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epilogue
親友に裏切られた侯爵令嬢は、兄の護衛騎士から熱烈な愛を押し付けられる②
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王族の居住区まで到着すれば、馬車は静かに停まった。
事前に到着時刻を伝えられていたのだろう。御者の手で馬車の扉が開かれれば、既に2名の衛兵と、一人の侍女が姿勢を正して待っていた。
そしてマリアンヌが馬車から降りると、出迎えた一同は恭しい礼を取った。
次いで、一筋の後れ毛もなく、今結いあげたばかりのようにきっちりと髪を纏めた侍女が顔を上げて口を開く。
「おはようございます、マリアンヌ様。ようこそお越しくださいました。わたくしは女官長を務めるミーゼロフェと申します」
抑揚を押さえた特徴のある口調でそう言ったミーゼロフェは、ジルよりは年上で自分の母親よりは若く、落ち着きと品格さが意識しなくても身についているような成熟した女性だった。
「初めまして。マリアンヌです」
ぎこちない表情にならぬよう意識してマリアンヌも挨拶を返せば、ミーゼロフェは検分するかのような視線を一瞬だけ向ける。だがそれは、すぐに穏やかな笑みへと変わった。
「クリストファー殿下は既にお待ちでございます。ご案内いたします。どうぞこちらに」
手のひらでミーゼロフェが向かう先を指し示せば、衛兵たちはすぐに進行方向に身体を向ける。
マリアンヌもジルに別れを告げると、覚悟を決め、ゆっくりと歩を進め始めた。
王族の居住区は政務を執り行う場所と遮断された造りになっているため、とても静かだった。そして、そこかしこに衛兵が気配を消して厳重に警護をしている。
ただ、これもまた事前に通達があったのだろうか。
衛兵たちは見かけない人物───マリアンヌを目にしても目礼するだけで、呼び止められることも、問いただされることもなかった。
ミーゼロフェを先頭に、次いでマリアンヌ。衛兵二人は適度な距離を取って、後ろを歩いている。
幾つもの角を曲がり、沢山の扉を通り抜けてようやく辿り着いた場所は、ガラスがふんだんに使われている離宮だった。
近づけば、大人の背丈より高く大きな窓の一部が扉となっており、今は開け放たれた状態で固定されている。
そして建物内の奥では、この場に少々不釣り合いな重厚な執務机があり、そこに一人の青年が背を向ける形で着席していた。
「どうぞ中に、おは入りください」
ミーゼロフェに促されても、マリアンヌは許可を得ずまま入室することに躊躇いを覚えてしまう。
けれどそれを口に出すことはしなかったせいで、マリアンヌの仕草は別の意味に受け取られてしまった。
「クリストファー殿下をお待たせしてはなりません」
わずかに表情を厳しくしたミーゼロフェに、マリアンヌはそんなつもりではなかったという意思を込めて小さく首を横に振る。
それでも表情を緩めることなく早く入室しろと目で訴えるミーゼロフェに背を押されるような形で、マリアンヌは離宮へと足を踏み入れた。すぐに扉の閉まる音が背後から聞こえた。
白い光沢のある壁紙が、室内をより明るく照らしている。温室の役割も果たしているのだろうか、中は暖炉が無いのにとても暖かかった。
執務机と入り口の扉の間には、テーブルセットが用意されており、壁紙と同様真っ白なテーブルクロスには、いつでもお茶が飲めるよう茶器が並べられていた。
ここに向かう途中も静寂に包まれていたけれど、ここは更に静かだった。
そして第二王子は、自分の婚約者が入室したというのに、執務机から一歩も動こうとしない。
これからどうしたら良いのだろうか。
女官長からほぼ強制的に促されて入室をしてしまったけれど、その行為は失礼にあたるものだったのかもしれない。
とはいえ咎められてもいないのに、第二王子に向けて言い訳をすることもできないし、当の本人であるミーゼロフェはいつの間にか姿を消してしまった。
