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えっ、嘘?! そっちなのかぁ
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「......ふぇ......くっしゅんっ」
やめろ、やめろ。絶対にするな、と心の中で必死に止めてみた。
だが自然現象は気合いでは阻止することができず、ロッタは陛下に向かって豪快にくしゃみをかましてしまった。
咄嗟に手で口と鼻を覆ったので、大惨事は免れたが、これまた不敬罪だと詰め寄られても致し方ない。
でも、今回も陛下は寛大な心でロッタを不問に処す。しかも、「おや、寒いかい?」と気遣う始末。
有り難いし、陛下の好感度はちょっぴとだけ上がったけれど、馬鹿正直に「不能薬が鼻に入って」などと、言えるわけがない。
だからロッタはごまかし笑いを浮かべつつ、挙手をした。
「陛下のお言葉を耳にしまして、わたくし少々疑問と言いますか、気になる点があり......質問の許可をいただきとうございます」
「答えられるかどうかはわからないけれど、何なりとどうぞ。あと、二人っきりだし陛下と呼ばずにルーファスと呼んでくれたまえ」
「無理です。───......ぅおっほん。失礼、お名前の件はおいておきまして、まず質問をさせていただきます。あのですね、......へ、陛下の男としての機能が芳しくないというのは、これまで夜伽をした女性の皆様はご存じなのでしょうか?」
「いや、知らないよ。私が不能だというのを知っているのは、王妃とさっきいた側近のガーダだけ。あ、君も今知ったから、3人しか知らないことだな」
「そんな重要なことを、何故わたくしに?」
ロッタが疑問に思うのは当然だ。
法であり秩序である国王陛下のお宝が使い物にならないなど、国を揺るがす大事件だ。
見た目だけなら気づかれることが無いこの事件、色々な問題事の火種となること必須なのだから、本来ならなんとかして隠し通したいはず。ロッタとて、こんなこと知りたくなかった。
でも国王陛下は、穏やかな表情でロッタの質問に答えた。
ただ、その返答は表情に似合わず大変失礼極まりないものであった。
「君がメイドだと聞いていたから話しても良いかなと思ったのさ」
「......は?」
陛下の言っている意味がまったくもってわからない。知らず知らずのうちに首が傾いてしまう。
「いや......はっきり口に出すのは失礼かもしれないが、マルガリータから事前に聞いていたんだ。君はお金が欲しくて夜伽をするのだと。つまり、側室になりたいわけでもなければ、王妃の座を揺るがす存在でも無い。報奨金さえ貰えれば、喜んで生まれてくる子を差し出してくれると......─── あれ? ちょっと伝わっていた内容と違う......ようだね」
「はい」
ロッタは即座に頷いた。
そして今、例え国王陛下を前にしていても、自分はものすごく怖い顔をしているのがわかっているが、それを止められないでいる。
それほどまでにロッタは怒り心頭であった。
やめろ、やめろ。絶対にするな、と心の中で必死に止めてみた。
だが自然現象は気合いでは阻止することができず、ロッタは陛下に向かって豪快にくしゃみをかましてしまった。
咄嗟に手で口と鼻を覆ったので、大惨事は免れたが、これまた不敬罪だと詰め寄られても致し方ない。
でも、今回も陛下は寛大な心でロッタを不問に処す。しかも、「おや、寒いかい?」と気遣う始末。
有り難いし、陛下の好感度はちょっぴとだけ上がったけれど、馬鹿正直に「不能薬が鼻に入って」などと、言えるわけがない。
だからロッタはごまかし笑いを浮かべつつ、挙手をした。
「陛下のお言葉を耳にしまして、わたくし少々疑問と言いますか、気になる点があり......質問の許可をいただきとうございます」
「答えられるかどうかはわからないけれど、何なりとどうぞ。あと、二人っきりだし陛下と呼ばずにルーファスと呼んでくれたまえ」
「無理です。───......ぅおっほん。失礼、お名前の件はおいておきまして、まず質問をさせていただきます。あのですね、......へ、陛下の男としての機能が芳しくないというのは、これまで夜伽をした女性の皆様はご存じなのでしょうか?」
「いや、知らないよ。私が不能だというのを知っているのは、王妃とさっきいた側近のガーダだけ。あ、君も今知ったから、3人しか知らないことだな」
「そんな重要なことを、何故わたくしに?」
ロッタが疑問に思うのは当然だ。
法であり秩序である国王陛下のお宝が使い物にならないなど、国を揺るがす大事件だ。
見た目だけなら気づかれることが無いこの事件、色々な問題事の火種となること必須なのだから、本来ならなんとかして隠し通したいはず。ロッタとて、こんなこと知りたくなかった。
でも国王陛下は、穏やかな表情でロッタの質問に答えた。
ただ、その返答は表情に似合わず大変失礼極まりないものであった。
「君がメイドだと聞いていたから話しても良いかなと思ったのさ」
「......は?」
陛下の言っている意味がまったくもってわからない。知らず知らずのうちに首が傾いてしまう。
「いや......はっきり口に出すのは失礼かもしれないが、マルガリータから事前に聞いていたんだ。君はお金が欲しくて夜伽をするのだと。つまり、側室になりたいわけでもなければ、王妃の座を揺るがす存在でも無い。報奨金さえ貰えれば、喜んで生まれてくる子を差し出してくれると......─── あれ? ちょっと伝わっていた内容と違う......ようだね」
「はい」
ロッタは即座に頷いた。
そして今、例え国王陛下を前にしていても、自分はものすごく怖い顔をしているのがわかっているが、それを止められないでいる。
それほどまでにロッタは怒り心頭であった。
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