠然と思った。

 これまでずっと佳蓮は、アルビスに対して警戒心を持っていた。 
 
 でもアルビスと二人っきりになることは何度もあったけれど、一度だって性を感じさせる雰囲気になることはなかった。 

 だから佳蓮は油断していた。この人は絶対に自分に手を出すことはないと。

 でもそれは佳蓮が純潔だったゆえの甘さで、今、アルビスが一人の男であることを身をもって知ってしまった。

 佳蓮が泣きつかれた後は、水を打ったかのような静寂が満ちる。

(お風呂……入りたい)

 直接身体を汚されたわけではないけれど、何もかも擦り落としてしまいたい。

 それなのに彼は一向に立ち去ってくれない。辛くて苦しくて佳蓮はきつく目を閉じる。この忌々しい存在が消えてくれるのを必死に祈る。けれども──

「カレン」

 アルビスの意志を持った強い口調が、静寂を破った。

 視界が真っ白な世界に変わる。天井も壁もないそこは、ついさっき地獄のような時間を過ごしたところだ。

 佳蓮はひゅっと声にならない悲鳴をあげる。今からこの男が何をするのか気づいてしまったのだ。

 すぐさまそれだけは絶対に嫌だとアルビスから距離を取ろうとするが、逃げる間もなく彼の手が伸びてきて顎を掴まれる。どれだけ拒んでも、視線が絡み合ってしまう。

 アルビスの深紅の瞳に、恐怖で震える自分の姿が映った。

「……お願い、もう……やめて」

 弱々しく首を横に振りながら、佳蓮は涙ながらに訴える。

 けれどアルビスは佳蓮の要求を呑むことはなかった。聞き取れない程の小声で何かを呟き、小刻みに震える佳蓮の額に口づけを落とす。

 そして有無を言わせない力で、佳蓮に覆いかぶさる。


 二度目のそれには、佳蓮はもう涙すら流せなかった。
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