マリアンヌは途方にくれ、テーブルに着席などできるわけもなく、この場で立ちすくむことしかできない。
これまで経験したことのない緊張感に襲われて、心の臓が早鐘を打つ。
風に揺れる枝葉の影が床に写っているのに気づかなければ、時が止まってしまったのかと錯覚してしまう。それくらいこの部屋にいる青年は、マリアンヌを長々と放置し続けている。
───......もしかしたら、自分が入室したことすらこの人は気づいていないのかもしれない。
自分に背を向けている第二王子をよく見れば、熱心に何かの書類を読んでいた。
なら、ここに自分がいることを伝えるべきなのだろうか。
そう思ったけれど、どんな言葉を掛ければ良いのかわからない。それに気づいてはいるけれど、あえて無視をしているのかもしれない。
そんなことを思えばここにいることに、どんどん苦痛を覚えてしまう。とはいえ、逃げ帰るという選択は、はなからマリアンヌには与えられていない。
けれど、息をすることすら苦痛に覚える時間はそう長くは続かなかった。
微動だにしなかった第二王子は、突然書類を手にしたまま立ち上がった。
「お待たせして申し訳ありません」
振り返りながらそう言った第二王子は、首筋まで伸びた前髪を鬱陶しそうに片手でかき上げながら、ゆっくりとこちらに向かってきた。
柔らかく響く美しい声が、マリアンヌの耳を打つ。見知ったその顔に、マリアンヌは息を呑んだ。
「しばらくお会いできない間に、ずいぶん痩せてしまわれましたね。お痛わしい。茨の塔での食事はそんなに不味かったですか?......厳選した食材を提供するよう命じていたのに......くそっ」
慈しみと労る眼差しを向けながらも、最後はここには居ない誰かに悪態を付いたその人はマリアンヌの目の前までくる。
「......クリス」
掠れた声でその名を呼べば、アイスブルーの瞳は、より一層優しげな色に染まり、第二王子は眩しいものを見るかのように目を細めた。
「お久しぶりです、マリアンヌさま」
第二王子クリストファーことクリスは、襟の詰まった騎士服からきらびやかな王族の衣装に変わっても、マリアンヌに対して、普段と同じように深々と礼を取った。
事前に到着時刻を伝えられていたのだろう。御者の手で馬車の扉が開かれれば、既に2名の衛兵と、一人の侍女が姿勢を正して待っていた。
そしてマリアンヌが馬車から降りると、出迎えた一同は恭しい礼を取った。
次いで、一筋の後れ毛もなく、今結いあげたばかりのようにきっちりと髪を纏めた侍女が顔を上げて口を開く。
「おはようございます、マリアンヌ様。ようこそお越しくださいました。わたくしは女官長を務めるミーゼロフェと申します」
抑揚を押さえた特徴のある口調でそう言ったミーゼロフェは、ジルよりは年上で自分の母親よりは若く、落ち着きと品格さが意識しなくても身についているような成熟した女性だった。
「初めまして。マリアンヌです」
ぎこちない表情にならぬよう意識してマリアンヌも挨拶を返せば、ミーゼロフェは検分するかのような視線を一瞬だけ向ける。だがそれは、すぐに穏やかな笑みへと変わった。
「クリストファー殿下は既にお待ちでございます。ご案内いたします。どうぞこちらに」
手のひらでミーゼロフェが向かう先を指し示せば、衛兵たちはすぐに進行方向に身体を向ける。
マリアンヌもジルに別れを告げると、覚悟を決め、ゆっくりと歩を進め始めた。
王族の居住区は政務を執り行う場所と遮断された造りになっているため、とても静かだった。そして、そこかしこに衛兵が気配を消して厳重に警護をしている。
ただ、これもまた事前に通達があったのだろうか。
衛兵たちは見かけない人物───マリアンヌを目にしても目礼するだけで、呼び止められることも、問いただされることもなかった。
ミーゼロフェを先頭に、次いでマリアンヌ。衛兵二人は適度な距離を取って、後ろを歩いている。
幾つもの角を曲がり、沢山の扉を通り抜けてようやく辿り着いた場所は、ガラスがふんだんに使われている離宮だった。
