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そんなのってアリ?!
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「あのぉ……アサギさん。さすがにそろそろ私、戻らないと女官長に怒られるんだけど……」
おずおずと窺うようなロッタの言葉に、アサギはようやっと笑いを引っ込めた。
次いで、「そうだな」と言いながらロッタの手を握る。逃亡防止の為に。
結局グダグダな流れになってしまったせいで、アサギはロッタから告白─── というより求婚の返事を聞いていない。
ま、どれだけロッタが嫌と言っても、アサギはもう待たない。力づくで奪う気でいる。
そのために現ムサシ国王に頭を下げて、代々王家に伝わる懐妊秘薬を手に入れたのだし、異国の平民を妻に迎えるための面倒くさいアレコレを片付けたのだ。
しかもアサギは、ちゃっかりロッタの父親と結婚の許しを得るために会っている。そして、許可を得る代わりにしっかり殴られてきた。
涙目で『大事な娘をやるんだから、一回だけ殴らせろ』と凄んできたロッタの父親の手は、異国の王子を殴る覚悟からかブルブルと震えていた。
もちろんアサギは『私は今、あなたの娘さんを奪いに来た不埒なただの男です。ご遠慮なくどうぞ』と言って、自ら頬を差し出した。
結果として予想以上に強く殴られたけれど、アサギは当然のことだと思っている。
これは、ロッタ宛ての手紙には書かれていないことであり、アサギもわざわざ伝えるつもりは無い。
ただ……そんなネタで気を引かなくても、実はアサギはロッタが嫌と言えないとっておきの切り札を持っていたりもする。
王妃に対して一泡吹かせる策を与えた代金は、後払いということになっている。
だがらアサギは、ロッタの残りの人生を請求すれば良いだけの事。
どうあっても極刑になる運命を回避したのだから、それくらい安いモノだろう。しかも、家計簿を付ける必要のない、三食昼寝付きの好待遇ときたものだ。
しかし、それは奥の手であり、できることならそんな汚い手を使いたくはなかった。
アサギはロッタの意思で己を選んで欲しかった。
「なあ、ロッタ。改めて言うけど、俺と結婚してくれ」
「……っ?!」
「俺はロッタの事が好きだ。ただ俺はムサシ国の王子だから、ロッタが王族の一員になる運命は避けられない。でも全力で守るし、絶対に幸せにする。だから、頼む」
ぎゅっとロッタの手を握って、ありったけの想いを伝えたアサギだったが、待てど暮らせど返事は無い。
ロッタは真っ赤な顔をして、俯いてしまっている。
これは脈ありと考えて良いのだろうか。それとも、ただ単に追い詰められて泣き出す寸前なのだろうか。
これまで手に取るようにロッタの思考を読めていたアサギであるが、今日に限ってはそっちの思考は恐ろしい程にポンコツ化している。
「……アサギさん。あのですね」
「なんですか?ロッタさん」
空いている方の手をロッタの膝に乗せながら、アサギは顔を覗き込む。
「私……急にアサギさんが王子様になって、好きだと言われて大変混乱しているんです」
「そうか。小出しにしといたほうが良かったか?」
「うーん……。それはそれで一個一個、その都度処理していかないといけなかったので、やっぱりまとめて教えてもらえて良かったと……」
「そりゃあ、良かった。で、ロッタ、今の気持ちはどんな気持だ?驚いた以外になんか無いのか?」
「あります。8割驚いていますが、残りの一割は……う、嬉しいです。あと最後の一割は……一生アサギの傍にいたいって、私も思っています」
最後はそよ風よりも小さな声だった。
けれど、アサギはしっかりと聞き取った。そして、気付けば自分の唇は、ロッタの唇に触れていた。
おずおずと窺うようなロッタの言葉に、アサギはようやっと笑いを引っ込めた。
次いで、「そうだな」と言いながらロッタの手を握る。逃亡防止の為に。
結局グダグダな流れになってしまったせいで、アサギはロッタから告白─── というより求婚の返事を聞いていない。
ま、どれだけロッタが嫌と言っても、アサギはもう待たない。力づくで奪う気でいる。
そのために現ムサシ国王に頭を下げて、代々王家に伝わる懐妊秘薬を手に入れたのだし、異国の平民を妻に迎えるための面倒くさいアレコレを片付けたのだ。
しかもアサギは、ちゃっかりロッタの父親と結婚の許しを得るために会っている。そして、許可を得る代わりにしっかり殴られてきた。
涙目で『大事な娘をやるんだから、一回だけ殴らせろ』と凄んできたロッタの父親の手は、異国の王子を殴る覚悟からかブルブルと震えていた。
もちろんアサギは『私は今、あなたの娘さんを奪いに来た不埒なただの男です。ご遠慮なくどうぞ』と言って、自ら頬を差し出した。
結果として予想以上に強く殴られたけれど、アサギは当然のことだと思っている。
これは、ロッタ宛ての手紙には書かれていないことであり、アサギもわざわざ伝えるつもりは無い。
ただ……そんなネタで気を引かなくても、実はアサギはロッタが嫌と言えないとっておきの切り札を持っていたりもする。
王妃に対して一泡吹かせる策を与えた代金は、後払いということになっている。
だがらアサギは、ロッタの残りの人生を請求すれば良いだけの事。
どうあっても極刑になる運命を回避したのだから、それくらい安いモノだろう。しかも、家計簿を付ける必要のない、三食昼寝付きの好待遇ときたものだ。
しかし、それは奥の手であり、できることならそんな汚い手を使いたくはなかった。
アサギはロッタの意思で己を選んで欲しかった。
「なあ、ロッタ。改めて言うけど、俺と結婚してくれ」
「……っ?!」
「俺はロッタの事が好きだ。ただ俺はムサシ国の王子だから、ロッタが王族の一員になる運命は避けられない。でも全力で守るし、絶対に幸せにする。だから、頼む」
ぎゅっとロッタの手を握って、ありったけの想いを伝えたアサギだったが、待てど暮らせど返事は無い。
ロッタは真っ赤な顔をして、俯いてしまっている。
これは脈ありと考えて良いのだろうか。それとも、ただ単に追い詰められて泣き出す寸前なのだろうか。
これまで手に取るようにロッタの思考を読めていたアサギであるが、今日に限ってはそっちの思考は恐ろしい程にポンコツ化している。
「……アサギさん。あのですね」
「なんですか?ロッタさん」
空いている方の手をロッタの膝に乗せながら、アサギは顔を覗き込む。
「私……急にアサギさんが王子様になって、好きだと言われて大変混乱しているんです」
「そうか。小出しにしといたほうが良かったか?」
「うーん……。それはそれで一個一個、その都度処理していかないといけなかったので、やっぱりまとめて教えてもらえて良かったと……」
「そりゃあ、良かった。で、ロッタ、今の気持ちはどんな気持だ?驚いた以外になんか無いのか?」
「あります。8割驚いていますが、残りの一割は……う、嬉しいです。あと最後の一割は……一生アサギの傍にいたいって、私も思っています」
最後はそよ風よりも小さな声だった。
けれど、アサギはしっかりと聞き取った。そして、気付けば自分の唇は、ロッタの唇に触れていた。
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