近づけば、大人の背丈より高く大きな窓の一部が扉となっており、今は開け放たれた状態で固定されている。
そして建物内の奥では、この場に少々不釣り合いな重厚な執務机があり、そこに一人の青年が背を向ける形で着席していた。
「どうぞ中に、おは入りください」
ミーゼロフェに促されても、マリアンヌは許可を得ずまま入室することに躊躇いを覚えてしまう。
けれどそれを口に出すことはしなかったせいで、マリアンヌの仕草は別の意味に受け取られてしまった。
「クリストファー殿下をお待たせしてはなりません」
わずかに表情を厳しくしたミーゼロフェに、マリアンヌはそんなつもりではなかったという意思を込めて小さく首を横に振る。
それでも表情を緩めることなく早く入室しろと目で訴えるミーゼロフェに背を押されるような形で、マリアンヌは離宮へと足を踏み入れた。すぐに扉の閉まる音が背後から聞こえた。
白い光沢のある壁紙が、室内をより明るく照らしている。温室の役割も果たしているのだろうか、中は暖炉が無いのにとても暖かかった。
執務机と入り口の扉の間には、テーブルセットが用意されており、壁紙と同様真っ白なテーブルクロスには、いつでもお茶が飲めるよう茶器が並べられていた。
ここに向かう途中も静寂に包まれていたけれど、ここは更に静かだった。
そして第二王子は、自分の婚約者が入室したというのに、執務机から一歩も動こうとしない。
これからどうしたら良いのだろうか。
女官長からほぼ強制的に促されて入室をしてしまったけれど、その行為は失礼にあたるものだったのかもしれない。
とはいえ咎められてもいないのに、第二王子に向けて言い訳をすることもできないし、当の本人であるミーゼロフェはいつの間にか姿を消してしまった。
マリアンヌは途方にくれ、テーブルに着席などできるわけもなく、この場で立ちすくむことしかできない。
これまで経験したことのない緊張感に襲われて、心の臓が早鐘を打つ。
風に揺れる枝葉の影が床に写っているのに気づかなければ、時が止まってしまったのかと錯覚してしまう。それくらいこの部屋にいる青年は、マリアンヌを長々と放置し続けている。
───......もしかしたら、自分が入室したことすらこの人は気づいていないのかもしれない。
自分に背を向けている第二王子をよく見れば、熱心に何かの書類を読んでいた。
なら、ここに自分がいることを伝えるべきなのだろうか。
そう思ったけれど、どんな言葉を掛ければ良いのかわからない。それに気づいてはいるけれど、あえて無視をしているのかもしれない。
そんなことを思えばここにいることに、どんどん苦痛を覚えてしまう。とはいえ、逃げ帰るという選択は、はなからマリアンヌには与えられていない。
けれど、息をすることすら苦痛に覚える時間はそう長くは続かなかった。
微動だにしなかった第二王子は、突然書類を手にしたまま立ち上がった。
「お待たせして申し訳ありません」
振り返りながらそう言った第二王子は、首筋まで伸びた前髪を鬱陶しそうに片手でかき上げながら、ゆっくりとこちらに向かってきた。
柔らかく響く美しい声が、マリアンヌの耳を打つ。見知ったその顔に、マリアンヌは息を呑んだ。
「しばらくお会いできない間に、ずいぶん痩せてしまわれましたね。お痛わしい。茨の塔での食事はそんなに不味かったですか?......厳選した食材を提供するよう命じていたのに......くそっ」
慈しみと労る眼差しを向けながらも、最後はここには居ない誰かに悪態を付いたその人はマリアンヌの目の前までくる。
「......クリス」
掠れた声でその名を呼べば、アイスブルーの瞳は、より一層優しげな色に染まり、第二王子は眩しいものを見るかのように目を細めた。
「お久しぶりです、マリアンヌさま」
第二王子クリストファーことクリスは、襟の詰まった騎士服からきらびやかな王族の衣装に変わっても、マリアンヌに対して、普段と同じように深々と礼を取った。
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